囲み取材
感想戦終了後、福間女流王位への囲み取材が行われました。
── 改めて今シリーズを振り返って。
福間 先手番の第1局と第3局と同じ形になったのですが、早い段階で力戦に入り、見たことがあるようなないような定跡形で、一手一手が難しい将棋だったと思います。第2局は完全な力戦形で苦しい将棋でしたが、それを勝てていい流れを作れたのかなと思います。
── 「早い段階で力戦」というのは研究から外れたということですか。
福間 お互いに選択肢が多くて、第1局と同じ展開にするのか、それとも早い段階で手を変えるのか、という感じで何通りかは考えていたので、序盤は少考でしたけど時間を使って選択していました。
── 第3局の加藤女流四段の△8八歩成(52手目)は1時間32分の長考でした。どのようなことを考えていましたか。
福間 自然に指されての変化があまりよく分かっていなかったので、一緒に長考しているような感じでした。結構すぐに終盤に入りそうな段階だったので、ポイントなのかなと思っていました。
── 女流王位になると王位戦予選の出場、王位との記念対局などがあります。
福間 公式戦はものすごく得るものが多いですし、記念対局も普段できない経験なので、特別な対局ができることに関してはすごくうれしいです。女流棋戦は続いていますが、そういう対局を含めて一局一局大事に指せていけたらと思います。
── 本日の終局時の心境は。
福間 まずは対局が終わってホッとしたという気持ちで、その次に勝負どころがどうだったのかな、という気持ちでいました。
── 今後も色んなタイトル戦を戦われると思いますが、どのような意気込みで臨まれますか。
福間 第1局、第2局と危ういところがあったので、今回のシリーズを反省して、次の対局に生かしていければと思います。
── 第3局では自陣の角が働いて、▲5七角(87手目)~▲7五角は立会人の中田功八段も「芸術的なさばきだった」とおっしゃっていました。
福間 こちらの自陣周りを気にする展開だったので、指しているときは本当に苦心しながら発見した感じでした。最後はうまく使えてよかったと思います。▲3三歩(75手目)とたたく前は変化も多いので慎重に時間を使いました。
── シリーズを通して印象に残った場面は。
福間 第2局が全体的に押され気味だったので反省点は残りますが、実戦的に迫れた点はよかったかなと。ただ、細かいところで正確な手が指せなかったので、その辺りを強化できたらと思っています。
── 序盤の指し手が早かったのは、想定内の局面で進んでいたということですか。
福間 ある程度は考えていましたが、ただ、実戦だと研究とは違った気になる変化が出てくるので、選択肢を決め兼ねているところは実戦で考えながら、自分の棋風と照らし合わせてやっていこうと思っていました。
── 今回の防衛で通算タイトル獲得数が58になりました。
福間 今回のシリーズも戦型選択とか考えるところがあったので、色んな形や幅広い指し方ができるように、今後もやっていけたらと思います。
以上で第35期女流王位戦五番勝負の中継を終了いたします。来期、福間女流王位に挑むのは誰になるのかお楽しみに。本日はご観戦ありがとうございました。
(夏芽)