第69期王将戦七番勝負第3局 Feed

2020年2月 9日 (日)

Dsc_5826(終局直後に主催者インタビューがあった)

Dsc_5837(激戦を制した渡辺明王将)

――1日目はいかがでしたか。

渡辺 あまり前例のない将棋でした。無難に進めていたつもりが、1日目の夜に封じ手の局面を考えていたら、どれも思わしくなくて。△2四歩(56手目)から△2五歩(62手目)がうまい構想だったのかなと思い、1日目の指し方を後悔していました。

――2日目の昼まではどうですか。

渡辺 もう少し頑張れるかと思っていたのですが、昼休憩明けのところは思ったよりも悪くなっていました。△6六桂(84手目)も見落としていて、ちょっと足りない形になってしまったと思いながら指していました。

――いい勝負になったのはどのあたりでしょう。

渡辺 ▲6一飛(109手目)から▲3三歩成(111手目)で攻めのターンが回ってきたので、大変にはなったかなと思いました。それでも結局は足りないような気持ちもありながら指していましたが。

――終盤はすさまじいデッドヒートでした。

渡辺 ▲2五金(125手目)や▲3七玉(133手目)で上に逃げ越す形になり、自玉が寄らなくなりました。そのあたりで勝ちになったのかなと思いました。

――これで2勝1敗になりました。第4局の抱負をお願いします。

渡辺 また作戦を練って、本局のように内容の濃い将棋を指せればいいと思います。

Dsc_5861(敗れた広瀬章人八段。次局は先手番で迎える)

――1日目を振り返ってどうでしたか。

広瀬 先手の理想形を黙って見ていると作戦負けになるイメージがあり、少しポイントを稼ぎにいったのが1日目でした。ただ、▲7七桂(57手目)から▲6五桂と勢いよく指されて、△2五歩(62手目)でいい勝負になればいいかな、というところでした。

――2日目昼の時点では、後手に攻めの手もありそうでした。

広瀬 こちらも飛車と角を渡しているので。本譜がギリギリの攻めなのですが、切れなければ大変な勝負なのかなと思っていました。

――終盤はいかがでしょうか。

広瀬 水面下で詰む詰まないの変化がいくつもありました。ぴったりした変化もお互いあったと思いますけど、本譜は△2九と(98手目)の飛車の取り方の味が悪く、思っていたよりも難しい将棋だったんだなと思いました。

――手応えを感じた局面もあったと思いますが。

広瀬 △3七歩(94手目)の局面は少し勝っているという認識でしたが、読んでみると本譜の先手の順は最善で、いつの間にか攻守が入れ替わり、ちょっと苦しくなってしまいました。

Dsc_5879 (感想戦の前に大盤解説会へ移動する)

20200209a

七番勝負第3局は渡辺王将が勝ち、シリーズ成績を2勝1敗としました。終局時刻は19時24分。消費時間は▲渡辺王将7時間57分、△広瀬八段7時間59分。第4局は2月20・21日(木・金)、神奈川県足柄下郡箱根町「ホテル花月園」で行われます。

2002_119_2 1図から△3一歩▲3四飛△5五桂(2図)と進みました。△3一歩は銀をタダで取らせる驚きの手ですが、代えて△2三銀打も▲3四飛△同銀▲2一銀から寄せられそうでした。


2002_122_2

2図で「桂先の銀」と▲5六銀は、△3九銀▲3七玉△4五桂▲同金△2六金▲3八玉△2八と▲4九玉△4五歩(参考図)で「先手の手が見えません」と長谷部四段。この変化は後手が勝ちそうです。

実戦は2図から▲3八玉と逃げました。ここに至るまでもギリギリの変化がいくつもあり、勝負の行方は予断を許しません。


2002_122s


2002_105後手は98手目△2九とで飛車を取りましたが先手玉は詰めろにならず、先手は▲7二銀不成(図)と金を取る手が間に合いました。逆転の声はまだ上がっていませんが、まぎれ始めている可能性はあります。



2002_093渡辺王将は押されながらも6二にクサビを残しました。広瀬八段は図の局面で頭を抱えています。後手が3筋を封鎖して先手玉をしばったとして、そこで後手玉が詰むかどうか。いよいよ互いの玉の詰む詰まないが絡む変化になります。

(追記)広瀬八段は図から△3七歩で詰めろをかけました。以下▲4六歩△3八歩成▲4七玉(変化図)が中座七段の示す勝負手。先手玉を上に追うような詰めろをかけると、後手玉が詰まされやすくなります。かといって▲4七玉に△2九とも怖い形で、後手は悩ましい選択を迫られそうです。

2002_093sDsc_5538(朝の広瀬八段。終盤の速度計算に定評がある)