第65期王将戦七番勝負第1局
感想戦
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終局直後
――序盤の▲6八玉(19手目)が珍しい構想といわれていましたが。
「あ、そうですね。△3三銀(18手目)がちょっと早かったので、やってみようかなと」
――1日目が終わった段階では、どのように思っていましたか。
「ちょっと頑張りすぎたのか、そうでもないのかと。(陣形が)バラバラですからね。ただ、そういう指し方を選んだので仕方がないか、という感じで」
――2日目に入りまして、玉の近く(7筋)から攻めました。
「もう行かないと、作戦の一貫性がないので仕方がないかと」
――どのあたりでよくなったと思われましたか。
「飛車交換して、と金ができて。少しやれるかな、という感じですかね。▲8二竜と引いたところでは、と金の分だけちょっとやれるかなと」
――勝ちになったのはどのあたりだと思われましたか。
「ああ、いや、詰ますまではまだまだ大変だと思っていましたので」
【羽生名人の談話】
――後手番になって、矢倉も予定のうちだったと思いますが、相手の早囲いは予想されていましたか。
「いえ、何になるかはわからなかったです。ただ、▲6八玉に対して、どう対応するかがよくわからなかったです。ちょっと本譜の展開は危険だったかもしれません」
――1日目を終えられた段階では、どのように感じていましたか。
「ちょっと忙しい局面になってしまったかなと思って指していました。そのあと、どういう展開になるか予想できなくて。うーん、何かうまくまとめる手順がなかったですかね」
――いまの段階で、ここが悪かったというのはありますか。
「これがはっきり悪かったというのは、いまの段階ではわからないですね」
――最後の投了は、あのあたりで。
「もうちょっと早く投げようかと思ったんですけど。まあ、ここはダメだということですね」
郷田王将が開幕局を制す
第1局は17時32分に終局。87手で郷田王将が勝ちました。消費時間は▲郷田7時間17分、△羽生7時間18分(持ち時間は各8時間)。
後手の粘り
広がる差
時刻は17時を回りました。
羽生名人は苦しい状況の中で、持ち駒の補充を求めて△4五香と打ちました。対して▲8六角△4六香▲同歩と郷田王将は銀を取らせて丁寧に対応しています。後手は銀香交換で部分的には駒得ですが、持ち駒の数自体は増えていません。検討陣は差が開いたと見ています。
■Twitter解説■
広瀬章人>77手目▲4六同歩は普通といえば普通の手ですが郷田王将が指すと「格調高い」というフレーズをつけたくなります。局面はすでに終盤戦なので緩手になりかねないのですが△4七香成とされると歩切れを解消されてしまう上に攻め駒が一枚増えてしまいます。(先手優勢)
後手の手が見つからない
図は15時40分頃の局面。
検討陣は後手から攻める手を探していましたが、どうしても見つからずさじを投げました。検討例をいくつか挙げます。(1)△8六角▲同歩△9七桂成▲同香△8七香▲同金△6九竜は▲8九角で先手よし。(2)△7七桂成▲同銀△8五桂▲8六銀△同角▲同歩△7七香は▲同金寄△同桂成▲同金と清算されても後手自信がないとのこと。また(1)の攻めを含みに(3)△6九竜とにじり寄る手には▲7九歩がしっかりした受けで、後続手がないといわれています。
Twitter解説の広瀬八段も後手の手が見つからないとして、先手優勢と判断しています。
「差がついている気がします。終盤前に投了ということもあるかもしれないぐらいです」(神谷八段)
■Twitter解説■
広瀬章人>現局面で後手の手を一生懸命考えていますがなかなか浮かびません。△8六角の筋はコメント欄の通りうまくいかなさそうです。△7七桂成▲同銀△8五桂▲8六銀と進んでたとしても攻めをつなげるのは容易ではありません。(先手優勢)