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2022年8月

2022年8月31日 (水)

対局再開

昼食休憩明けの再開が近づき、永瀬王座、豊島九段の順に対局室に戻りました。13時に対局が再開されると、豊島九段が盤上に手を伸ばします。戦いに入っていることもあってか、対局室は緊迫した空気に包まれていました。

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昼食休憩

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12時10分、豊島九段の手番で昼食休憩に入りました。消費時間は▲永瀬王座1時間39分、△豊島九段1時間30分。昼食は両者とも「うな重御膳」。永瀬王座はデザートに「ショコラフランボワーズ」を追加しています。飲み物は永瀬王座がアイスコーヒーとアイスティー、豊島九段がアイスティー。昼食のメニューとは別に、永瀬王座からはバナナの注文がありました。対局は13時に再開されます。

※対局者と同じメニューを注文して撮影しています。

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節目の王座戦

今年で70期の節目を迎える王座戦は1952年に優勝棋戦として創設され、1983年の第31期からタイトル戦に昇格しました。第1期の優勝者は大山康晴十五世名人、タイトル戦としての初代王座は中原誠名誉王座です。前日の70期記念パーティーに出席した歴代王座をあらためて紹介します(下記、写真右から順)。加藤治郎名誉九段は自著『昭和のコマおと』で、王座戦が自身の発案であるとともに棋戦の命名者が花村元司九段と記しています。この著書は日本経済新聞での連載「私の履歴書」を主体にまとめられたものです。

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・桐山清澄九段……第23期優勝

・塚田泰明九段……第35期王座

・谷川浩司十七世名人……第38期王座

・福崎文吾九段……第39期王座

・中原誠名誉王座……優勝回数10回、王座獲得6期、名誉王座

・羽生善治九段……王座獲得24期、名誉王座有資格者

・渡辺明名人……第59期王座

・中村太地七段……第65期王座

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グランドプリンスホテル新高輪

対局場のグランドプリンスホテル新高輪は品川駅から徒歩数分の位置にあり、王座戦が開催されるのは初めて。2022年4月25日に開業40周年を迎えました。グランドプリンスホテル高輪、ザ・プリンス さくらタワー東京という2つのホテルとは日本庭園を介して同じ敷地内にある点が特徴です。この広大な敷地は江戸時代の大名屋敷に由来するもの。2021年には庭園にある観音堂、鐘楼、山門が港区指定有形文化財に指定されました。

隣接するグランドプリンスホテル高輪では2011年に第59期五番勝負第1局が行われています。羽生王座に渡辺明竜王が挑戦したシリーズ(肩書は当時)で、挑戦者が王座を奪取して羽生王座の20連覇を阻止しました。

【公式サイト | グランドプリンスホテル新高輪】
https://www.princehotels.co.jp/shintakanawa/

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研究勝負の様相

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注目の戦型は角換わりに進みました。豊島九段が△6五歩(34手目)と位を取る作戦に出ると、永瀬王座は新工夫で応えます。シンプルに飛車先交換する▲2四同飛(41手目)が自然なようで前例のない手。過去の実戦ではいずれも先に▲7五歩と桂頭に味をつけていました。細かな形の違いがどのような影響を及ぼすのか、知識が問われる展開にも思えます。永瀬王座も豊島九段も序盤研究に定評のある棋士。五番勝負は早くも研究勝負の様相です。

控室では中村太七段が「新手じゃないですか」と驚いた様子で継ぎ盤の駒を動かしていました。観戦記を担当する青野九段、立会人の塚田九段が検討に加わっています。

本局の対局関係者は王座戦に縁のある棋士が集まりました。塚田九段は第35期王座、中村太七段は第65期王座です。青野九段は第37期に挑戦者として当時の中原王座をカド番に追い込みましたが、フルセットの末に敗れました。

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対局開始

定刻の9時、立会人の塚田九段が開始を告げて対局が始まりました。永瀬王座、豊島九段ともにすぐ手が盤上に伸びます。関係者が退室するまでの短い間にも、どんどん手が進んでいきました。

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朝の対局室

朝、対局室には永瀬王座、豊島九段の順に入室しました。2人が駒を並べ終えると、記録係の廣森三段が振り駒を行います。結果は歩が4枚、立った無効駒が1枚で第1局は永瀬王座の先手に決まりました。

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スケジュール

東京は蒸し暑い朝を迎えました。本局は第1局のため振り駒が行われます。

■スケジュール

9:00 対局開始
12:10~13:00 昼食休憩
15:00 おやつ
17:30~18:00 夕食休憩

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2022年8月30日 (火)

70期記念パーティー

対局前日は王座戦の開催70期を記念したパーティーがグランドプリンスホテル新高輪で開かれました。両対局者は決意表明の後に退場。壇上のスクリーンには70年の歴史を振り返る写真が映し出されました。紹介された写真は日本経済新聞のウェブサイト(下記リンク先)から閲覧できます。歴代王座を代表して中原誠名誉王座があいさつし、和やかな雰囲気に包まれたパーティーは盛会のうちに終了しました。

【将棋王座戦 写真で振り返る70年: 日本経済新聞】
https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00001980Z20C22A7000000/

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■主催者挨拶
日本経済新聞社 長谷部剛・代表取締役社長

「本日は光栄なことに、歴代王座の多くの方にご出席いただいております。皆さまが繰り広げられた戦いがファンを魅了したからこそ、王座戦は70年も続けてこられたと思っております。あらためて感謝申し上げます。明日から始まる五番勝負は、永瀬王座と豊島九段の戦いになります。日頃の鍛錬の成果を存分に発揮していただければと思います」

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■王座決意表明 永瀬拓矢王座

「グランドプリンスホテル新高輪さまにうかがうのは初めてです。素晴らしい対局場を用意していただき、ありがとうございます。明日から第70期王座戦五番勝負が始まります。豊島九段は充実されている印象があります。常にタイトル戦に出られていて刺激になります。厳しい五番勝負になるかと思いますが、すべてを出しきる気持ちで一局一局を指したいと思います」

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■挑戦者決意表明 豊島将之九段

「私は3週間ほど前に新型コロナウイルスに感染してしまいまして、多くの方にご心配をおかけしました。幸い後遺症はなく、体調は回復しております。ここから少しずつ調子を上げていき、よいシリーズにできればと思っています」

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■歴代王座代表挨拶 中原誠名誉王座

「王座戦が第70期ということで大変、感慨深いですね。私は王座戦は非常に縁がありまして、これは私の師匠、高柳(敏夫)名誉九段が王座戦の観戦記を又四郎というペンネームでずいぶん長いこと書いていて、師匠が観戦記者を務めるわけですから、師匠の前では恥ずかしい将棋は指せないなと、そういうこともあっていい成績をあげられたかなと思っています。私としては16期取りましたので、そう簡単には破れないだろうと正直思ったんですね。ところが羽生さんにあっという間に簡単に抜かれたのにはあきれ返りましたね。70期という大変な長い期間を重ねまして、ありがたく思っておりますし、いろいろな思い出がありますね。明日からは永瀬王座と豊島九段という若い2人が頑張っていい将棋を指してくれることと思います。私もこういう体になりましたけども、ABEMAとかいろいろな情報がありますので、ときどきは見てますので。私も興味を持って見たいと思います」

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■来賓挨拶
東海東京証券株式会社 佐藤昌孝・代表取締役社長

「歴史のある王座戦に第69期から特別協賛をさせていただき、大変光栄です。先読みや判断力が求められる将棋と証券投資、あるいは健全な市場経済の発展に貢献しておられる日本経済新聞さまと私どもの証券会社、この2つの親和性に貴重なご縁をいただいております。今期の第2局は名古屋マリオットアソシアホテルで行われます。これを機に東海地方の将棋文化がさらに盛り上がることを期待しております。明日は対局者のお二人に大きなエールを送りたいと思います」

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■主催者挨拶
日本将棋連盟 佐藤康光会長

「本日は歴代王座の皆さまに久々にお目にかかることができました。皆さまの紡がれてきた歴史は、将棋界のかけがいのない財産です。私も第50期に羽生さんと対局させていただきました。第3局の上海対局がよい思い出です。第51期の羽生さんと渡辺(明)さんの初めてのタイトル戦も印象に残っています。今期は令和の時代を築くお二人の対局で、戦前から注目されています。第1局から熱戦が期待できると思います」

(書き起こし=牛蒡、撮影=文)

ABEMA動画中継

本局の模様はABEMAで中継されます。解説者は藤井猛九段、佐々木勇気七段、村田顕弘六段。聞き手は村田智弘女流二段と野原未蘭女流初段。藤井猛九段は第48期と第58期に挑戦者として五番勝負に登場しました。

【ABEMA】
https://abema.tv/channels/shogi/slots/AhkmYfQ3zoHM1q

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