■応接間
「腰壁を高く張った本格的な洋間です。マントルピースにはアール・ヌーボー風ビクトリアン・タイルを配し、格調高い英国風の演出がなされています。床は精緻な寄木張り。南側に設けた出窓の欄間に嵌め込まれているのは英国製でダイヤ模様のステンドグラスです」
■高田忠周書扁額(たかだただちかしょへんがく)
「右から「和協輯睦」(わきょうしゅうぼく)と読みます。左側は、「丙子初夏日篆 伊藤大人雅属 竹山逸子忠周」(ひのえねしょかじつてん いとうだいじんがしょく ちくざんいっしただちか)と読みます。1936年(昭和11)の初夏に、高田忠親が伊藤伝右衛門に頼まれて篆書(てんしょ)で書きましたという意味です。伊藤大人は伊藤伝右衛門のことです。逸子はまずい書家であると自分を謙遜する言葉です」
(文)
2手目△3二飛戦法の参考棋譜を紹介します。
2010年12月15日
第22期女流王位戦 挑戦者決定リーグ白組
先手:鈴木環那女流初段
後手:里見香奈女流三冠
▲7六歩 △3二飛 ▲2六歩 △6二玉 ▲2五歩 △3四歩
▲4八銀 △7二玉 ▲6八玉 △3五歩 ▲7八玉 △8二玉
▲4六歩 △7二銀 ▲4七銀 △3四飛 ▲5八金右 △9四歩
▲9六歩 △7四飛 ▲2二角成 △同 銀 ▲7七玉 △3二金
▲7八銀 △3三銀 ▲6六歩 △2四歩 ▲同 歩 △同 飛
▲2五歩 △2二飛 ▲3六歩 △3四銀 ▲2四歩 △1四角
▲5六角 △2五銀 ▲2三歩成 △同 角 ▲2五飛 △5六角
▲2二飛成 △7八角成 ▲同 玉 △2二金 ▲2八飛 △2六歩
▲同 飛 △2五歩 ▲2八飛 △3六歩 ▲5六銀 △3九飛
▲2五飛 △2四歩 ▲同 飛 △8八銀 ▲5九銀 △8九銀不成
▲6七玉 △3三角 ▲2五飛 △5四桂 ▲5五銀 △3七歩成
▲8六角 △4七と ▲同 金 △3四飛成 ▲2八飛 △5五角
▲5六金 △3三角 ▲3七歩 △4七銀 ▲6五金 △3五龍
▲9七香 △6四歩 ▲同 金 △4六龍 ▲6五金 △6六角
▲6八銀 △2七歩 ▲同 飛 △5六銀成 ▲同 歩 △4七龍
▲5七銀打 △同角成 ▲同 銀 △6六歩 ▲同 金 △7八銀打
▲同 金 △同銀不成 ▲同 玉 △5七龍 ▲6五金 △8九銀
まで、後手の勝ち
(文)
対局開始後、清水女流六段の初手▲7六歩が着手されたのちに報道陣が退室。ほどなく控室のモニタに2手目△3二飛が映し出された。まっしぐらに三間飛車に振る。歩をまったく突かない陣形は異様にも見えるが、現在ではすでにひとつの戦法として確立されている。初手▲7六歩に対し後手番で確実に石田流を用いるための趣向で、今泉健司三段(当時)創案による戦法だ。第35回将棋大賞では升田幸三賞を受賞している(奨励会員の受賞は初)。当時今泉さんは三段リーグ編入試験に合格し、四段を目指し三段リーグを戦っていた。2手目△3二飛はさまざまな棋士によって指されており、現在までに公式戦では57局を数えている。
2筋が受けにくいように思えるが、ここから▲2六歩△6二玉▲2五歩には△3四歩(参考図)で対抗する。
参考図で▲2四歩△同歩▲同飛は△8八角成▲同銀△3三角の両取り。また▲2二角成△同銀▲6五角は△7四角で受かっている。そもそもこの指し方が注目されたのは、▲7六歩△3四歩▲2六歩△3五歩▲5六歩(▲6八玉)の「石田流封じ」があったから。平たい陣形の中で飛角がぴったりくっつく形は視覚的にもおもしろく、ユニークな戦法だ。
(文)