「升田式石田流はですね、升田先生の本で読んだことがあるんですが、角を換えて△2二飛とぶつける筋は驚きましたね。こんな手があるのかと。とても感動したのを覚えています」(森下九段)
森下九段の言う「△2二飛」とはおおよそ次の図のこと。
ここで▲2三歩は△1二飛▲2二角△3二金▲3一角成△同金▲2二銀△5五角▲3一銀不成△3三角打がひとつの定跡で、後手よし。端的に言えば、先手からの単純な突破は成功しないということだ。この指し方を見出したのが、「新手一生」を掲げた升田幸三実力制第四代名人だ。この筋が発見されたことで、飛車先を受けない石田流の可能性が大きく広がった。
(大盤解説を担当する二人。村田女流二段、森下九段)
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