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2024年9月

2024年9月 4日 (水)

元湯陣屋

対局場の「元湯陣屋」は神奈川県の鶴巻温泉にある老舗旅館です。1918年(大正7年)、三井財閥の御寮(別荘)として「平塚園」が建てられ、現在の陣屋の起源になりました。囲碁・将棋のタイトル戦の舞台としても知られ、王座戦ではタイトル戦に昇格した1983年より前から対局を行ってきた縁があります。館内には対局写真や揮毫色紙など、貴重な資料が展示されています。
1952年(昭和27年)には昭和将棋史に残る「陣屋事件」が起きました。前年の12月から第1期王将戦七番勝負が木村義雄名人と升田幸三八段(肩書は当時)で争われ、第5局を終えて升田八段が4勝1敗とします。升田八段の王将位獲得が決まるとともに、当時の王将戦の規定に従って第6局が升田八段の香落ちで行われることが決まりました。ところが、対局場の陣屋を訪れた升田八段は迎えがなかったことに憤慨して対局を拒否。背景には、名人の権威を思う升田八段の葛藤があったとされます。この事件以来、陣屋では来客があると、入り口の太鼓を鳴らして迎えるようになりました。

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3三金型角換わり

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永瀬九段の先手番で始まった本局、興味深い立ち上がりになりました。永瀬九段が角換わりを目指すと、藤井王座は角交換をせず△3三角(10手目)と趣向の作戦に出ます。狙いは▲3三同角成△同金と先手から角交換させて手得することにあり、代わりに3三金型の是非が問われます。昔は悪形とされましたが、最近は上部の厚みが評価されて有力な変化になりました。

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藤井王座は手得を生かして早繰り銀から速攻し、永瀬九段が腰掛け銀から受けに回っています。部分的には先後逆、つまり後手の一手損角換わりで現れる攻防です。

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観戦記情報

本局の観戦記は大川慎太郎さんが担当します。今日の日本経済新聞朝刊には、池田将之さんが執筆した観戦記が掲載されています。今期の王座戦挑戦者決定トーナメントで豊島将之九段と伊藤真吾六段が戦った一局。勝敗を分けた夕食休憩前の一手について詳しく解説しています。

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対局開始

対局室には挑戦者、王座の順に入室しました。両対局者が駒を並べ終えると、記録係の田中三段が振り駒を行います。と金が3枚出て、第1局は永瀬九段の先手に。定刻の9時に立会人の青野九段が開始を告げて、対局が始まりました。

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対局スケジュール

現地の秦野市はよく晴れた朝を迎えました。対局は9時に開始されます。

9:00 対局開始
12:10 昼食休憩
13:00 対局再開
15:00 おやつ
17:00 夕食休憩
17:30 対局再開
--:-- 終局

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2024年9月 3日 (火)

前日会見

検分後は会見場に場所を移して記者会見が行われました。対局への意気込みについて、藤井王座は「1年ぶりの再戦。自分自身の1年間の取り組み、成長が問われるシリーズになる」、永瀬九段は「前期は技術面のみで勝負していたが、この1年間は足りていない精神的な面に向き合ってきた。自分の中で止まった時間を前に進めるために一生懸命戦いたい」とそれぞれ語りました。

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検分

対局場に到着した両対局者は夕方から検分に臨みました。検分では対局に使う棋具、部屋の照明や空調について確認します。盤と駒は陣屋が所蔵するものが用意され、駒は2組から藤井王座が静山作・菱湖書を選びました。照明は明るさや色味について藤井王座から要望があり、入念に確認が行われました。

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大盤解説会・配信情報

東京・大手町では4日の16時から大盤解説会が開催されます。解説は佐藤天彦九段、聞き手は野原未蘭女流初段が務めます。現地での参加とオンライン視聴があり、現地会場(有料)の席にはまだ余裕がございます。詳細は下記リンク先をご覧ください。

【第72期将棋王座戦第1局 佐藤天彦九段が大盤解説、9月4日に - 日本経済新聞】
https://www.nikkei.com/live/event/EVT240712002

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ABEMAの中継には八代弥七段、門倉啓太五段、斎藤明日斗五段、中村真梨花女流四段、山口恵梨子女流三段が出演します。

【ABEMA】
https://abema.tv/channels/shogi/slots/ETRpqje2EPEM9R

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YouTubeチャンネル「囲碁将棋プラス」は映像中継に加えて、有料チャンネルで解説を行います。阿部光瑠七段、本田奎六段、本田小百合女流三段、観戦記者の内田晶さんが出演します。

【囲碁将棋プラス】
https://www.youtube.com/@igoshogiplus

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五番勝負は陣屋で開幕

藤井聡太王座に永瀬拓矢九段が挑戦する第72期王座戦五番勝負が開幕します。初防衛を目指す藤井王座と前王座の永瀬九段によるリターンマッチになりました。第1局は9月4日(水)、神奈川県秦野市「元湯陣屋」で行われます。
立会人は青野照市九段、新聞解説は森内俊之九段、記録係は田中大貴三段(北島忠雄七段門下)。東京・大手町で開催される大盤解説会は佐藤天彦九段と野原未蘭女流初段が出演します。持ち時間は各5時間(チェスクロック使用)、使いきると1手60秒未満の秒読み。対局開始は9時、昼食休憩は12時10分から13時、夕食休憩は17時から17時30分です。第1局のため、先後は振り駒で決定します。

中継は棋譜・コメント入力を生姜、ブログを文が担当します。

【主催:日本経済新聞社】
https://www.nikkei.com/

【特別協賛:東海東京証券】
https://www.tokaitokyo.co.jp/

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