第62期王将戦七番勝負第1局 Feed

2013年1月14日 (月)

130113_92図は92手目△2八馬の局面。残り8分の佐藤王将は貴重な5分を使って▲4五桂と打ちましたが敗着に。感想戦ではこの局面の検討に長い時間費やされました。その結果▲3四桂(参考1図)が有力と判明しました。佐藤王将は(1)△3三歩を気にされていましたが、▲2一飛△3一金▲同飛成△同銀▲3三角成(参考2図)が飛車を渡すので気付きにくい攻め。
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20130114_sanko2 参考2図以下△2四飛▲3五玉△3二歩(△2四飛と打たないと、▲4二金から清算して▲5四桂で詰み筋)▲2四馬△同歩▲3七桂打△4八飛▲4七銀打△5七角▲同銀△4七飛成と先手玉を4六に逃がさないようにしながら迫りますが、そこで▲2二角(参考3図)が攻防手。▲2二角に△4四銀▲2四玉△2二銀と角を取っても▲4二金から後手玉が長手数で詰んでいます。
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参考1図の▲3四桂の局面に戻って、渡辺竜王の予定は(2)△1九歩成でした。ところが、しばらく検討するうちに▲2一飛が有力と分かりました。以下△3一香が攻防手なのですが、構わず▲2二桂成と踏み込み、△2四飛▲3五玉△2二金(香の利きで王手)▲3三桂△同金に▲同角不成(参考4図)が妙手。20130114_sanko4_2角を成らないことで、参考4図から△3四歩▲4五玉△5三桂▲5四玉△4二桂▲4三玉△5二金▲4四玉(参考5図)と王手をかけ続けた局面が打ち歩詰めです。3三の角が馬なら△4三歩▲同馬△同金▲同玉△5二角▲4四玉△3五歩までで先手玉が詰んでしまうところです。
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渡辺竜王が▲3三同角不成に気付いて指摘すると、佐藤王将は「ひえー、そんな手が」と悲鳴を上げて天を仰ぎました。
以上のように、難解な手順ですが感想戦の結果では、92手目△2八馬に▲3四桂なら先手が勝っていた可能性ありました。佐藤王将は「本譜の方が望みがあると思っ」て▲4五桂を選んだそうで、惜しい逸機でした。

終局後にインタビューが行われました。

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(渡辺明竜王は鋭い踏み込みで先勝)
「こちらが歩損で手が作れるかどうかの将棋になった。手が広い局面が続き、攻めが切れないように気をつけました。(終盤で時間を使っていたことについて)危ない筋も多かったので。自玉を安全にする筋が見えてよくなったと思いました」

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(初戦を落とした佐藤康王将)
「相掛かりは予定通りだったが守勢になって面白くなかった。▲2五歩が微妙だったかもしれない。▲4五桂で何かあったかもしれませんが苦しいのかもしれません。本譜は負けにしました」

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(感想戦の前に大盤解説会場に向かう両者)

130113_130 佐藤康光王将に渡辺明竜王が挑戦する第62期王将戦七番勝負第1局は18時4分、130手で渡辺竜王の勝ちとなりました。消費時間は佐藤7時間59分、渡辺6時間46分。第2局は1月23・24日(水・木)に佐賀県佐賀市「古湯温泉 おんくり」で行われます。