感想戦は多くのファンに見守られながら行われました。終了時刻は18時8分。郷田前王将は駒を片付け、先に席を立ちました。
これで第66期王将戦の中継を終了します。第67期の予選はすでに始まっています。第67期王将戦七番勝負もお楽しみに。
第66期王将戦七番勝負第6局
終局直後
(王将位を奪取した久保新王将。第60期以来の復位を果たした)
――お疲れさまでした。まずは久保新王将、本局について伺います。向かい飛車から持久戦になりましたが、予定でしたか?
久保 そうですね。選択肢のひとつでした。
――封じ手のあたりはいかがでしょう。
久保 こちらが先手なので、仕掛けがあるかどうかの将棋だと思ってんですけど。手が広いところだったので、わからなかったですね。
――封じ手の△2三金は予想されていましたか。
久保 そうですね。△2三金以外だったら端攻めする手もあるので、△2三金もあるかなと思っていました。
――▲6五歩で仕掛けられました。
久保 飛車がさばけるかどうかでしたが、あのあたりはわかっていなかったです。
――その後は順調でしたか。
久保 こちらは端に香を上がっているのが響かないか、心配していました。
――どのあたりでよくなったと思いましたか。
久保 最後、▲3九角と打って自陣に手が来ない形になったところです。
――振り返って、この将棋は満足な内容でしたか。
久保 まずまずでした。
――郷田前王将、お疲れ様でした。本局の感想をお願いします。
郷田 封じ手の局面は自信がなくて。仕方がないので金を上がりましたけど、手が遅れているので。もっと駒組みに工夫をしなければいけなかったと思います。
――△2三金は仕方なかった?
郷田 △2三金以外も考えたんですけど、端が弱い形なので。
――▲6五歩で仕掛けられました。
郷田 終始、自信がなかったです。そうですね、こうすればよかったというのは、いまは浮かばないです。
――だいぶ辛抱されました。
郷田 ほかの手も難しかったです。▲7五歩で手を作られて、角が使えない形になってしまったので、だめですね。
――最後は投了もやむをえない?
郷田 そうですね。プロ的には大差です。
――ありがとうございます。では、今期七番勝負を終えての感想を伺います。久保新王将は、3連勝から2連敗という流れでした。
久保 接戦の将棋が多かったので、3連勝は上出来かなと思ったんですけど。連敗して流れが悪くなりましたが、一局一局の将棋でやっていたので、流れは考えないようにしていました。
――本局に臨むにあたって、一局の重みはありましたか。
久保 やっぱり3連勝でスタートしたときに、プレッシャーがかかってきました。いままで、タイトル戦で自分が3連勝したことはなかったので。
――今期の勝因を挙げてください。
久保 結果にかかわらず、よい将棋を残したいなという思いだけでやっていました。結果をあまり考えずに。
――王将位に返り咲きました。復位の感想をお願いします。
久保 もうタイトルは獲れないかなと思ったこともあったんですけど。精進してきてよかったと思います。
――郷田前王将、今期は苦しい流れのスタートでした。
郷田 第2局は、終盤で正確に指せば勝ちがありました。それを勝てなかったのは大きかったかなと思うんですけど、全体的に作戦面で主導権を握れなかったです。そこが結果に出てしまった気がします。
――2連勝で反撃されて、逆転の期待もありましたか。
郷田 いや、そういうのはなかったですね。今日は後手番なのでいろいろ準備してきたつもりだったんですけど、対応が後手後手になってしまいましたね。
――2期続いた王将を失冠されました。
郷田 残念ですけど、結果は仕方ないので、また……。また戻ってこれるように、一生懸命やっていきたいと思います。
――最後になりますが、久保新王将に伺います。昨年から続いている将棋ソフトの問題ですが、王将戦七番勝負が終わった区切りということで、コメントをいただきたいのですが。
久保 いろいろ考えていることはあるんですけども、まとめて後日にお話ししたいと思っています。タイトル戦の最中ということもあり、まとめきれていないところもありまして。自分のなかで皆さんにお伝えできていない部分もあると思うので、その点は後日、説明したいと思います。
――ありがとうございました。
久保九段が七番勝負制す
17時33分、▲4二桂成(99手目)に郷田王将が投了。消費時間は▲久保7時間11分、△郷田7時間40分。久保九段が4勝2敗で七番勝負を制してタイトル奪取。6期ぶりに王将位に返り咲きました。
差が開く
17時30分、▲4二桂成まで進んでいます。先手玉は鉄壁で、次は▲6一飛が厳しい攻め。久保九段が王将復位に近づいています。
平手堅物
先手有利
木下惠介記念館
グランドホテル浜松から歩いて5分のところに、「木下惠介記念館」があります。
木下惠介は映画監督で、大正元年(1912年)に浜松市で生まれました。松竹に入社後、黒澤明と同時期に監督デビュー。自身初の映画は『花咲く港』で、日本初の長編カラー映画『カルメン故郷に帰る』、『二十四の瞳』(壺井栄の小説を映画化したもの)など、戦後の日本映画黄金期をリードしました。『二十四の瞳』は、毎日映画コンクール日本映画大賞を受賞しています。
記念館には、木下が愛用した品々、映画賞の記念品などが飾られていました。ヘビースモーカーだったときは、鮮やかな灰皿を集めていたようです。
弟の木下忠司氏は作曲家で、惠介の映画音楽を数多く担当しました。初めて取り組んだのは映画『わが恋せし乙女』です。昨年、100歳の誕生日を迎えています。