終局直後にインタビューがありました。
―― 里見女流王位にうかがいます。序盤はいかがでしたか。
里見 後手を持って指すことが多いのですが、いくつか対策があるなかで本譜の順がいちばん力を出しやすいかなと思いました。
―― その後はどうでしょうか。
里見 ▲7五歩(55手目)から▲8五歩としたところは少し自信があったのですが、左金を使われてしまって、なかなか攻め方がわかりませんでした。
―― ▲6八飛(65手目)から攻めていきましたが。
里見 自信はありませんでした。読みきれてはいなかったのですが、自分の玉が一瞬だけ堅かったので、本譜の順で勝負するしかないと。
―― 勝ちを意識したのはどのあたりでしょうか。
里見 ▲7四銀成(105手目)から2枚換えになったあたりです。
―― 岩根女流三段にうかがいます。本局を振り返っていかがでしたか。
岩根 先手に金銀を盛り上がられてしまって、少し指しにくいと思っていました。△2五桂(54手目)も攻めさせられている感じがありましたが、▲5五歩と伸ばされるのが嫌だったので。一局を通して少しずつ悪いのかなと思って指していました。左金が使えるようになって、何かあるかなと思ったのですが、こちらの玉が薄いので、その差が出てしまいました。
投了図から△6四玉▲6五歩△7五玉▲6六角△6五玉▲5五金以下が一例で、どう逃げても後手玉は詰み。終局時刻は17時59分。消費時間は▲里見3時間5分、△岩根3時間59分。女流王位戦五番勝負第2局は、里見女流王位が制してシリーズ2連勝。初防衛まであと1勝としました。
17時29分、後手は残り10分を切り、秒読みが始まりました。先手は残り1時間2分。図から△7四銀は▲6四角に(1)△同角は▲同飛△6三銀打▲8三銀△6二玉▲7四銀成△6四銀▲同成銀で先手が押し切れそう。中村亮五段は(2)△7九銀でどうかと解説しています。以下▲同玉は△6四角▲同飛に△4六角が王手飛車取りなので、この銀は取れません。
(牛蒡)
図の局面。(1)△8四同銀には▲6四角△同角▲7四銀△同玉▲6五金△8三玉▲6四金が発見されました。それまで穏やかに検討していた中川八段、▲6四角以下の順を並べるときは、バチンバチンと高い駒音を響かせました。そして「これは決まっているか」と一言。里見女流王位らしい、切れ味鋭い順です。
実戦は▲8四歩に(2)△7二玉と逃げましたが、8筋に拠点ができたのは先手にとって大きなポイントになりました。
(牛蒡)