伊藤女流三段インタビュー
【女流王位挑戦へ| 中日 東京 将棋 サブチャンネル】
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――あらためて本局について。
伊藤 甲斐さんはバラエティに富んだ、いろいろな指し方ができる方なので、何でくるのか指してみないとわからないところがありました。相居飛車で急戦調の出だしを見せてこられたので、こちらも「この指し方にはこう」というものを指しました。
――甲斐女流五段の引退について。
伊藤 ニュースを聞いたときは驚きました。ただ本局はいつも通りに臨もうと思いました。
――タイトル(昨年の女流名人獲得、今年2月に失冠)の経験は生きていますか。
伊藤 女流名人を失ったのは、とても悔しい結果でしたが、しばらくあとに女流王位戦があったので、そこに向けて気持ちの切り替えはできたと思います。強敵ぞろいのリーグでしたから全勝できるとは思っていなかったのですが、いちばんいい形で挑戦することができてうれしく思います。
――里見女流王位の印象。
伊藤 もう強いと思っています。自分がタイトルを獲得してみて、あらためて感じた強さもありました。数々のタイトルを獲ってから何度も防衛されている方ですから、あらためてすごみを感じました。タイトルは獲って終わり、ではないんだなと。そこからまだまだ戦っていかなければいけない。そういう修羅場をくぐってきた方なんだと、あらためて感じました。
――どのような五番勝負になると思いますか。
伊藤 (先月まで伊藤と女流名人戦五番勝負を戦った西山朋佳女流三冠、そして里見女流王位は)同じ振り飛車党ではあるのですが、タイプは全然違うのかなと。シリーズがどうなるかは自分の出来次第だと思います。まずはよい状態で臨めるようにと思っています。
――現在の状態は。
伊藤 今日勝てたから(状態は)よい、ということにしておきます。
――開幕までにどのような準備をされる予定ですか。
伊藤 里見さんは百戦錬磨ですが、こちらも2017年の女流王位戦で挑戦してから、いろいろな経験をしているので、あの時よりは成長した姿を見せられるようにと思っています。
――五番勝負は長い持ち時間(各4時間)になります。
伊藤 4時間の将棋は女流棋戦だとタイトル戦に出ないと指せないので、普段の将棋で4時間の将棋に慣れるのは難しいと思います。なので、やりながらうまく調整できればと思います。
――五番勝負では全国を転戦します。
伊藤 新しい土地にいけるのは楽しみです。
――五番勝負では、どんな将棋を指したいですか。
伊藤 いい将棋を指したいです。それしかないです。
――2017年の女流王位戦五番勝負で印象に残っていることはありますか。
伊藤 北海道対局が印象に残っています。とても豪華なお部屋で、露天風呂がついていて、こんなにいいお部屋に泊まれるのかと感激していました。
この五番勝負が里見さんに挑戦した初めてのタイトル戦で、里見さんとの対局もあまり多くないなかでの対戦だったので、里見さんとしても私がどういう将棋を指すのか、なかなかつめていなかったのかなと思います。スコアも2勝3敗でした。でもそれ以降のタイトル戦では、あと1勝というところまで追い込むことができませんでした。あのときのタイトル戦が、いちばんいいところまでいったなという印象はあります。
――将棋の勉強の合間に、どのような気分転換をされていますか。
伊藤 本当は旅行に行きたいのですが、なかなか時間が取れなくて……。うーん、なんだろう。お笑いは見ています。あと、にわか(ファン)ですけど、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が面白いなと思いました。日本のすごい方々の集まりじゃないですか。めちゃくちゃ豪華ですよね。そういう方々が全身全霊で戦われているのが美しいなと思います。
(牛蒡)