カテゴリ

« 記者会見 | メイン

2025年10月29日 (水)

一夜明け会見

20251029dsc046342

20251029dsc046992

――一夜明けての心境について。
伊藤 王座戦をフルセットまで戦うことができていろいろと課題が見えましたけど、自分のよいところも出せたので、充実した時間を過ごせたと感じています。
――フルセットで意識しているところは。
伊藤 タイトル戦は1局ごとにいろいろな対局場で指させていただけるので、なるべく1局でも多く指すのが理想かなと思っています。もちろん2勝1敗で迎えた時点では勝ちを目指していましたが、フルセットまで対局できるのはよいことかと感じていました。フルセットで指せる環境に喜びを感じながら指していました。
――過密日程について。
伊藤 第4局と第5局の間にもたくさんの対局を指して、あまりよくない手を指してしまう将棋もありましたが、たくさん対局を重ねていく中で非常に成長できた部分もあると感じています。たくさん対局を重ねたことで、よい状態で臨むことができたと感じています。
――今期の王座戦で印象に残ったことは。
伊藤 シンガポールで指せたのは貴重な経験として残っていて、将棋としては悔いが残った部分もありましたが、観光する時間もあって楽しめたと思います。
――1日制と2日制の違いについて、得意・不得意はあるか。
伊藤 2日制の対局は竜王戦しか経験がなく、そのときは熱戦にできなかった。自分としては持ち時間が長いほど、精度の高い将棋を指すことができると思っています。時間が長い設定を生かして、よい将棋を指せればいいかなと思っています。

20251029dsc04736

――終盤の自己評価や藤井さんとの違いについて。
伊藤 自分自身は中盤戦に課題があると感じていて、苦しい状態で終盤を迎えるケースが多い。終盤で形勢がよくても勝ちきるのは大変だと感じます。形勢が苦しい中でも最善を尽くして指し続けるのが、ここ最近は結果に出ているのかなと思います。はっきりとはわからない部分もあるんですが、藤井さんは読みが深くて、直線の順に入ってしまうと読みきられるので、なるべくそういう順には持ち込まれないように辛抱強く指す必要があると感じています。

――お祝いの声があったと思う。印象に残るやり取りがあれば。
伊藤 たくさんの方にお祝いの言葉をいただけて、家族や応援していただいている方、棋士仲間などからもいただいて、ありがたいなと感じています。師匠とはやり取りができていないので、これからご報告できればと思います。
――趣味は将棋というお話があったが、やってみたいことは何か。
伊藤 趣味としてはフェアリー詰将棋という変則的な詰将棋を解くのが、一つの趣味で、対局が終わったあとにそういう詰将棋を考えるのが息抜きとして楽しみになっています。フェアリー詰将棋は普通の詰将棋に違うルールが加わったもので、例えば攻め方と受け方が協力して詰ますルールがあります。
――順位戦B級1組で単独首位を走っている。抱負は。
伊藤 順位戦は名人を目指していく戦いで、A級までいかないと挑戦権を争えない。名人は特別で憧れもあります。A級昇級を目指して、長い戦いではありますが、一局一局頑張りたいと思います。

20251029dsc04782

――叡王奪取のときに「藤井さんに引き上げてもらった」というお話をされていた。藤井さんの背中を捉えた感覚はあるか。
伊藤 藤井さんに初めて挑戦した頃はなかなか競り合いに持ち込めなかった。そこから叡王戦や王座戦を経て、徐々に内容がよくなっているのかなと感じています。特に今回のシリーズでは第3局と第5局が、これまでの対藤井戦ではできなかった将棋が指せて、自信にもつながる部分かなと思います。最近はある程度よい勝負をできているんじゃないかなという感覚があります。

20251029dsc04791

(文)

このサイトに掲載されている記事・イラスト・写真・商標等の無断転載を禁じます。