第66期王将戦七番勝負第5局
感想戦1
終局直後
(郷田真隆王将は3連敗後の2連勝)
――21手目▲3五歩の新手は以前から温めていたのでしょうか。
郷田「最近、考えていた手でした」
――封じ手の局面はどのように考えていましたか。
郷田「△6二角(封じ手)で手がないということがわかっていなかった。もう少し何とかなるかと思っていたのですが……。33手目▲3六歩は苦しめの手なんですけど、せめて銀を中央に使える味を残そうということで」
――結果的に▲3六歩が生きましたか。
郷田「そうですね、その前を思えば少しは」
――どこでよくなったと感じましたか。
郷田「銀桂交換して、と金ができて、飛車が安定したので、そこはやれるような気がしました(55手目▲2一歩成から63手目▲2六飛のあたり)。ただ、決めるとなると先は長い。わからないまま指していました。勝ちだと思ったのは、詰みが見えたところです」
――第6局に向けての抱負を聞かせてください。
郷田「ベストを尽くして指すだけです」
(敗れた久保利明九段)
――21手目▲3五歩の対応はいかがでしたか。
久保「いろいろありそうなところでしたが、本譜がいちばん大駒を使えそうなイメージがありました」
――封じ手のあたりはどのように考えていましたか。
久保「少し模様がいいのかなと思っていましたが、相変わらず手が広いので、ちょっとわからなかったです」
――その後の展開はいかがでしたか。
久保「37手目▲6七銀でやる手がわからなくなりました。もしかしたら(34手目△6五銀で)歩を取ったのがよくなかったかもしれませんが、ほかの手もわからなくて。△2六歩と▲2四歩(42手目と43手目)の打ち合いはよくなかったと思います。3五銀を取れても、と金を作られてしまうので」
――第6局に向けての抱負を聞かせてください。
久保「仕切り直して頑張りたいと思います」
郷田王将が制す
郷田真隆王将に久保利明九段が挑戦する第66期王将戦七番勝負第5局は、19時11分に153手で郷田王将の勝ちとなりました。消費時間は▲郷田7時間53分、△久保7時間59分。勝った郷田王将は2勝3敗としました。
第6局は3月14・15日に浜松市「グランドホテル浜松」で行われます。(銀杏)
驚きの勝ち方
「後手がこれほど攻める展開になるとは、先手は驚きの勝ち方だね」と佐藤八段。先手玉は怖い形にも見えますが、まだ先手が残しているようです。図から△4一歩▲7九香と進んだ18時44分、佐藤義八段は対局室に向かいました。
まだまだ長い勝負か
攻める郷田王将
まもなく17時、ここまでの流れ
佐藤義八段にここまでの流れを解説してもらいました。
「△3七歩(1図)は凝った手ですが、以下▲2六飛△3八歩成▲同金△3四歩に▲3七桂が銀取りの先手になりました。後手が少し苦しくしたと思います」
「▲3六同飛(2図)には△2一金のほうが先手も迷ったと思います。本譜は△3五銀と辛抱しましたが、以下▲1六飛△2一金▲3六歩に△4四銀と銀を引かされ、さらに▲2六飛△3一金に▲2四とが間に合いました」
「3図で△2二飛としましたが、これは後手が苦しいと認めた手です。▲2三と△5二飛▲2四と△2二飛の千日手になるならいいと」(実戦は▲2九飛△5一角▲2三歩で先手が打開)
「▲3四と(4図)とは、しゃれたと金寄りです。△同銀なら▲2二歩成△同金▲3四桂です」
先手は2筋で作ったと金をうまく活用しました。