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2019年5月 8日 (水)

前夜祭6

木村九段と中井女流六段が明日の見どころを語りました。

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木村 明日の展望ですって。
中井 あまりしゃべっちゃうと明日しゃべることなくなっちゃうからなあ。
木村 そうですねえ。どっちが勝つくらいしかいいようがない。もう終わりにしましょうか?
中井 いやいやいや(笑)、もうちょっとしゃべってください。

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木村 子どもの頃に将棋を指したところでタイトル戦をやるというのは、将棋界が始まって以来ではないでしょうかね。検分のときに「ここはよくきたことあるんですか?」って(渡部女流王位に)聞いたら、「きすぎてるくらい」って。
中井 「何百回ときてる」っていってましたもんね。
木村 渡部さんにとってみれば、そういう場所で対局するというのはとてもうれしいことでしょうね。
中井 渡部さんももちろん負けたくないでしょうけど、里見さんのほうも、こういうアウェーなところでの対局は負けたくないという気持ちが強いでしょうね。
木村 そうですね。ここでたたいておけば、というような気持ちになるでしょう。
中井 私も昔、林葉直子ちゃん(元女流棋士、福岡県出身)とタイトル戦を北海道と九州でやったときは、もちろん北海道でも勝ちたかったけど、九州でもやっぱり負けたくなかったです(中井女流六段は北海道出身)。

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木村 さて、明日の解説会ですけど、いらっしゃる方はどれくらいいらっしゃいますか。(多くのお客さんが手を挙げるのを見て)あー、ありがとうございます。
中井 連休明けの平日なので心配だったんですけど。
木村 手を挙げなかった方も、できれば明日きていただきたい(笑)。
中井 そうですね。木村さんの解説を聞くだけでも、いらっしゃる甲斐はあると思います。

木村 私は中井さんにはね、ちっちゃい頃に随分お世話になってるんですよ。もう、頭が上がらない。
中井 私、明日の解説会で「一基」って呼び捨てにしないかどうかだけ、そこだけはちょっと気をつけなきゃと思ってるんです(笑)。
木村 つい本性が出てしまう(笑)。
中井 子どもの頃の呼び方って変わらないじゃないですか。渡部女流王位も「まなちゃん」とか、里見女流四冠も「かなちゃん」とか、さすがにタイトル戦でねえ。気をつけなきゃと。

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中井 戦型予想はどうでしょうか?
木村 どうなんですかね。まあ、里見さんが居飛車をすることは、風邪を引いてもないでしょう。
中井 本当ですか(笑)?
木村 ええ。渡部さんはどうですかね?
中井 うーん、居飛車対振り飛車にはなると思うんですけど、まず里見さんがどこに振るか。
木村 そうですね。中飛車、四間飛車、三間飛車、向かい飛車。中飛車と三間飛車が多いんでしょうけど。飛車をいきすぎちゃったらどうしますか?
中井 どこまで?
木村 1筋の横。いかないですかね。角、動かさないといけないから。まあ、どこに飛車がいくかは注目ですね。
中井 里見さんはどんな振り飛車も指しこなしますから。
木村 そうですね。そういう意味では、渡部さんのほうが作戦を絞りにくいということはあるかもしれませんね。里見さんが作戦を決めてるかどうかも分かりませんよね。明日の天気見て決めようとか。そういうことないですか?
中井 私、結構そういうタイプです。この作戦でいこう、と思っていても、盤の前に座ったら気が変わるとか。

Dsc_8477(「飛車を振ろうとして」)

Dsc_8478(「いきすぎちゃったらどうしよう」)

中井 女流王位戦は、女流棋戦では唯一、持ち時間が(ストップウオッチで)各4時間。ちょっと長いんですよね。
木村 そうですね。力が出やすいという感じがしますよね。
中井 そうなんですよ。女流棋戦でちょっと残念だなと思うのは、持ち時間が短いと、いちばん考えたい急所のところで時間がなくなっちゃうということが結構、多くって。4時間だったら、終盤でもちょっと時間を取っておけます。
木村 そうですね。4時間だったら、対局者としても指していて納得のいく内容の将棋ができるのかなと。

中井 第1局も熱戦で、終盤での逆転でした。
木村 渡部さんの攻めも鋭かったですけど、里見さんの粘りもまた、それを上回るもので。
中井 このお二人はどちらも粘り強いんですよ。渡部女流王位は道産子ならではのすごい粘りがありますし、里見女流四冠は悪くなっても簡単には折れません。
木村 女流棋士のトップを決める将棋ですから、ぜひご堪能いただきたいと思います。

(牛蒡)

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