第71期王将戦七番勝負第1局 Feed

2022年1月10日 (月)

Dsc_3314(先勝した藤井竜王。初の王将獲得、五冠に向けて好発進)

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Dsc_3325(渡辺王将は過去6戦全勝の掛川で初黒星)

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Dsc_3358(掛川城が見守るなか、感想戦は終盤まで熱心に行われた)

本局の中継は以上で終了となります。ご観戦いただき、ありがとうございました。

Dsc_3284(終局直後)

Dsc_3293(先勝した藤井竜王。最後はきれいな詰みで逆転勝ちを収めた)

【藤井竜王】

――今日の内容を振り返ってください

藤井 序盤から類型が少ない形になって、一手一手が難しかったです。途中からこちらの4六銀の形があまりよくない格好になりましたので、少しずつ苦しいのかなと思っていました。

――終盤の攻防について

藤井 いろんなミスがあったかなと思うんですけど、秒読みだったのでわからないままやっていました。

――手ごたえは?

藤井 最後までわからなかったんですけど、▲4五桂から▲4三金で際どく詰んでいるかなと思いました。

――先勝スタートです。

藤井 この内容をしっかり振り返って、次につなげられるようにしたいと思います。

――王将戦七番勝負では初勝利です。

藤井 第2局に向けて、しっかり取り組めて行けたらと思います。

Dsc_3296(敗れた渡辺王将)

【渡辺王将のインタビュー】

――本局を振り返ってください

渡辺 ちょっと歩が少ないので苦しめかなと思ってやっていたんですけど。終盤はチャンスがあるかなという感じで指していたんですが、最後はわからなかったです。

――終盤はいかがでしたか

渡辺 金を捨てて攻めていったのがよくなかったかなと思うんですけど、秒読みだったのでよくわからなかったですね。

――第2局の抱負をお願いします

渡辺 始まったばかりなので、やっていきたいと思います。

Ousho202201090101139王将戦七番勝負第1局は19時27分、139手で藤井竜王が勝ちました。消費時間は、▲藤井7時間59分、△渡辺7時間59分(持ち時間は各8時間)。第2局は1月22、23日(土、日)に大阪府高槻市「山水館」で行われます。

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▲5六歩と手を戻して、残り時間は▲藤井6分、△渡辺4分と逆に藤井竜王が多くなっています。森内九段は「後手は嫌みが多いですね。実戦的には大変か」と話し、取材本部から対局場のほうへ向かいました。

20220110k「後手勝ちそうですが……」と森内九段。藤井竜王が勝負手を放って、楽にさせません。▲5五桂に△5四玉や△4四玉は▲5六歩と手を戻されると、後手玉が狭くて怖い思いをするようです。かといって△3二玉は▲4三金△2一玉▲5六歩とされたときに寄せられるかどうか。

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残り時間36分のうち、24分使って▲1二歩と攻めました。残り12分の藤井竜王に対し、渡辺王将は26分残しています。
▲1二歩の狙いは△同香▲1三歩から香を手に入れての▲4六香です。しかし、△7七桂成でかなり迫られるので、リスクは高いです。
森内九段は△1二同香▲1三歩△7七桂成▲同金△6七歩▲同角△6六歩で後手勝ちそうと話しています。銀を取ってから6筋の叩きが急所で、先手玉は薄さを突かれた格好です。

Dsc_3241(2日目対局再開時の藤井聡太竜王。扇子を手に考えていた)

局面は終盤戦に入りつつあります。2日目の流れを簡単に振り返りましょう。

20220110a_2△6五歩に▲5六角が攻防手でした。△6六歩には▲7四歩がありますし(△8五桂と跳べないのが▲8六歩の効果で、筋違い角と桂頭攻めの相性は抜群)、持ち歩がたくさんあるので▲3五歩からの攻めが楽しみです。渡辺王将は△5四歩▲6五歩△5三金と中央に厚みを作って、先手の攻めを待ちました。

20220110b_2▲3五歩は角銀に活を入れる待望の一手。渡辺王将は駒を前進させる受けを披露します。△2四銀▲3四歩△3六歩▲2五桂△4五歩です。

20220110c守りの銀を2筋に出たのが意表の一着。さらに△3六歩で桂を2五に跳ばせて△4五歩は攻めをかなり呼び込んでいますが、5三の金の厚みを生かそうとしています。▲6五同銀は3七の地点が薄くなって瞬間的に角が使いにくくなりますし、▲6五同角は△4四金や△6五桂と後手の応手が広いので悩ましいです。
実戦は△4五歩に▲2二歩△同金▲4五角と応じました。▲2二歩は手筋で、△4六歩なら▲2一歩成から▲3三歩成と迫れます。しかし、利かされのようでも△2二同金で「効果がすぐにはわかりません」と森内九段。かなり複雑な局面で、損得の判断が難しいようです。

▲4五角以下△8八歩▲同金△3七歩成▲同銀で、現局面です。

20220110e_2▲3七同銀は意外な手でした。というのも、中央の厚みが薄くなるからです。例えば△6五桂や△4四金と後手の駒に前進されると、一気に制空権を握られる恐れがあります。渡辺王将はチャンスと見たのでしょうか、手を止めています。残り時間は▲藤井41分、△渡辺1時間11分です。

Dsc_3280(17時ごろの対局室モニタ)

神谷八段は△4四金に▲5六角△5五歩に▲6四歩△同銀▲7四角と切り返すのではないかと見ています。そこで「思いついちゃったからしょうがない」「こういう手が浮かぶようでは終わりだと思った」と話したのが、▲3七同銀に△4四歩です。歩切れになるのでかなり指しにくいようですが、▲5六角△5五歩▲6四歩に△同金と取れば先手の角を撤退させることができます。△4四歩、実はかなり柔軟な手かもしれません。