図は89手目▲5八玉まで。後手が攻めたのに対応する形で、先手玉が中央に逃げてきました。参考までに73手目▲8六玉の局面を下に示します。藤井棋聖は玉を7六から8六に動かして、十数手後には5八にいるのです。変幻自在というべきか。同一人物の指し手に思えないところがあります。
藤井棋聖の指し方は、矢倉囲いや穴熊のように城を築いて玉や金銀を固定させるのではなく、野営している玉が状況を見て安全な地へ移住しているかのようです。相手からすると、動くゴールポストにシュートを決める大変さがあります。
(銀杏)
(18時20分ごろの控室)