第74期王将戦七番勝負第3局 
将棋世界
1日目午前のおやつ
角換わりから後手右玉へ
9時に始まった本局は、永瀬九段の角換わりを藤井王将が受けて立ちました。図で藤井王将が趣向を見せます。数手前に△6二金と上がったばかりなのに、△5二金と寄ったのです。6一の金は1手で△5二金とできるため、藤井王将はわざと1手損の動きをしたことになります。
上の図から△5二金▲5八金△6二玉で下の図に進んでいます。藤井王将は右玉を選びました。2024年度に入ってからの藤井王将は、後手角換わりでは右玉や△3三金型を採用する傾向にあります。
永瀬九段は1月の第83期順位戦A級8回戦の千田翔太八段戦で、下図で右金が4八の局面を経験して勝っています。藤井王将が▲永瀬-△千田戦の進行を避けたと考えられます。
そして、永瀬九段も▲6九玉とまっすぐ引いてから▲7九玉としてわざと1手損しました。前例や双方にとっての理想形をめぐる駆け引きが行われています。
対局開始
対局開始前(2)
対局開始前(1)
おはようございます
おはようございます。今朝の立川市は晴れです。
1日目のスケジュールは以下の通りです。
9時 対局開始
10時30分 午前のおやつ
12時30分 昼食休憩
13時30分 対局再開
15時 午後のおやつ
18時~ 手番の棋士が封じ手を行って1日目終了
前夜祭(4)
両対局者が退出後に青野照市九段、中村太地八段、貞升南女流二段による見どころ紹介が行われました。
(立会人の青野照市九段。「おそらく永瀬九段が自分の研究に持っていくと思う。永瀬九段が余裕を持って指せるかどうか。他の人と指すときと同じような気持ちで藤井王将と戦えるかに注目したい」)
(副立会人の中村太地八段。「角換わりを予想。先手が積極的に攻める展開ではないかと思っている。ただ、お互いに戦型の読み合いがあって難しい。先後が決まっているので、第1局よりも研究が深い勝負になるのでは。このふたりの将棋は最先端をいっていて、新たな定跡ができる対局なので注目している」)
(進行役の貞升南女流二段。囲碁将棋プラスの1日目の聞き手を務める
https://kifulog.shogi.or.jp/ousho/2025/02/post-b426.html)
(中村八段と貞升女流二段は、東京都府中市出身。府中市の代表駅である京王線の府中駅から「オーベルジュ ときと」は約20分で着く)
前夜祭(3)
(藤井王将あいさつ。「立川での王将戦の対局は近年、毎年開催していただいておりまして、私にとってなじみの深い対局地のひとつになっています。今回は昨年に続いて「オーベルジュ ときと」で対局をさせていただきます。オーベルジュの名前通り、お食事が素晴らしくて今年も楽しみにしたいと思っています。明日からの第3局、先手と後手で1局ずつ指して課題があるかなと感じておりますので、それを生かして明日から2日間対局に集中してよい内容を将棋を指せるように全力を尽くしたいと思っています」)
(永瀬九段あいさつ。「立川立飛対局は私は2回目でして、前回は第70期王将戦の第4局でした。そのときは3連敗で迎えた4局目で、負けると終わってしまう対局だったんですが、そこから2連勝を返すことができ、シリーズを盛り上げることができた。今回は第3局、2連敗で迎えて同じような状況ということで精一杯戦って、1勝を返して皆様に1局でも多く見ていただけるように頑張りたいと思っています。
「オーベルジュ ときと」さまにうかがうのは今回が初めてでして、自室から対局場まで歩いて行ける距離というのが今回の王将戦で初めての点ですので、対応して過ごしていきたいと思っております。タイトル戦を対局すると体重が減る方が多いと聞いてはいるんですけど、私はかなり増えてしまったので、今回はできるだけ量を控えて、カロリーを少し控えたいと思っております。藤井王将と2局指しまして、明日が先手になります。一局一局、勉強になっているのですが、1局でも多く勉強できるようにするには勝つしかありませんので、自分なりに集中して、無意識でできる点は無意識でこなして盤上のみに集中できればと思っております」)