第64期王将戦七番勝負第1局 Feed

2015年1月11日 (日)

掛川城は室町時代に今川氏が家臣の朝比奈氏に築城させたのが始まりとされています。戦国時代に後の土佐藩主、山内一豊が大規模な修築や城下町の整備を行って、東海の名城と呼ばれるほどになりました。
その後地震により天守は失われましたが、1994年に市民や地元企業からの募金より再建され、掛川のシンボルとして整備されています。

Img_1265広い敷地内は掛川城公園として、市民や観光客に親しまれている。

Img_1272 日本初の「本格木造天守閣」として復元された。

Img_1273二の丸の茶室が対局場になっている。普段は掛川茶を楽しむことができる。

Img_1274右奥が対局室。

Img_1267城内にはお堀も再建されている。

前日の記念写真に忍者が登場していますが、これは織田信長に討たれた今川義元の子、氏真が甲斐の武田氏に追われて掛川城に立て籠もった際に、徳川家康が掛川城を包囲して攻めていますが、そのとき服部半蔵率いる伊賀の忍者が家康の配下として活躍したことが由来となっています。

Img_1304平成7年に復元された掛川城の表玄関「大手門」。棟上のシャチ瓦が勇壮な構えだ。

Img_1305大手門脇には、歴代の掛川城主が記されている。

Img_1306歴代城主の中でも、豊臣秀吉の天下時代に城主となった山内一豊の存在は重要で、天守閣や大手門を築き、城下町の整備も行った。関ヶ原の合戦の後、一豊は出世して土佐に移ったため10年余りの掛川城主だったが、掛川の歴史に大きな足跡を残した。

Img_1307_2掛川城前を流れる逆川。右奥に見えるのが掛川城。ちなみに「掛川」という川はない。

Img_1311城下では特産の掛川茶が売られている。

Img_1312日本一の呼び声高い掛川の深蒸し茶。ピンからキリまであるが、手ごろなものもある。

Img_1314山内一豊と妻のお千代。お千代が密かにたくわえていた黄金で、天下の名馬を買ったという内助の功の逸話がある。司馬遼太郎の小説「功名が辻」では、その馬で織田信長が催した馬揃えに出た一豊が信長の目に留まるというエピソードが、序盤の見どころのひとつだ。

5915時34分、渡辺王将は▲5五銀左。前例を離れる新しい一手です。
ただし、この手を予想していた棋士が控室にひとり。前例の将棋を指していた西尾六段で、実戦の後、研究会でこの手が出ていたために、予想のひとつとして挙げていました。進行例は△5五同銀に▲4七銀。銀損してから角取りに銀を引くという意表の展開です。

「この手は初見ではまず当たらないです。西尾さんが絶妙のタイミングで来てくれて助かりましたね」と中座七段。その西尾六段は帰りの新幹線の時間があるため、この手が指されてすぐに控室を後にしています。
研究会で指された有力手の情報は、水面下で伝わります。渡辺王将の情報網にもこの手が入っていたのかもしれません。

Img_145615時過ぎ、現地近くの掛川市中央図書館で行われていた将棋講座イベントで講師を務めていた棋士が来訪した。右から西尾明六段、高野秀行六段、安食総子女流初段。西尾六段は本譜の前例を一昨年公式戦で指した。高野六段も角換わりのスペシャリストとして知られた存在。専門家の来訪に検討が盛り上がっている。

15時を回り対局室におやつが運ばれました。

Img_1446渡辺王将は「ベイクドチーズ」と「ホットコーヒー」。

Img_1448郷田九段は「和菓子(上生菓子=福梅と水仙)」と「抹茶」。

Img_1452控室では大盤解説から戻った中座七段が掛川茶で一服。手前のイチゴは「紅ほっぺ」だ。

13時から現地大盤解説会が始まっています。

【現地大盤解説会】(再掲)

第1局は対局場の掛川城に隣接する大日本報徳社大講堂にて、現地大盤解説会が開催されます。国の重要文化財にも指定されている歴史ある建造物で、現地ならではの臨場感あふれる解説をお楽しみください。
※会場脇では、掛川グランドホテルのデリバリーサービスで温かい食べ物も販売されています。

■日時

1日目:1月11日(日)13時~18時(封じ手まで)
2日目:1月12日(月・祝)10時~対局終了まで

■会場
大日本報徳社大講堂
※会場には専用駐車場はありません。
 公共交通機関または大手門駐車場など有料駐車場をご利用ください。

■参加料
1月11日 1,000円
1月12日 1,500円
※高校生以下無料

■掛川市 王将戦イベント情報
第64期将棋王将戦七番勝負第一局

Img_1428国の重要文化財に指定されている建物で解説会が行われている。

Img_1426副立会の中座真七段が▲4五歩の仕掛けを解説中。

Img_1435大日本報徳社。

Img_1410建物の裏手から。

Img_1436二宮尊徳の像。

Img_1442正門。経済門(左)と道徳門。経済と道徳は同じ高さ(等しく重要)であることを表している。

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12時30分、図の局面で渡辺王将が1時間23分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲渡辺2時間6分、△郷田1時間。

昼食の注文は渡辺王将が「うな重」、郷田九段が「ビーフカレー」です。

Img_1319渡辺王将はうな重。

Img_1320郷田九段はビーフカレー。

添えられているイチゴは、前夜祭でプレゼントされた「紅ほっぺ(JA遠州夢咲)

掛川市は静岡県西部に位置する都市。県庁所在地の静岡市と浜松市の中間にあります。名城と言われる掛川城の城下町として発展し、東海道の宿場町としても栄えました。市の花は「ききょう」で、市章のデザインにもなっています。

市の特産は掛川茶で、全国でも屈指のお茶どころとして知られています。特に深蒸し茶が有名で、まろやかでうまみがあり、あざやかな緑色と豊潤な香りが絶品です。掛川城主だった山内一豊が徳川家康を迎えた際も掛川茶でもてなしたと言われています。

Img_1287JR掛川駅。城下町の風情漂う木造駅舎だ。

Img_1293駅舎はローカルな雰囲気だが、東海道新幹線が停車するので交通の便がいい。

Img_1290_2駅前広場には二宮金次郎(尊徳)の像。掛川では二宮尊徳が唱えた報徳思想(経済と道徳の融和を目指す思想)が普及している。

Img_1302駅前から掛川城までは徒歩で7分ほど。

Img_1301掛川対局の協賛をする「掛川信用金庫」が通りにあった。こちらも城下町らしい建物だ。

Img_1303_2掛川信用金庫の前から掛川城の大手門が望める。