第72期王将戦七番勝負第2局 Feed

2023年1月22日 (日)

Fin01(勝った羽生九段は1勝1敗と追いついた)

Fin03 (敗れた藤井王将)

Fin05(終局直後、インタビューが行われた)

―先手番で相掛かり。序盤から中盤にかけての手応えは?

羽生 途中までは前例がある形で進んでいたのですが、△3三銀(36手目)くらいから間口が狭くなって、こちらがどう手を作っていくところかと思っていました。

―▲8二金(59手目)のあたりは?

羽生 ゆっくりしていると攻めが切れてしまうので、筋が悪い手なのですが、しょうがないかなあと思って指していました。

―▲8二金はどこから見通していたのか?

羽生 2一に飛車を打ったとき(51手目▲2一飛)に▲8二金くらいまでは進むかなあと思っていました。

―2日目に入ってからの感触は?

羽生 攻めが細い形なので、あまり自信はなかったのですが、ほかの手も分からなかったので、本譜を選びました。

―△7七銀(74手目)と攻めてこられたあとの対応は?

羽生 ちょっと受け間違えるとすぐ負けそうな局面なので、かなり慎重に考えていました。どの変化もギリギリだったと思いましたね。

―対して▲7七同金は1時間以上の長考でベストとの結論か?

羽生 そのあとどうするのがよいかはよく分からなかったのですが、▲7七同金はしょうがないかなあと。

―▲4六歩(79手目)も長考だった。

羽生 代えて銀を使えば長い将棋になるかもしれませんが、ちょっと分が悪そうなので、歩を突いて勝負したという感じでした。

―勝ちが見えたのは?

羽生 最後も怖かったので、何かあったら「もう、しょうがない」と思っていたのですが、詰まなくてよかったなという感じです。

Habu09(インタビューに答える羽生九段)

―対藤井戦2勝目を挙げた(通算対戦成績2勝8敗になった)ことについて。

羽生 1つ好結果が出てよかったなというところですかね。内容的にも、ずっと将棋になっていなかったので、ちょっとホッとしています。

―1勝1敗になり、第3局に向けて。

羽生 いい将棋が指せるよう、自分なりにしっかり調整して臨みたいと思います。

Fujii09(続いて藤井王将にインタビュー)

―後手番の本局、相掛かりは予想していたか?

藤井 予想していたというわけではないのですが、序盤が途中まで前例がある形だったので、それに沿って指していました。

―1日目から激しくなった。▲8二金(59手目)への対応は?

藤井 その前に▲1三歩(43手目)と垂らされたときに角をどこに打つか迷ったのですが、本譜は▲8二金まで進んでみると、思った以上に嫌な形なのかなという印象を持っていました。

―2日目午前、△7七銀(74手目)からは攻め合うしかない?

藤井 本譜、▲5七銀打(77手目)と受けられてからはハッキリしてしまったかと思うので、その前に何かあったかだと思います。

―2日目は厳しい戦いが続いていたのか?

藤井 そうですね。考えてもなかなか思わしい変化が見つかりませんでした。

―78手目は△9八飛でなく7八に飛車を打った狙いは?

藤井 本譜のように追ったとき、5筋から6筋に逃げ込まれる手を防いではいるのですが、4筋のほうに逃げ込まれて詰まないので、この局面自体はすでに本譜でダメかなあと思っていました。

―第3局への意気込みを。

藤井 すぐ来週にあるので、しっかり調整して何とかいい状態で臨めるようにしたいと思います。

Ousho202301210101101第72期ALSOK杯王将戦七番勝負第2局、▲羽生-△藤井聡戦は101手で羽生九段が勝ちました。終局時刻は17時56分。消費時間は、▲羽生6時間58分、△藤井7時間51分。この結果、羽生九段が1勝を返してどちらも1勝1敗となりました。
第3局は1月28、29日(土、日)石川県金沢市「金沢東急ホテル」で行われます。

Ousho202301210101_78後手は飛車を9八からと離して打つと見られていたところ、藤井王将は7八と近づけて打ちました。▲6九銀が飛車に当たるのはワナで、△6六金で後手勝ちとなります。羽生九段は▲4六歩と受けました。玉を4七に上がってしまえば馬取りになり、角を持てば▲5一角が厳しいという理屈です。当初は△4六同角(下図)に▲6九香で先手有望と見られていました。

Ousho202301210101_80しかし、検討が進むと△6八馬▲同香△5七角成▲同玉△4六銀▲同玉△4四香(変化3図)の順が発見され、先手玉が詰むや詰まざるやの際どい変化となっています。

_88飛車を7八から打ったことで、変化3図で▲5五玉なら△4六銀▲6六玉△7五金▲同歩△同飛成までの詰みがあります。

Fujii04

Habu04 (難解な変化を乗り切るのはどちらか)

山水館では、終局後の恒例として両対局者の顔を模したケーキが振舞われます。食べるときにナイフを入れることに抵抗の声も聞かれ、まさに芸術といえるでしょう。1日目午前、羽生九段が頼んだ雪うさぎも似顔絵ケーキのパティシエ謹製です。

Cake01 (前期は当時の渡辺明王将と藤井竜王、それぞれの好みを採り入れて)

Cake02 (第69期の当時、▲広瀬章人八段-△渡辺明王将戦は両者ノリノリ)

Cake03 (中でもひときわインパクトのある写真)

Cake04 (山水館初回対局となった第68期は現物を撮影)

Cake05 (当時は渡辺明棋王として挑戦者だった)

Cake06 (当時の久保利明王将もよく似ている)

Ousho202301210101_74_2上図、昼食休憩を挟んで1時間25分を費やす長考での△7七銀に対し、羽生九段も1時間12分の長考を返して▲7七同金と応じました。
Ousho202301210101_76続いて△7七同馬は▲同銀なら△5七金▲5九玉△6九飛▲同玉△6八金打▲同銀△同金までの詰みを見た厳しい手です。羽生九段は▲5七銀打と受け、その局面で藤井王将は残り時間が1時間を切りました。一方の羽生九段は2時間10分を残しています。

Ousho202301210101_77Habu03 (羽生九段は残り時間の面では優位に立っている)

15時、両対局者に2日目午後のおやつが出されました。藤井王将はアイスティー、ゆずソーダ、羽生九段ははにたん最中、ホットコーヒー。

Oyatsu23 (藤井王将のおやつ)

Oyatsu25 (羽生九段のおやつ)

Oyatsu27 (はにたん最中は前期、藤井王将が頼んで話題となった)

Oyatsu29 (控室にもはにたん)

15時前、古森悠太五段が控室を訪れました。本日は大盤解説会の解説を務め、稲葉八段が山水館に戻ってきていた間もカバーしています。

Hikae08(古森五段は高槻市出身。以前の高槻対局で記録係も務めた)