新女流王位インタビュー
(感想戦から少しの間を置いて、改めて里見香奈新女流王位の取材があった)
――本局で勝勢を意識したのは。
里見 最後のほうですね……対局中は相手が投了するまで気が抜けませんので。最終手△9七歩で攻める番がやっと回ってきました。
――渡部先生について。
里見 中盤で手を作る段階での読みの精度が高い、というのをすごく感じました。どうやって手を作られるのかな、という局面でうまく均衡を保たれますし、こちらがよくなったときもそういう形で指されたのが印象深いです。
――前期に失ったタイトルを奪還しました。いまのお気持ちは。
里見 全体を通して、よくなった局面で間違えてしまうことがありました。ただ、ひとつのミスで止められたことはよかったかなとも思います。
――新元号「令和」になって初めての女流王位です。
里見 そういう面でも注目していただけるのは大変うれしいことです。また女流王位は、王位の先生との記念対局がありますので、それがひとつのモチベーションになりました。
――足の捻挫が影響したまま対局が続いています。
里見 自分の不注意で昨年末にケガをしてしまいました。関係者の皆さまには申し訳ない気持ちと、毎回座布団などを多く用意していただいたことへの感謝の気持ちがあります。ケガのあとはしばらく動けませんでしたが、母に周りのことを全部してもらってすごく助かりました。
――第12期マイナビ女子オープン五番勝負で敗れたあと、どうやって切り替えたのか。
里見 内容的にも自分のミスが目立ってしまったことが多かったので、何とか修正できるように、という気持ちで勉強してきました。
――対局スケジュールが混んでいます。
里見 かえってそれがよかったのかなと。目の前の一局一局に集中できました。ありがたいことだと思います。
(リクエストに応えてメガネを外すシーンも)
――女流五冠になりました。史上初の女流六冠に向けて。
里見 もうひとつのタイトル(ヒューリック杯清麗戦)は挑戦者になったわけでもありませんので、特には考えていませんね。
――クイーン称号の獲得数で清水市代女流六段に並びました。
里見 結果がついてきたことがうれしいですし、そういった記録で並ばせていただけたこともすごく光栄です。
以上で、第30期女流王位戦の中継はすべて終了となります。
ここまでご観戦いただきまして、誠にありがとうございました。第31期もどうぞお楽しみに。
(虹)