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第71期王座戦挑戦者決定戦

2023年8月 5日 (土)

記者会見

感想戦終了後、記者会見が行われました。

Kk1

―感想戦を終え、改めて今日の一局は

藤井 仕掛けのあたりで失敗してしまって、そこからは苦しい局面のほうが多かったかなと思います。終盤は互いに玉形が乱れて適切な判断ができない局面が多く、そのあたりでミスが出てしまったと思っています。

―理想は互角が続いて終盤で勝負する将棋と聞く。今日の将棋はそうした手応えや充実感があるのか

藤井 仕掛け周辺のミスは少し残念です。一方で終盤、非常に難しい局面が多く、もちろんミスもありましたが、そういう難しい局面を考えることができたという点では充実感がある将棋だったかと思っています。

Kk3

―今期王座戦、挑戦者決定トーナメントの内容は

藤井 2回戦の村田顕弘六段戦は終盤はハッキリ負けの局面がありましたし、本局も途中いくつかハッキリ苦しい局面があったと思います。内容的にはこれまでと比べてそれほどよくなっているとはいいがたいのですが、全体として時間がなくなってから勝負強く指すことができたのは、これまでよりよかったかと思っています。

―村田顕六段との2回戦は角道を保留され、今日も豊島九段が少し保留した。そのような戦法についての印象は

藤井 村田六段との一局も本局も、指されてみるとこちらがどう対応するのがよいか、難しいなと感じましたし、有力な指し方なのかなと思っています。そうした定跡を外れた展開のときにどう対応するかは難しく、自分の力がまだまだ足りないのかと感じました。

Kk4

―豊島九段は1回戦で三間飛車を指した。本局、振り飛車の可能性はどう見ていたか

藤井 基本的には相居飛車をメーンで想定していたのですが、振り飛車の可能性もあるのかなと思っていました。

―タイトル戦と並行してのトーナメントだった。体力面や時間的な課題はあったか

藤井 チェスクロックの5時間という持ち時間で本局もそうですが、序盤で時間を使って中終盤で残り時間が切迫してしまう展開がこれまでも多くあったので、時間配分も課題なのかと感じています。五番勝負が始まる前に、どうすればよくできるか考えたいと思います。

Kk6

―普段から練習将棋を指してきた永瀬拓矢王座との五番勝負に意識することはあるか

藤井 永瀬王座には私が四段の頃から将棋を教えていただいていて、自分を引き上げていただいた方だと思っているので、今回タイトル戦の舞台で対戦できるのをとても楽しみに思っています。一方で普段から指して手の内を知られてしまっているところもあるので、五番勝負に向けてさらに工夫が必要なのかと感じています。

―永瀬王座とは2022年にヒューリック杯棋聖戦で五番勝負を指している。普段指すときとタイトル戦で指すときとで印象に違いはあるのか

藤井 昨年の棋聖戦では永瀬王座のほうから序盤からいろいろと工夫を引っ張り出される展開が多かったので、今度はこちらからも何とか工夫を出していくようなシリーズにできればと思っています。

Kk7

―永瀬王座との練習将棋について。昨年の棋聖戦の前はいったん中断したが、王座戦挑戦者決定トーナメントが進行していた間も中断していたのか、続けていたのか

藤井 先月までこれまでどおり指していただいていたのですが、今回も前回の棋聖戦のときと同様にいったん休止して、シリーズ後にお願いするという形にできればなと考えています。

―練習将棋で影響を受けた、あるいは成長した部分は

藤井 永瀬王座は受けの技術がとても高く、練習将棋を指していただく中で何とかその点を少し吸収できたかと思いますし、練習将棋であっても一局ごとに公式戦と同じように作戦を考えてこられ、それを間近に感じられたことは自分にとってプラスだったと感じています。

―そうした相手と八冠制覇の懸かる大きな注目を集める舞台で戦うことになった思いは

藤井 八冠が懸かること自体はそれほど意識するわけではありません。昨年の棋聖戦はこちらが防衛戦で、今回は挑戦者として対戦できるのが楽しみですし、全力を尽くしていいシリーズにできればという気持ちが強いです。

―今日は苦しかったなか、「負けたら」や八冠について、頭にちらつくことはなかったか

藤井 本局、終盤はずっと時間がないなか、余裕のない状況でそういったことを意識することもありませんでした。終盤は局面の急所をつかめないまま指していた感じがあるので、その点はうまくやれなかったと思っているのですが、全体として集中して指すことはできたかと思っています。

Kk8(記者会見終了後のフォトセッション。ガッツポーズのリクエストに応える)

以上で本日の中継を終了します。月末から始まる五番勝負もお楽しみに。

(飛龍)

2023年8月 4日 (金)

第71期王座戦第1局 日本経済新聞本社(東京・大手町)大盤解説会

第71期将棋王座戦(日本経済新聞社主催、東海東京証券特別協賛)の五番勝負が8月31日に開幕します。日本経済新聞社では第1局にあわせ、佐藤天彦九段と聞き手に室谷由紀女流三段を迎えトークショーと大盤解説会を開催します。大盤解説会はNIKKEI LIVEでもライブ配信します。

詳細はhttps://www.nikkei.com/live/event/EVT230710002にてご確認ください。

 

(潤)

感想戦

Fujii11

Toyoshima11

Ue12

Ue13

Ue14

Fujii13

(いよいよ八冠制覇が現実的な目標になってきた)

Ue16 (22時48分に感想戦終了。一礼が交わされた)

(飛龍)

終局直後

Fujii09(勝った藤井聡太竜王・名人)

Toyoshima09 (敗れた豊島将之九段)

Ue10(すぐにインタビューが行われた)

―一局を振り返って

藤井 序盤から角を転回されて▲6四歩(51手目)と突き捨てて仕掛けていったのですが、進んでみると無理筋だったというか、それ以降は苦しい展開にしてしまったのかなと思っていました。終盤は苦しい中でどう勝負するかという局面が長く感じました。

―終盤、ポイントとなった局面は

藤井 ハッキリどこかと挙げるのは難しいんですけど……、角を取れた(125手目▲2六歩)あたりは好転していてもおかしくないかなと思ってやっていたのですが、そのあとまた負けにしてしまっているかなという気もしたので、指していても分からないことが多かったです。

Inter2_2

―勝ちになったところは

藤井 ▲3四竜(157手目)と香を取ったときに自玉が大丈夫であれば、もしかしたらいけるのかなと考えていました。

―王座初挑戦の率直な感想

藤井 王座戦ではここ数年は好結果がまったく出せていなかったので、今期、挑戦できたことはうれしく思いますし、五番勝負もしっかりいい状態で臨めればと思います。

―五番勝負は八冠の懸かるシリーズとなる

藤井 (伊藤園お~いお茶杯)王位戦も継続中ですし、直ちに意識することはないのですが、それに挑戦できるのは貴重な機会だと思うので、しっかり全力を尽くしたいと思います。

Inter1_2

―一局を振り返って

豊島 難しい将棋だったと思うのですが、多分、チャンスを逃しているんだと思いました。

―どのあたりか

豊島 いろいろあったとは思うのですが、▲3三歩(135手目)と打たれたあとに逃げ方を間違えたような。そこに至るまでも多分、いろいろ悪手を指しているんだと思います。

Inter3

―一局全体としては苦しい時間が長かったのか

豊島 いや、ハッキリしない局面が多かったなと思います。

―序盤は珍しい戦法、用意の作戦か

豊島 そうですね。

―今期王座戦を振り返って

豊島 今日の将棋がもうちょっとうまく指せそうなイメージだと思うので、反省が多い内容でした。

―藤井竜王・王位の指し手の印象は

豊島 終盤はめまぐるしく局面が変わっていったので、印象よりも対応を考える時間が長かったです。

Inter4 (多くの報道陣に囲まれてのインタビューだった)

(飛龍)

藤井聡竜王・名人が挑戦者に

Ouza202308040101159

▲藤井聡-△豊島戦は21時15分、159手で藤井聡竜王・名人の勝ちとなりました。消費時間は両者5時間(チェスクロック使用)。勝った藤井聡竜王・名人は永瀬拓矢王座への挑戦切符を獲得しました。五番勝負は8月31日(木)に神奈川県秦野市「元湯 陣屋」で開幕となります。五番勝負の日程は以下の通りです。

第1局 8/31(木)神奈川県秦野市「元湯 陣屋」
第2局 9/12(火)兵庫県神戸市「ホテルオークラ神戸」  
第3局 9/27(水)愛知県名古屋市「名古屋マリオットアソシアホテル」
第4局 10/11(水)京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」
第5局 10/30(月)山梨県甲府市「常磐ホテル」 

(潤)

先手勝勢

Ouza202308040101_155

先手は後手玉に王手を続けながら自玉の詰めろを外しました。△8五玉に▲3四竜の余裕が回り、先手勝勢です。

(飛龍)

先手玉に詰めろがかかる

Ouza202308040101_136

図は△3八馬▲5九玉△4九金までの詰めろ。双方秒読みのなか、攻守逆転の趣です。

Toyoshima08(豊島九段も粘りを見せ、虎口を脱したようだ)

(飛龍)

角を捕獲

Ouza202308040101_121図で△1七角成は▲2三竜△2五玉▲1五金までの詰み。後手は角を見捨てて逃げ道を作るしかありません。

Fujii08(藤井竜王・名人は角を捕まえて光明が差したか)

(飛龍)

続いて藤井竜王・名人も秒読みに

Ouza202308040101_108図の局面で藤井竜王・名人も持ち時間を使いきり、1手60秒の秒読み勝負となりました。後手はどこかで△4四馬と指せば、すぐには寄らない形のようです。

(飛龍)

豊島九段が持ち時間を使いきる

Ouza202308040101_103図の局面で豊島九段が持ち時間を使いきりました。以降は1手60秒未満の着手となります。

(飛龍)

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