2023年1月

2023年1月20日 (金)

18時からホテルアベストグランデ高槻で前夜祭が行われました。

Ze01 (前夜祭は着席形式)

Ze02 (お客さんが入り、その中を両対局者入場)

Ze04 (登壇。しかし……、)

Ze05(すぐさま着席。主催者挨拶へと続く)

Ze06 (丸山雅也・毎日新聞社取締役常務執行役員大阪本社代表)
「タイトル戦で初めて相まみえる、歴史に残る組み合わせとなった。今後の流れに大きな影響を与える第2局は、ますます注目が集まる。明日からのお二人の最高峰の戦いを楽しみたい」

Ze07 (樋口徹・スポーツニッポン新聞社取締役大阪本社代表)
「後世に語り継がれるであろう世紀の大一番が高槻市で開催され、いままでにないような盛り上がりを見せている。明日からの熱戦に期待したい」

Ze08(脇謙二・日本将棋連盟専務理事)
「少し時代が違うが、ふたりの対決は野球に例えるならば落合(博満)選手と大谷(翔平)選手が対決するようなもので、待望のビッグカードが実現した。全国の将棋ファンの方々とともに見守りたい」

(書き起こし:武蔵)

検分に続き、藤井王将、羽生九段の順で揮毫に臨みました。

Kigou01 (まずは藤井王将。力強い筆運び)

Kigou02_2 (書き上がり、関防印をギュッ)

Kigou03 (色紙にも揮毫した)

Kigou04 (続いて羽生九段)

Kigou05 (さすがに手慣れた様子で書いていく)

Kigou06(色紙には「泰然自若」)

Kigou07 (いっぱい書いた)

Kigou08(1枚を手に、マスクを取って記念撮影)

予定どおりに15時30分頃から検分が始まりました。正副立会人、記録係に加えて現地を訪れている日本将棋連盟専務理事の脇謙二九段も同席しています。

Kenbun01 (藤井王将、羽生九段の順に相次いで対局室に入った)

Kenbun02 (盤側は左から稲葉八段、谷川十七世名人、脇九段、折田五段)

Kenbun04(藤井王将が盤上に駒を散らす)

Kenbun06 (駒の感触を確かめる羽生九段)

Kenbun08(藤井王将から照明が明るすぎるとの指摘があった)

Kenbun10 (もとと比べて明るさを落として解決)

Kenbun12(検分終了の一礼)

藤井聡太王将(五冠)に永世王将の資格を持つ羽生善治九段が挑戦する、第72期ALSOK杯王将戦七番勝負(主催:毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、特別協賛:ALSOK、協賛:囲碁将棋チャンネル、立飛ホールディングス、inゼリー)は藤井王将が先勝。藤井王将が2連勝と走るのか、羽生九段が勝ってタイに戻すのか。第2局は1月21日(土)から22日(日)にかけて、「山水館」(大阪府高槻市)で行われます。先手は羽生九段。持ち時間は各8時間。対局開始は9時。1日目18時を過ぎると手番の棋士が次の手を封じ、2日目9時から指し継がれます。立会人は谷川浩司十七世名人、副立会人兼現地大盤解説会解説は稲葉陽八段、記録係は折田翔吾五段、大盤解説会聞き手は藤井奈々女流初段がそれぞれ務めます。

中継は棋譜・コメントを武蔵、ブログを飛龍が担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

Tobira

2023年1月 9日 (月)

終局後インタビューのあと、両対局者は大盤解説会に移動し、ファンに向けてあいさつをしました。

Dsc_4646 (両対局者が解説会場に入ると、大きな拍手がわき起こった)

Dsc_4665 (あいさつする藤井王将)
「本局、かなり早い段階から激しい変化が多かったです。それを長い持ち時間の中で自分なりに考えることができて、課題もありましたが充実感もありました。第2局に向けて、本局を振り返ってよりよい内容で指せるよう頑張ります」

Dsc_4681 (羽生九段のあいさつ)
「年明け早々にもかかわらず、多くの方にご参加くださりありがたく思っています。
将棋の内容は、難しい中盤が続いていたと思いますが、少しずつ差をつけられたと思います。反省点を考え直して第2局に臨みたいと思います」

Dsc_4705 (立会人の久保九段のあいさつ)
「立会人として無事に対局が終わってホッとしています。皆さんが注目している対局の立会人を務められて光栄でした。今後も両者の対戦が激しく難解な将棋が続くと思います。第2局第3局と続いていくので、これからもご観戦くださりましたら幸いです」

Dsc_4571_2 (終局直後、記者が対局室に入って最初に目に飛び込んだのは羽生九段がうつむいている姿だった)

Dsc_4562

Dsc_4583(インタビューに応じる藤井王将の耳が紅潮していた)

――羽生九段の作戦は一手損角換わりでしたが、予想されていましたか。

藤井 いえ、本局に向けて想定していたわけではありませんが、本局と近い形を考えたことがあったので、それを思い出しながら進めていました。

――△3五銀から後手が銀を成り込んで1日目が終わりました。作戦を振り返っていかがでしたか。

藤井 ▲2五飛△3六銀のところで▲1五角とやっていく手も考えましたが、成算が持てませんでした。本譜は1歩損になるので、あまりよい進行ではないと思っていました。

――封じ手から△5八同成銀▲同金△3七歩と進んで、長考して▲4三銀と打ちましたが△3七歩を予想していましたか。

藤井 ▲5八同金の局面は手が広いと思っていたので、指された手に対応できればと思っていました。△3七歩で催促された形なので、やっていく展開になると思いました。

――攻め合いになり、▲2一成銀で2日目午前が終わりました。

藤井 ▲4三銀に△3五銀と打たれて、単に▲3二銀成と取るべきだったかもしれませんが、そのあたりの比較ができなかったです。桂を取って▲7四桂の組み立てでしたが、攻め駒が多いわけではなく、難しいと考えていました。

――△4六桂に▲6五桂と跳ねました。成算があったのでしょうか。

藤井 受ける手も難しいと思ったので。▲6五桂と跳ねてこちらの玉もすぐに寄るわけではないので、こちらとしては仕方ない感じだと思っていました。

――攻めがつながりそうだと感じたのはどのあたりでしたか。

藤井 ▲7四馬まで進んで、4筋に歩が利くので受けにくい形だと思いました。

――一局を振り返って、よかった場面、振り返るべき場面はどのあたりでしたか。

藤井 長考した場面で、考えても見通しが立たないことが多かったので、そのあたりの判断力を上げないといけないかと思いました。

――羽生九段との対局で注目されています。2日制で盤をはさんでの感想をお願いします。

――タイトル戦の第1局で思わしくない結果が続いていました。その連敗を止めたことについていかがですか。

藤井 特に意識していませんが、この王将戦は先勝できてよかったです。

――今日も難しい将棋でした。藤井王将が攻め続ける展開だったと思いますが、手応えはいかがでしたか。

藤井 攻めていく展開でしたが飛車を取られていますので、こちらの攻めがうまく続くかどうか際どいと思っていました。

藤井 こちらが予想していない手を指されることも多く、それでこちらが長考することが多かったです。やはり、自分にはないものを持っていると改めて感じました。

――第2局に向けての抱負をお願いします。

藤井 本局を振り返って、より内容をよくできるように頑張ります。

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――1日目、出だしで一手損角換わりを選ばれました。昨年は1局だけでした。今回の採用の理由をお聞かせください。

羽生 作戦の一つとして、まだ可能性もあるのかなと思ってやってみました。

――用意を外そうという意図もありましたか。

羽生 そういうわけではないんですけど、いろんなことを試みる中でも一環として採用しました。

――△3五銀から銀を成り込みました。作戦面で振り返っていかがでしたか。

羽生 封じ手のところは手が広いので何がいいのかわかりませんでした。

――2日目に入って、△5八同成銀▲同金のあとに△3七歩を選びました。その理由をお聞かせください。

羽生 ほかの手を何をすればいいかわかりませんでした。△3七歩もそれほど成算があったわけではありませんが、ほかの手もちょっと思わしい手も見つからなかったので思いきって指しました。

――▲4三銀から攻め合いになりました。午前の戦いはいかがでしたか。

羽生 銀の位置を2五にさせられていろんな変化で当たるのがうまい組み合わせで、まずくしたと思いました。▲3七桂や角のラインで取られる恐れもあります。2五がいい場所ではありません。

――▲6五桂とされたときに△6四銀が意外だと控室でいわれていました。

羽生 もうあの局面はダメだと思うので、その前に何かあるかだと思います。

――これが失敗だったと思う手がありましたか。

羽生 んー、何が悪かったか調べないとわかりません。

――よかった点、悪かった点はありますか。

羽生 細かい変化のところを掘り下げて考える必要があると思いました。

――2日制で藤井王将と対戦した感想をお願いします。

羽生 一手一手深い読みの裏付けで指されていることを感じました。

――2年ぶりの2日制で、感覚を思い出しながらという話をされていました。一局を終えての感想をお願いします。

羽生 8時間も長いようで短いので、時間の使い方も課題になると思いました。

――第2局に向けての抱負をお願いします。

羽生 気持ちを切り替えて、次の対局に集中できればと思います。

Ousho2023010801019191手まで、藤井王将が羽生九段を下しました。終局時刻は17時47分。消費時間は▲藤井7時間15分、△羽生7時間37分。七番勝負開幕局は藤井王将が制しました。第2局は1月21・22日(土・日)、大阪府高槻市「摂津峡花の里温泉 山水館」で行われます。

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69手目▲6五桂から△6四銀▲6七金右△2八飛▲7七玉で下の図になりました。
68手目△4六桂に▲6五桂と跳ねた藤井王将でしたが、△6四銀を見るや、一転して▲6七金右とかわしました。その理由は下図の▲7七玉。△2八飛に▲7九玉だと、△2九飛成▲8八玉△8六歩といったように、△2九飛成が王手になるため後手が調子よく攻められます。
ところが実戦は▲6五桂△6四銀の2手により、▲7七玉と三段目に逃げることができました。下図で△2九飛成なら、王手ではないため先手は好きな手を指せます。これは大違い。▲6五桂が大きな利かしだった、というわけです。下図に進み、控室で先手がよくなったという意見が出ています。後手は▲6五桂に△5八桂成と金を取れば下図を避けられました。



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Dsc_4467(藤井王将が緩急をつけた指し回しを見せる)