第63期王将戦七番勝負第6局 Feed

2014年3月12日 (水)

17時10分ごろ、渡辺王将は30分以上時間を使っている。大盤解説会では「封じ手になるかもね」と近藤六段。近藤六段はタイトル戦でも多く記録を取った経験があり、その話で盛り上がる。
近藤 この時間になると、記録係も「そろそろ書かなきゃいけないのかな」と思うようになるんですよ。動きそうにない駒を(封じ手用紙に)書いていって、立会いの先生に「用意できてるかい?」と言われたらサッと渡す。これが名記録。私はこういっちゃなんですが、そういうことは全部しておりました。
鈴木 (対局室モニタで梶浦三段を見て)全く動きがないですよ。

封じ手にする定刻18時が近づく。鈴木八段は控室に戻ってくると、封筒の準備を始めた。

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16時40分ごろ、羽生三冠は1筋に手を伸ばした。▲1五歩(図)の突き捨て。開戦の合図だ。以下△同歩に▲6五歩と角道を開けて、本格的な戦いに突入。「全面戦争ですね。相手から突いてきそうなところを自分から突いていきましたからね」とニコニコ生放送の阿久津八段。封じ手まで1時間と少し、局面はどこまで進むだろうか。阿久津八段は「進むとしたら明日の午前中でしょうね」と話す。

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大盤解説会では鈴木八段と近藤六段が解説中。鈴木八段は「先手から▲3三角成△同桂となった形は勝てないと思うので、△7七角成しか考えられないですけどね」とズバリ。近藤六段が「こういう手は?」と△8八歩を示すと、「えっそんな手があるんですか」。▲同玉で手順に守りが堅くなりそうなので浮かびにくい。「先手玉がここ(6九)にいればだいたい出てくる手筋ですけど」と鈴木八段。近藤六段が「梶浦くん(記録係)が封じ手予想で言うかもしれないよ」と言うと、「破門しますね」と鈴木八段。二人の軽妙な掛け合いに会場では笑いが絶えなかった。

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三瓶温泉の泉温は40度前後と低く、加熱して利用しているところが多い。鉄分が多く含まれ、酸化鉄の赤色が湯に出ている。さんべ荘には露天風呂や釜風呂など、男女合わせて16種類がある。夜の露天風呂は最初こそ寒かったが、しばらくすると体の芯から温まってくる。温泉から上がったあとも体はポカポカだった。

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さんべ荘のロビーには石見神楽の衣装が飾られている。中央の竜のようなものは大蛇。石見神楽の主要演目にも「大蛇(おろち)」がある。
以下は観光パンフレットより。
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■石見神楽
軽快なお囃子に合わせて、金糸銀糸を織り込んだ豪華な衣装と表情豊かな面を身につけて舞う、島根県西部の石見地方に古くから伝わる伝統芸能です。その年の豊作や豊漁に感謝して神様に奉納する祭礼の時期だけでなく、1年中石見各地で上演されています。
演目は「古事記」や「日本書紀」をベースにしたものなど約30種類。石見神楽は「神事」でありながらもエンターテインメント性が強く、ストーリーも明解なのが特長です。心躍らせるお囃子と迫力ある勇壮な舞に、自然と神話の世界へと誘われます。

■大蛇
高天原(たかまがはら)を追われた須佐之男命(すさのおのみこと)は、ある日嘆き悲しむ老夫婦と稲田姫に出会います。理由を尋ねると、老夫婦の7人の娘が毎年現れる八岐の大蛇に襲われ、最後に残った稲田姫も狙われているとのこと。一計を案じた須佐之男命は、毒酒を飲ませ酔ったところを退治します。そのとき、大蛇の尾から出てきた剣を「天村雲剣(あめのむらくものつるぎ)」と名付け、天照大御神(あまてらすおおみかみ)に捧げ、稲田姫と結ばれます。

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対局が再開して渡辺王将が1手指した。「次は長考になるでしょうね」と近藤六段が話す。鈴木八段は色紙に詰将棋を書いている。しばらく考えて頭の中で図面を作り、いざ筆を持つ。「あれ、5マス必要だったな」

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