第64期王将戦七番勝負第3局 Feed

2015年1月31日 (土)
2015年1月30日 (金)

両対局者は感想戦の前に大盤解説会場へ。ファンの前で本局について振り返りました。

渡辺王将「いろいろあった将棋でした。1日目はかなり激しくて、終盤戦になりそうなところから中盤戦に戻るような将棋でした。飛車が2六に行ってからは形勢判断を含めてよく分かりませんでした。2筋の歩の上に飛車がいる形はないので、常識的な判断が通用しない局面になってしまいました。その後はちょっとうまく指せなかったですね」

郷田九段「封じ手の時点では決戦する順を考えていました。いろいろ考えていたのですが自信が持てなくて、長い将棋にするような手順になって……ちょっと自信がない将棋だったですね。歩が足りなくて1歩に泣いているような感じでした。好転したと思ったのは最後のほうです」

Dsc_0562 (中村修九段が司会進行)

Dsc_0580 (ファンの前で本局の感想を述べた)

Dsc_0552 (今シリーズ初勝利を挙げた郷田真隆九段)

―矢倉戦になりました。
郷田 △4四銀左(42手目)はちょっとやってみようと思ったのですが、端が薄くなってしまったので、ずっと自信がなかったです。

―▲4五飛(55手目)の局面で、長考して封じ手になりました。
郷田 △4六歩(56手目)以外に、もうちょっといい変化がないかと思い、端を絡めて攻めるような順も考えたのですが自信がなかったです。ただ、△4六歩もあまりいい手ではないので、うーん。

―△5四銀(58手目)は大長考でしたが予定と違いましたか、それとも読み直していたのですか。
郷田 封じ手のときは決戦にいく順を考えていたのですが自信がないので、悪いとは思いましたが長もちする順を考えていました。

―△4二飛(74手目)の局面の形勢判断を教えてください。
郷田 まったくダメだと思っていました。ちょっとアヤが残ればという感じで。

―どこで好転したと感じましたか。
郷田 ずっと自信がなくて、最後も負けかなと思って指していました。角を取ったところ(134手目△4八と)は、もしかしたら勝ちになったかと思いました。

―最後の即詰みは読み切りでしたか。
郷田 読み切ってはいませんが、それしかないので。

―第4局に向けての抱負をお願いします。
郷田 これからも自分の将棋を指し切りたいと思います。

Dsc_0549 (敗れた渡辺明王将)

―封じ手までの進行はいかがでしたか。
渡辺 ちょっと失敗したかと思いました。封じ手前の局面で▲4五飛といかないと、後手に二枚銀の形を作られて攻めの手段がないので、すべてを分かっていたわけではないですが、無理でもあそこで戦いになったほうがいいと思って▲4五飛としました。

―△4二飛(74手目)のあたりは。
渡辺 かなり意外な展開でした。決戦になると思っていたので、ちょっと想定してなかったですね。見た目はよさそうだと思ったのですが、2六飛が守りに利かないので、見た目以上には嫌なところはあると思いましたけど。

―その後の▲4六歩(77手目)や▲5六歩(83手目)は手堅い指し方に見えました。そう感じて指していたのですか。
渡辺 でも▲2五桂(81手目)のあたりはおかしいというか、自信がなかったです。流れは押せ押せなのかと思いましたけど、具体的に攻め合いになったときに飛車がいない分、よく見るとあまり自信のない展開も多かったです。

―こう指せばよかったという手はありますか。
渡辺 ▲3六飛(97手目)はちょっとまずかったですよね。銀が死んでしまったので。代わる手は分かりませんが、とりあえず飛車を寄らなければ銀は死ななかった。お互い厳しい手がある局面ではないですが、なにかぼんやりしたうまい手があれば、そちらのほうがよかったですね。形だけで飛車を寄ってしまった。△4四歩(100手目)からは足りないと思いました。

―第4局に向けての抱負をお願いします。
渡辺 ちょっと間が空くので仕切り直したいと思います。

Dsc_0558 (インタビューを受ける両対局者)

110先手は王手で駒をはがせる形。局面は終盤戦に入りました。後手も大駒の両取りをかけており、飛車を取って敵陣に下ろせば速い攻めになります。


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Dsc_0541(控室から見える風景。夜戦に入っている)

101図の局面で後手の候補手は△4二銀と△4五歩。現地大盤解説では△4二銀が本線と言われています。佐藤秀七段と松本六段が二人で解説していますが、大盤上の検討では先手に思わしい変化が見つかっていません。形勢は後手に傾いてきたようです。84手目△5五歩のあたりで流れが変わったでしょうか。ちなみに図で△4二銀が指されると、後手の右銀は初形から9手動いたことになります。

Dsc_0530 (現地大盤解説会)

92_96一手一手が難しい将棋になりました。まず92手目△4四銀の局面で、先手の指す手が難しい。実戦は▲3三歩成でしたが、後手陣のもっとも堅い所を攻めていて、しかも後手の歩切れを解消させるという点で指しにくい手です。以下△3三同桂▲同桂成△同銀右と進みましたが、▲同桂成では▲4四銀、△同銀右では△同銀左もありました。この先も難所がいくつもあると予想されています。長い戦いになりそうです。

Dsc_0529 (控室のモニターで対局室の様子を見ることができる)