図の局面で昼食休憩に入った。ここで△5三歩と銀を追い返せば穏やかな展開になるが、歩を打たずに反撃の姿勢を見せて待つ構想も考えられるところ。甲斐女王はこれらの展開を比べて、今後の方針を決める作戦の岐路に立っている。考えどころである。東七段に現局面についてコメントをいただいた。
「△5一飛と引くのは怖いですねえ。味持たせたいとこなんですけど、▲5三歩と押さえられて悪くなったらひどいですからね。一番安全なのは△5三歩打ってしまう手ですけどね。打ちたくないですよね。ここは考えどころですけど、甲斐さんが昼食休憩中に考えたら、再開後にすぐ指す可能性もありますね」
ここまでの消費時間は▲清水1時間36分、△甲斐1時間9分。
再開は13時より。
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図は11時すぎの局面。清水女流王位が5筋の歩を威勢よく伸ばし、甲斐女王が「合わせ歩」の手筋で受けた局面。ここで先手にうまい攻めがあれば大きくリードを奪えそうだが、後手も低い陣形で固めてじっと構えており、食い破るのは容易ではない。清水女流王位は時間を使って考えている。
具体的に考えられる手順としては、ひと目▲5五銀。以下△5四歩▲4四銀△2二角▲5三歩△同銀▲4三銀成△8八角成▲同玉△5一飛(参考図)。先手が調子よく攻めているようだが、「息切れするかもしれない。こう進むと指し手が難しいんですよね」と東七段。
11時半近くになり、清水女流王位は▲5五銀を着手。さあ、うまく攻め込むことができるか。
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図は10時すぎの局面。なんと清水女流王位は5筋に飛車を転回した。清水女流王位は居飛車党。居飛車といえば、飛車を2八のまま2筋の歩を突いていき飛車を使うのが一般的だ。ところが本局は互いに5筋で飛車がにらみ合う形に。これは、先手にとっては2筋の歩を突いていないことを生かした構想とも言える。後手は5五の歩を目標に反撃するのがひとつの手段。今後しばらくは、5筋の勢力争いに注目だ。
(対局室カメラによる対局室の様子。こちらは清水女流王位)
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