研究勝負の様相
注目の戦型は角換わりに進みました。豊島九段が△6五歩(34手目)と位を取る作戦に出ると、永瀬王座は新工夫で応えます。シンプルに飛車先交換する▲2四同飛(41手目)が自然なようで前例のない手。過去の実戦ではいずれも先に▲7五歩と桂頭に味をつけていました。細かな形の違いがどのような影響を及ぼすのか、知識が問われる展開にも思えます。永瀬王座も豊島九段も序盤研究に定評のある棋士。五番勝負は早くも研究勝負の様相です。
控室では中村太七段が「新手じゃないですか」と驚いた様子で継ぎ盤の駒を動かしていました。観戦記を担当する青野九段、立会人の塚田九段が検討に加わっています。
本局の対局関係者は王座戦に縁のある棋士が集まりました。塚田九段は第35期王座、中村太七段は第65期王座です。青野九段は第37期に挑戦者として当時の中原王座をカド番に追い込みましたが、フルセットの末に敗れました。
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