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第81期棋聖戦五番勝負第1局

2010年6月10日 (木)

おまけ写真館

Img_0451 (翌日、地元の小学生が「玉峰山荘」を訪れた)

Img_0469 (みんなで記念撮影)

Img_0477 (撮影の後は里見女流二冠による将棋教室が行われた)

(烏)

2010年6月 8日 (火)

本日の棋譜

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「深浦さんの意欲的な指し方でしたが残念ながら
実りませんでした。70手目前後の組み合わせで
何かあったかもしれません。今後の課題です。
83手目(上図)以降は羽生さんが良いのではない
かと思います。有利になってからの羽生さんの指
し方はいつもながらお見事でした」(飯塚祐紀七段)。

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本日は1日ご観戦ありがとうございました

(吟)

【梅田望夫観戦記】(8)より多くに開かれる、リアルタイム観戦の始まり

 午後6時27分、103手目の▲3二馬を見た深浦挑戦者は、しばらく考えて「あと7分です」の声とかぶさるように「負けました」とはっきりした声で投了した。

 終了直後の羽生棋聖の感想を要約すれば、「同型の将棋で激しい変化になった。△3三同桂(今日の将棋における深浦新手)は考えていなかったけれど、指されてみれば自然な手だと思った。その時点での形勢は不明。先に飛車を打ちこまれたあたりが勝負所だったのだろうが、金、銀が壁になって(79手目)しまったの時点でも、形勢ははっきりしなかった。よくなったと思ったのは、金、銀を取ったとき(91手目)だった」ということになる。

 一方、深浦挑戦者の感想を要約すれば、「研究手△3三同桂をやってみたかった。ちょっと欲張った手だが、それをやってみたかった。しかし▲4五桂とはねられて、攻めは続くのだが、効果的な攻めがわからなった。冷静に受け止められて(79手目)、手があると思ったらなかった。あばれるしかなくなって、ヤマタノオロチのようになってしまった。▲6九桂のあと手がなかった。いまの時点で、敗因はわからない。」ということだった。

 今日は、ライブストリーミング大盤解説会が大成功に終った。2,000人以上の方々が充実した大盤解説会をインターネット経由で経験することができたわけだが、以上の対局者の感想と、大盤解説会でのプロ棋士たちの意見とをあわせて総括いただければと思う。

 振り返れば、私が初めてタイトル戦を控え室で観戦したのは、平成13年(2001年)7月6日の棋聖戦第三局、羽生郷田戦だった。私は昔から、タイトル戦の控え室に入って丸一日を過ごすのが夢だった。そしてその夢を果たしたときに私は、これほど素晴らしい経験が控え室という閉鎖空間に閉じられていることを、とても残念に思った。それこそが、私がその後リアルタイム観戦記に取り組む原点の経験だったと言える。

 一昨年の棋聖戦で初めてリアルタイム観戦記を書き、それから二年がたったが、その間に、主催紙、将棋連盟の理解も進み、ネット中継は圧倒的に充実するようになった。中継スタッフの情熱は素晴らしく、チャット解説といった新しい試みも積極的に行なわれるようになった。そして今日のライブストリーミング大盤解説会は、その極めつけだった。

 私はここ奥出雲の対局室横の控え室という現場にいながら、パソコンに向かい、東京の将棋会館で行われているライブストリーミング大盤解説会があまりに面白くて、それをしばらく見ていた。そしてふと我にかえって思った。これは何かが根源的に変わったのだと。昔はここ(控え室)でしか経験できなかったこと以上の楽しさが、ここにいなくても、ウェブ経由で経験できるということなのだ。なにしろ私は、現場にいるのにもかかわらず、ライブストリーミング大盤解説会を観ていたのだから……。それも若手棋士たちの自発的な試みを、連盟と主催紙が応援し、将棋ファンが大いに喜ぶという、とてもいい流れで、それが実現されていたことも素晴らしかった。

 米長会長のサイトに「7月5日か遅くとも7月19日にケイタイ事業はスタートします。これは後日詳細を記しますし、記者会見がある筈です。」と書かれているように、まもなく記者会見があり、連盟が構想中のケイタイ事業の詳細も明らかになる。

 「将棋を観る」楽しさは、ネットを通してこれからますます開かれていく。そのことを将棋ファンの一人として、世界中の将棋ファンの方々とともに喜びたいと思う。

 

感想戦

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記録係の稲葉四段の言葉に耳を傾ける羽生棋聖

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難解な変化に、手が止まるシーンがたびたび見受けられた

(吟)

両対局者、大盤解説会場へ

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両対局者が解説会場へ到着すると、割れんばかりの
拍手が鳴り響いた

(吟)

終局直後

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「まあ同型の非常に激しい将棋なったのですが、
△3三同桂と取られる手をあまり考えていなかっ
たので、ちょっとよくわからなかったですね。
こちらも金・銀が壁になってしまったので。はっき
りしない局面だなと思いました。5九の銀を取って
少し良くなったと思いました」(羽生棋聖)

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「△3三同桂はやりたかった手ですね。▲4五桂とじっと
跳ねられて、攻めは続くのですが効果的な攻めがよく
わからなかったです。(4時間制の将棋は)早かったで
すが、次には・・・」(深浦王位)

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短く感想を語った両対局者は、ファンの待つ大盤解説会場へ
向かった

(吟)

羽生棋聖先勝

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羽生棋聖が103手で深浦王位を降し、開幕局を制しました。
第2局は6月18日(金)兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」にて行われます。

投了図は▲3二馬まで。投了図から△同玉ならば頭から金を2枚
打っていけば詰みである。玉が逃げるのは▲8六銀と飛車を取っ
た手がまたしても詰めろ。攻防ともに見込みがないと判断したので
あろう

消費時間は▲羽生3時間35分、△深浦3時間53分。終局は18時28分

(吟)

先手優勢

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18時5分頃、△2一桂に羽生棋聖が▲4九歩と打った局面。

「形勢的には、7対3か8対2で、先手がいいですね。
深浦さんらしい粘りです。僕にはちょっとできない。
△2一桂はとくに打てないですね」(井上八段)。

(吟)

師弟での大盤解説会

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井上八段(師匠)と菅井四段(弟子)による大盤解説会
が始まった。優しくも、時折ツッコミを入れる井上八段が
会場を沸かせる。菅井四段と同じく岡山から来場のお客
様もいるし、広島から来場のお客様もいる。神奈川県か
ら来ているお客様がいたのには、ビックリである

(吟)

17時頃の局面

17時頃、羽生棋聖がバチリと音を立てて7七に角を打った。
△5九銀に▲7七角と羽生棋聖が打ったのだが、後手が▲
7一角と打たれないように△5九銀によって打たせたと言う
意味がある

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「▲7七角は▲5九角から▲4二銀の筋を見ています。
ただし後手もこの瞬間手番なので技がかけられるか
どうか。まだまだ予断を許さない状況です。後手はど
こかで△3三金の勝負手があります」(飯塚祐紀七段)。

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(吟)

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