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2009年6月 9日 (火)

【梅田望夫観戦記】 (2) 羽生棋聖の急戦矢倉か?

 午前8時47分、着物姿の木村挑戦者が先に入室。明るく大きな声で「おはようございます」。そしてすぐに瞑想に入った。2分後に羽生棋聖が入室して、3分ほどかけて駒を並べ終わった。記録係・天野貴元三段の振り駒でと金が三枚出て、木村挑戦者の先手が決まった。立会人・藤井猛九段の発声で、対局開始。木村挑戦者の▲7六歩に対して、羽生棋聖少考で△8四歩、そして木村挑戦者の▲6八銀で、すらすらと矢倉戦に向けての駒組みが進んでいる。

 深浦王位は言う。

 「羽生さんは先週の名人戦第五局のストレスを抱えていると思うんです。あんな将棋を二局続けてはやりたくない、という気持ちが強いと思います。昨日の羽生さんの「面白い迫力のある将棋を指したい」という言葉は、ああいう将棋にはしたくない、という意味だと思いますよ。だから羽生さんは、今日は主導権を握るべく積極的にいく決意でいると思います。羽生後手で矢倉戦ですから、昨年の竜王戦第六局、第七局のような急戦矢倉もあると思いますよ。」

 木村挑戦者には「千駄ヶ谷の受け師」という異名がある。深浦さんの予想通りであれば、羽生の攻め、木村の受けという展開になるのかもしれないが、木村挑戦者の子供時代からの親友・野月浩貴七段は、「千駄ヶ谷の受け師」という言葉に異をとなえる。彼から届いたメールの一部を転載するが、

 『木村ですが、繊細、気配り、優しさ、気の強さ、意地っ張り、を持ち合わせた性格です。受けが持ち味のように書かれていますが、あれは見る目のない人達が作り上げたイメージで、戯言です(笑)本質は攻めの厳しいタイプで、切れ味も鋭さも一流です。受けているように見えるのは、相手をからかって応対しているか、相手の攻め駒を攻めているのです。』

 野月七段は「木村の本質は攻めですよ」と言う。

 さて、今9時21分。14手まで矢倉戦ですらすら進んでいる。まもなく、羽生棋聖が急戦矢倉を選択するかどうかがわかる。

 

 (追記) 果たして深浦王位の予想通り、羽生棋聖誘導での急戦矢倉の展開となった(9時33分)。

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