五番勝負日程
今期五番勝負の日程は以下の通りです。
第1局 9月4日(水)神奈川県秦野市「元湯陣屋」
第2局 9月18日(水)愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」
第3局 9月30日(月)京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」
第4局 10月9日(水)兵庫県神戸市「ホテルオークラ神戸」
第5局 10月31日(木)山梨県甲府市「常磐ホテル」
以上で本局の中継を終わります。
ご観戦誠にありがとうございました。
(八雲)
今期五番勝負の日程は以下の通りです。
第1局 9月4日(水)神奈川県秦野市「元湯陣屋」
第2局 9月18日(水)愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」
第3局 9月30日(月)京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」
第4局 10月9日(水)兵庫県神戸市「ホテルオークラ神戸」
第5局 10月31日(木)山梨県甲府市「常磐ホテル」
以上で本局の中継を終わります。
ご観戦誠にありがとうございました。
(八雲)
感想戦終了後に挑戦者の永瀬九段の記者会見が行われました。
――挑戦を決めた、いまの率直な心境を教えてください。
「挑戦者決定戦でかなり多く負けてしまっていたので、ここで一つ結果を出すことができてよかったのと。それが王座戦というのは、運命というか、そういうものを感じます」
――各棋戦であと一歩という状況が続いていた、そのことはご自身でどのように受け止めっていらっしゃいますか。
「歴代でみてないぐらい、たぶん挑戦者決定戦で負けてるかなと思っていたので。それが払拭できたわけではないですけど、一つ、そういう傾向を変えることができたのはよかったかなと思います」
――前期の王座戦は悔いが残る内容だったと振り返りました。この1年近くのあいだ、そのことがご自身の中にどのように残っていたのでしょうか。
「精神的な未熟さで、去年の王座戦が自分としてはダメージとして残ってしまったので。それが自分の弱さとも向き合う機会にもなりましたし。思っていたより弱い部分が目立ったのかなと。そういう1年だったのかなとは思いました」
――リベンジマッチに向けての意気込みをお聞かせください。
「去年の王座戦は自分としては内容がよかっただけに悔いが残るシリーズになってしまいました。藤井王座とのタイトル戦は1年振りということで。普段から将棋は教えていただいているのですけど、やはりタイトル戦だと一味も二味も違うという印象がありますので。しっかり準備したいなと思っています」
――現在の藤井さんの調子についてはどのように見ていますか。
「それを言及するのはなかなか難しいわけですけど。最近、藤井さんと将棋を教えていただいても、結構五分の成績にはなってきたので。調子――は難しいですけど。一番よいという状態ではないのかなと思います。藤井さんはギアが凄く上がるのも知っているので、いつ上がるかと。最近は、伊藤匠さんに敗れたタイトル戦をみても、藤井さん側に評価値上はよしという点数が出ていて。それがいままでは勝たれていた、どんなに難解でも勝たれていたのかなと思います。そこで、やっぱり将棋ですと100点の手を指さないとなかなか結果が逆になってしまう場合がありますので。伊藤さんとのシリーズはそういう認識ではあるんですけど。ただ、藤井さんが何か変わったというわけではないような気がするので。いつも穏やかですし、本当に謙虚で素晴らしい方というのはずっと変わらないので。本人としては、エラーの部分があるのかなとは思いますけど」
――今年の朝日杯で勝たれたあとに、永瀬さんご自身は王座戦のあと、魂が抜けたように調子を崩したところもあるけれども、最近になって無理なく努力ができるようになって、調子が戻ってきたというようなことをお話になっていたのですが。現在のご自身の調子についてはどのようにお考えですか。
「去年の同時期、7月頃と比べると、レーティングでいうと50から100ぐらい下げている感覚はあります。なので去年よりは精度も低いかなと思いますし。それでも挑戦者決定戦に進めることが多くありましたので。そこもチャンスをつかめるかどうかかなとは思ったのですけど。自分の感覚としては50~100ぐらいレーティングとしては下げている内容なのかなとは思います」
――昨年の王座戦の後、ダメージがあったということでしたが。それはどのような状態になって、どのように立ち直られたのでしょうか。
「立ち直れたわけではないような気がしますね。どういうことが起きたかというと、私がいまのトップ棋士の中で見ると、精神的に弱いほうに入るんですね。藤井さんはやっぱり精神的に強いですし。渡辺(明)先生も近くにいてそういう感じはしますし。なのでやっぱりトップ棋士の中で見ても、精神的な脆さというのが――強い部分もあると自負はしているんですけど、弱い部分が目立つというのがトップの戦いかなと思うので。その弱い部分があるからこそ、ダメージを深刻に受けてしまったという感触があります。他の方であれば、そんなにダメージを受けずに、それを消化したり、糧にしたりできたかなと思うのですけど。それをなかなかダメージがなくならないような状態にしてしまったのは、自分自身のせいだと思っているので。ただ、それを自分としてはダメージを受けることによって、その弱い部分をちゃんと見つめ直さなければいけないというか。逃げてはいけない部分ではあったので。まだ、100%改善できているわけではないんですけど、少しずつ改善していっているつもりです」
――藤井さんとのVS(一対一の練習将棋)で、去年の王座戦の頃はどんな対戦成績でしたか。
「それはまったく覚えてないんですが――たぶん五分ぐらいだったかなと。藤井さんとのVSは、2パターンに分かれることが多くて。こちらが圧倒的に負け越すか、少し勝ち越すかのどちらかだったんですけど。五分に近い成績というのは、ある時期にたまに現れる現象で。それがいま現れているのかなと。藤井さんと五分というのはなかなか珍しいですね。ただ、藤井さんも、VS自体のスコアはまったく気にされていないと思いますし。内容というか、そちらを重視されていると思いますので。結果はあまり重要視されていないのかなと思います」
――朝日杯で優勝された際に、藤井さんに借りを3分の1返せたという話でした。今回、これで王座を取り返せば、借りは全部返せたという感じでしょうか。
「借りという認識ではないんですけど(笑)。3分の1もたぶんそんなに正確じゃないかなという感じなんですけど。今回、結果を出して――藤井さんにいままでタイトル戦で勝ったことがありませんので。勝てるようにしたいなと思います」
――この1年間で努力の量や質などを、何か変えられたところはあるのでしょうか。
「いままでは技術論のみを重視していたのですけど。最近、私がトップ層の中で精神的に脆いことがわかりましたので。いまは――バランスよくできるタイプではないので、精神的な強さを身に着けなければいけないかなと思っています。なので、いままで技術論だけで生きて来たわけなんですけど、近年ですと、精神的な部分――自分と向き合うということなんですけど。自分と向き合うことでそういう脆さを少しずつ改善できたらと思っています」
――動画中継をご覧いただいているファンに向けて一言お願いします。
「ご視聴いただきありがとうございます。私としては挑戦者決定戦に、わりと、というかかなり多く進んではいたんですけど。やはりそこで結果が出ずに、今日もどうなるかわからないなと思っていました。今期の王座戦ですと、準決勝で鈴木先生と当たったり、挑戦者決定戦で羽生先生と当たったり。私としては運命的な組み合わせで、最後、藤井さんが待っているという。前期ですと、内容としては奮戦できたかなと思いますが、結果がなかなか出ませんでしたので。今期は結果、内容ともに充実できればと思います」
(八雲)
【永瀬九段の談話】
―― 一局を振り返っていかがでしたか。
「雁木は近年増えている戦法だと思うのですが。全体として、指してみてもやっぱり難しいところが多くて。判断が難しいと思ったところが多かったかなと思います」
――どのあたりで形勢がよくなったと思われましたか。
「△7六桂(106手目)と打って、速度勝ちが見込めていればとは思ったのですが。ちょっと正確にはわかってはいなかったので。ただ、△8六銀(104手目)から△7六桂は、そうしないと攻めが薄くなってしまうかなと思ったので、仕方がないところもあるかなと思いました」
――勝ちと意識されたのはどのあたりですか。
「最後△5七金(110手目)打って、自玉が詰まなければという局面になったので。詰むか詰まないかになったと思いました」
――王座の挑戦権を獲得ということで。昨年失ったタイトルの復位に向けて藤井聡太王座と戦われます。五番勝負に向けての抱負をお願いします。
「昨年はやはり悔いが残る内容になってしまいましたので、今期はその点を改善してよい将棋を指せればと」
敗れた羽生九段。
【羽生九段の談話】
―― 本局を振り返っていかがでしたか。
「仕掛けていって、あんまり成算がない形になってしまったので。ちょっとずつ苦しいかなと思いながら指していました」
――ファンの方からは、会長として38年振りの挑戦を求める声もありました。
「そうですね。残念でした。また次の機会に頑張りたいと思います」
(八雲)
114手で、永瀬九段が羽生九段をくだしました。終局時刻は20時15分。消費時間は▲羽生5時間0分、△永瀬4時間51分(チェスクロック使用)。勝った永瀬九段は、藤井聡太王座への挑戦権を獲得しました。第72期王座戦五番勝負は、9月4日(水)に神奈川県秦野市「元湯陣屋」で開幕します。