« 2010年5月 | メイン | 2011年3月 »

2010年6月

2010年6月 2日 (水)

端で勝負!

20100602_88
図は17時すぎの局面。激しい駒の取り合いで、甲斐女王は香得の戦果を得た。その香を5九に打ち、5筋を制圧。「甲斐ややよしか」と見られていたところに、上の端攻めが飛んできた。端は美濃囲いの弱点で、「ここを攻めればいつでもいい勝負になる」というのは棋士の経験則である。第2局の端攻めを思い出すような突然の仕掛け……かと思いきや、チャット解説の片上六段は「端攻めはかねてからの切り札です。香を手放したところなので、甲斐さんとしてもイヤなタイミングです」と予想の範疇を思わせる語り。清水女流王位は、第2局では端攻めで流れをつかんだ。本局も形勢逆転を引き寄せる一手となるか?

(文)

旧伊藤伝右衛門邸ギャラリー (7)

■伊東家の家紋のある衣桁(いこう)
100
「修復工事の調査で南蔵の中から発見された衣桁(着物を掛ける道具)です。黒漆の上から伊東家の家紋である「丸に三枡」(男性)と「五三の桐」(女性)が交互に金彩で描かれています。黒漆塗りの高級品で、大正11年1月上旬の日付のある大阪朝日新聞が巻かれていました。」

■色紙
140
「平成十九年 神無月」と書かれていることから、第18期女流王位戦のときのものとわかる。このときは女流王位を失冠しているが、今期は果たして……。

(文)

怪しい雲行き

20100602_64_2
図は、清水女流王位が飛車を打ち下ろして反撃に出た局面。この飛車打ちは次に△3九角という「必殺の一撃」を狙っており、先手はとにかく何か受けなければならない。しかしこの受け方が悩ましい。甲斐女王も手を止めて考えている。先ほどまでは「先手がだいぶいい」という雰囲気があったが、今はすでにそんな空気は感じられない。「これは難しくなった」と、関係者らの声。盤上に怪しい雲行きが出てきた。
▲5九歩が最も自然なようだが、△9九飛成▲7八金△5五香の展開は、先手に攻める番が回ってくるのか甚だ怪しい。とすれば先手をとって▲5九飛か。しかしこれとて△6六飛成とされ、6四のと金の身動きがとれない。こうなると▲6四とに一手の価値があったのか、という塚田九段・片上六段両人の見解が納得できる。
バタバタと進んだ飛角総交換で、清水女流王位がうまく立ち回った印象を受ける。さすがというべきか、女流棋士の「第一人者」の名は伊達ではない。

151

(文)

大盤解説、はじまる

塚田九段と斎田女流四段による大盤解説が始まった。まずは初手からの進行を追っていく。塚田九段はここまでの流れを、「清水さんの8筋交換が疑問で、それを甲斐さんが的確にとがめた印象です。先手はポイントをあげましたが、▲6四と(下図=6三から引いた手)が気になりました。展開によっては5二に入るルートもあったはずで、やや甘い意味があります。果たして最善手だったのか……」とまとめた。
20100602_59
指し手が進められ、△6九飛(下図)の局面で次の一手が出題された。
20100602_64
「先手は△3九角を防がなければいけません。この角を打たせて勝つのは難しい。そこで『金底の歩』で受けるか、飛車を合わせて受けるか。▲5九歩と▲5九飛が候補でしょうか。どちらもここからの展開がはっきりしないのですが」。塚田九段が解説を加え、指し手の候補を絞っていた。

149
(大盤解説を務める塚田九段)

143
(聞き手の斎田女流四段)

146

147
(「次の一手」正解者に贈られる賞品)

150
(会場には「鳩山首相退陣」の号外が)

(文)

まもなく大盤解説会

15時より、塚田九段と斎田女流四段による大盤解説会が行われる。14時半すぎに会場となる「のがみプレジデントホテル」3階ホールを訪れると、すでに来場者の姿があった。

141

142

(文)

旧伊藤伝右衛門邸ギャラリー (6)

■内玄関
087
「1906年(明治39)頃の建築当初は長屋門の正面に位置する表玄関でした。廊下を挟んで対面には二階の西洋館に上がる階段がありました。1917年(大正6)頃の増築により表玄関ができ、内玄関になりました。土間は人造大理石仕上げ、縁に小さな溝を切り、右側に履物入れを設置。上り縁は分厚い一枚板で角を丸く仕上げており、表玄関と同じ手法です。3畳敷で北・西側は板敷き。帽子掛けや傘立てもあります。」

■西座敷(裁縫室)
085

084

「1906年(明治39)頃の建築当初は西座敷として使用されていましたが、1934年(昭和9)頃の増・改築により裁縫室となり、次間は女中室になりました。西座敷は10畳敷で西側全面を2間踏込床で飾っています。地板は見付繰形で南端に切束付の地袋を置き、その上に天袋を釣束で釣り、後壁に格挟間窓を刳り抜き、北側には取込付書院を出し、その幕板に木瓜形を浮き出します。北・東側は榑縁(くれえん)が回っています。」

(文)

午後のおやつ

14時に運ばれるおやつは、清水女流王位が「シフォンケーキ(キャラメルクリーム)、ハーブティー」。甲斐女王が「アメリカンカントリーチーズケーキ、ハーブティー」。シフォンケーキは午前中のときと同様、一口サイズにカットされて食べやすいよう配慮がなされている。

131
(シフォンケーキ(キャラメルクリーム))

136
(アメリカンカントリーチーズケーキ)

(文)

後手の力量が問われる

20100602_45
図は13時半すぎの局面。先手は桂頭を攻めて、と金を作れそうだ。後手はこのままではまずいので、技を掛けなければならない。後手の主張は金銀四枚が守りについていること。したがって、盤面の左側で互角に持ち込めれば希望が見えてくる。清水女流王位、ここで力を見せることができるか。

125

129
(塚田九段と斎田女流四段が検討中)

128
(今日はよい天気。日差しは強いが、風があり日陰は過ごしやすい)

(文)

旧伊藤伝右衛門邸ギャラリー (5)

■奥座敷(対局室)
104

090

102

「本座敷・中座敷(主人居間)のように格式張ってはいませんが、風雅な趣を感じます。座敷の襖に描かれた四季の草花、板床の天袋の襖に描かれた蝶、次の間の床の地袋の襖に描かれた草花など、上品で女性的な雰囲気が漂う部屋です。」

(文)

対局再開

13時になり、対局が再開された。清水女流王位の手は動かず。視線をじっと盤面に据えたまま、姿勢を崩さなかった。

105
(対局室へ向かう甲斐女王)

106
(清水女流王位)

124

1181

123

(文)

カテゴリ

ブログ内検索

  • Loading