2015年1月11日 (日)

15時34分、前例を離れる

5915時34分、渡辺王将は▲5五銀左。前例を離れる新しい一手です。
ただし、この手を予想していた棋士が控室にひとり。前例の将棋を指していた西尾六段で、実戦の後、研究会でこの手が出ていたために、予想のひとつとして挙げていました。進行例は△5五同銀に▲4七銀。銀損してから角取りに銀を引くという意表の展開です。

「この手は初見ではまず当たらないです。西尾さんが絶妙のタイミングで来てくれて助かりましたね」と中座七段。その西尾六段は帰りの新幹線の時間があるため、この手が指されてすぐに控室を後にしています。
研究会で指された有力手の情報は、水面下で伝わります。渡辺王将の情報網にもこの手が入っていたのかもしれません。