第71期王将戦七番勝負第4局 Feed

2022年2月12日 (土)

Dsc_5860(立飛ホールディングスの社員から花束が贈呈される)

Dsc_5888(記念撮影に応じる藤井新王将)

Dsc_5928(花束を抱えながら手の平を広げて五冠を伝える藤井新王将)

Dsc_6030(王将と揮毫した色紙を手に)

Dsc_6171(会見場には偉業達成に多くの報道陣が詰めかけた)

Dsc_6186(10台以上のテレビカメラが新王将を追いかける)

Dsc_6151001(記者の質問に答える藤井聡太新王将)

――1年前は二冠でしたが、一気に五冠になりました。大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、羽生善治九段に次ぐ4人目となります。大棋士と肩を並べてしかも史上最年少で五冠を達成された今の気持ちをお聞かせください。
藤井 過去に五冠になられた方は時代を築いた偉大な棋士ばかりなのでとても光栄に思います。自分の場合はまだまだそういった立場に見合った実力がまだ足りないかなというふうに思うので、今後さらに実力をつけていく必要があるかなとも思います。

――次の年度からは五冠の防衛戦と、ファンからは他のタイトルの積み上げを期待されていると思います。来月の順位戦で勝つとA級に入って名人への挑戦権争いにも加わることになります。
藤井 来月の順位戦は昇級が懸かった対局になるので、しっかり悔いのないように戦えればと思っております。翌年度からは防衛戦も始まることになるので、それに向けてしっかり少しずつ実力を高めていければと思います。

――藤井五冠は常々、記録は意識しないと語ってきましたが、タイトルを重ねていくうちにいろいろと思いも変わってくると思います。タイトルを取っていくことの意義についてどう考えていますか。
藤井 これまでもタイトル戦の対局を経験させてもらう中でいろいろ成長できた部分がとても多かったと思います。タイトルを取るということ以上にそういった舞台での対局を生かして成長につなげていくということが大事なのかなと思っております。

――今回の番勝負を通して自分なりに成長したなと思うこと、課題だなと思うことはありますか。
藤井 渡辺名人と2日制の対局は初めてだったんですけど、長い持ち時間であらためて対局してみて特に中盤のバランスの取り方で気づかない手を指されることが多かったので、そのあたりが特に勉強になったと感じております。

――三冠になったとき八冠は「ひとつの理想の形」と語っていましたが、五冠になって状況が進展してきました。現在は八冠についてどのような視点を持っていますか。
藤井 翌年度から防衛戦が始まりますし、まだ具体的に目指すということではないのかなというふうに思います。またそういった経験を通して実力を高めていくことで、少しでも近づければいいのかなというふうに思っています。

――普段から高勝率を誇っていますが、タイトル戦でこれまで7回戦って負けなし、フルセットも1回だけとなります。タイトル戦と普段の対局とで戦いやすさに違いがあったりしますか。
藤井 自分としては気持ちの違いなどはないんですが、タイトル戦ですと各地を転戦して対局させていただくことが多いので、自分にとってはいいモチベーションになっている部分があるのかもしれません。

――タイトル戦の中でも2日制の対局が16勝1敗。際だった成績が2日制で出ているように感じますが、ご自身はどう考えていますか。また自分の強みが出せると考えている部分があるのでしょうか。。
藤井 自分は中盤で時間をたくさん使うことが多いので、2日制であったり長い持ち時間ですと自分としては戦いやすいところがあるのかなとは思います。

――五冠を獲得することになり、他の棋士はこれまで以上に藤井さん対策を強化されることになると思いますが、望むところでしょうか。
藤井 自分としてはやり方を大きく変えるということはないので、今までやってきたことを積み上げていければと思っています。

――ストレート勝ちができた要因について作戦の立て方や時間の使い方などあれば教えてください。
藤井 中盤が苦しい対局が多かったので4連勝という結果は幸運だったのかなと思います。苦しい局面でも粘り強く指して終盤の競り合いに持ち込むことができたのがいい結果につながったのかなと思います。

――立川やSORANO HOTELの印象についてお聞かせください。
藤井 立川は初めて訪れたのですが、対局室の窓から目の前の公園であったり遠くに富士山が見えて、都会でありながら自然が豊かなところなのかなと思いました。

――初戦からたくさんの瀬戸市民が新王将の応援をしていました。愛知県外の方からは瀬戸市を応援していただく機会が増えてきましたが、それについてどんなお気持ちですか。
藤井 地元の瀬戸市の方にはいつも応援していただいてとても励みになっています。今回またひとついい報告をすることができたのがうれしく思いますし、地元の方に楽しんでいただけるように頑張っていきたいと思います。

――長い持ち時間の将棋で本領を発揮していらっしゃいますが、子ども時代から短い持ち時間は嫌いでしたか。
藤井 嫌いだったということではないのですが、昔から長考派ではあったので、当時からじっくり考えるのが好きでした。

Dsc_5637(感想戦の様子)

Dsc_5689(王将奪取で五冠になった藤井新王将)

Dsc_5653(敗局を振り返る渡辺前王将)

Dsc_5668(藤井新王将の後ろから感想戦を見守る観戦記担当の関口武史指導棋士五段)

Dsc_5656(渡辺前王将は七番勝負で初のストレート負けを喫した)

Dsc_5719(感想戦終了は19時26分)

Dsc_5724(敗れた渡辺前王将は足早に退出する)

Dsc_5753(羽織りを着直す藤井新王将)

Dsc_5777(関係者と報道陣に会釈をして会見場に向かう)

Dsc_5509(藤井新王将)

【藤井聡太新王将インタビュー】
――一局を振り返ってください。
藤井 序盤から常にこちらの攻めを催促する形でした。常に忙しい展開でしたが、中盤△4四桂(62手目)に▲7四歩が見えていなかったので…。どう指せばいいかわからなかったので、封じ手のあたりは少し自信がないのかなと思いました。

――2日目、好転したのはどのあたりでしたか。
藤井 △4四銀(76手目)から△4三金左として、少しこちらの玉も耐久力がある形なのかなと思っていたのですが、▲8六角(85手目)からかなり迫られる形になってよくわからなかったです。

――終盤まで難しい将棋だという実感でしたか。
藤井 形勢判断ができない場面が多かったなという気がします。

――4連勝という結果についてはいかがですか。
藤井 終わったばかりなのでまだ。実感がないところもありますが、今回の番勝負は8時間という長い持ち時間で対局して、あらためて勉強になる部分が多かったので、今後に生かしていければと思います。

――中村修九段の記録を4年ほど塗り替える最年少王将になりました。
藤井 そのことは全く意識していなかったのですが、王将はとても歴史のあるタイトルなので今回獲ることができてうれしく思います。

――4人目の五冠になりました。意義や価値についてどう受け止めていますか。
藤井 自分の実力を考えるとここまでは出来過ぎの結果なのかなと思いますし、今後なんとかそれに見合う実力をつけていけたらと思います。

――今年度の対局が残り少なくなってきました。今後の対局に向けて。
藤井 順位戦も自分にとっては大きな対局ですので、悔いのないように指せればと思います。

Dsc_5625(敗れた渡辺前王将)

【渡辺明前王将インタビュー】

――カド番で迎えた本局は矢倉を採用しました。この一局をどう振り返られますか。
渡辺 封じ手のところはまずまずと思っていたのですが、手が広くなったところで間違えてしまったような感じですかね。

――4連敗について、対局内容を振り返って。
渡辺 またストレートで負けてしまったことについては…。なんというか、残念というのもちょっと違うし。もうちょっとなんとかしたかったんですけど…。

――今年度は大事な棋王戦も残っていますし、今後の対局に向けての抱負や気持ちは。
渡辺 この結果になってしまったのが残念なので…。そういう感じですね。

Dsc_5524 (終局直後の様子)

20220212_112第4局は114手で藤井竜王が制しました。終局時刻は18時23分。消費時間は、▲渡辺7時間55分、△藤井7時間24分。この結果、藤井竜王はシリーズを4勝0敗で制して初の王将位を獲得。同時に、羽生善治九段が持つ最年少五冠達成の記録を22歳10カ月から19歳6カ月に塗り替えました

20220212n局面が大きく動きました。1図から▲3二と△6四歩▲6六馬△8五金(2図)▲9五角△7五歩▲2三飛成△5四桂▲6七馬△9五金▲6九玉△4七と(3図)と進みました。

20220212o2図の△8五金が手厚い手で、藤井竜王が優勢になったようです。先手はようやく飛車を成り込みましたが、3図は後手玉が6二~5三と逃げる形が広く、寄りがない格好です。控室では藤井竜王が抜け出したと見られています。

20220212

Dsc_5454(オンライン大盤解説会の様子)

Dsc_5444

(解説者の谷川浩司九段)

Dsc_5450(日本将棋連盟常務理事の西尾明七段)

Dsc_5455

(SORANO HOTELの外観)

20220212l時刻は17時15分。1図から▲8三角△7三飛▲6五角成△3七歩成(2図)と進みました。

20220212m渡辺王将が▲8三角~▲6五角成として6五の拠点を消しました。中村修九段は「後手から△6六桂と打たれると先手玉が寄ってしまう変化があったので、上部を手厚くして長い戦いに持ち込もうとしているのだと思います」と見ています。形勢はなんともいえず、激戦が続いています。

Dsc_5407(控室の窓から沈んでいく夕日が見えた。決着は夜戦に)

Dsc_4483(対局場の最寄り駅であるJR立川駅)

Dsc_4467(やってきたのは南武線)

Dsc_4499(今回はJRには乗らず私が向かったのは多摩モノレールの立川北駅)

Dsc_4501(多摩モノレールは上北台から多摩センターまでを結んでいる)

Dsc_4515(モノレールに乗車し、多摩川を渡る)

Dsc_4543(私が降りたのは万願寺駅。現在はこの地に万願寺という寺はなく地名として残っているそうだ)

Dsc_4537(乗ってきたモノレールを見送る)

Dsc_4554(向かった先は土方歳三資料館。ここ万願寺が生誕の地として知られる)

Dsc_4557(しかし開館時間にタッチの差で間に合わず残念…。またの機会に訪れたい)

20220212j16時30分、局面は1図から△5八馬▲同玉に△3六歩(2図)と進みました。

20220212k

△3六歩では△5六歩や△3四金~△6六桂が有力と見られていましたが、藤井竜王の指し手は△3六歩でした。次に△3七歩成と桂を取りながらと金を作っても先手玉が詰めろにはなりませんが、先手にもそれにまさる速い攻めがないと見越しているのかもしれません。△3六歩に渡辺王将が手を止めています。本局最大の勝負所といえるかもしれません。

20220212h局面は終盤戦に突入しています。1図から▲2六飛△5一玉に▲2九飛(2図)と進みました。

20220212i渡辺王将は▲2六飛~▲2九飛と馬を攻めたのです。▲2三飛成や▲3二との攻め合いでは間に合わないと判断したかもしれません。難解な形勢ながらもここにきて藤井竜王がペースをつかんだようです。

昨日、副立会人の佐々木慎七段とGREEN SPRINGSをさんぽしました。ですが、休日とあって施設内が賑わっていたため、撮影できたのはほんのわずかでした。

Dsc_4418 (JR立川駅と逆側の入口で撮影)

Dsc_4420(まぶしさで目を細める佐々木慎七段)

Dsc_4423(上昇輝竜のモニュメントをバックに記念撮影)