(終局直後の対局室)
(勝った永瀬拓矢王座)
□永瀬王座インタビュー
--本局を振り返って
序盤で△9四歩(14手目)という手が入っているのが珍しい将棋だったが、本譜の主張になっていたように思う。形勢はよく分からなかったので互角であればと思っていた。
--封じ手以降の進行については
少し指せていてもおかしくないと思っていたが、具体的にはわからず、難しいと思いながら指していた。
--勝ちを意識したところは。
最後は変な寄せをしてしまったが、最後の△8五金を打って形勢がいいのかなと。
--2勝3敗になった。第6局の抱負は。
次も教えていただけるので、準備して臨みたい。
(敗れた渡辺明王将)
■渡辺王将インタビュー
--本局を振り返って
左辺を押さえられ、▲8八銀(41手目)の辺りでは、5八玉型で頑張ればさほどと思っていたが、そのあと1筋と3筋に手をつけられ、玉の居場所がわからなくなった。その辺りの指し方に問題があったと思う。
--次局に向けて
連敗になってしまったが、気を取り直してやりたい。

第70期王将戦七番勝負第5局は、永瀬王座の勝ちとなりました。終局時刻は17時50分。消費時間は▲渡辺7時間56分、△永瀬7時間2分(持ち時間各8時間)。シリーズのスコアは渡辺王将3勝、永瀬王座2勝に。第6局は3月13・14日(土・日)、島根県大田市「さんべ荘」で行われます。
決め手ともいえる銀打ちが入りました。▲4八同歩は△5九竜▲同玉△5八金まで。▲4八同金は△同竜▲同歩△6九金まで、それぞれ即詰みが生じます。
永瀬王座がリードを広げる指し回しを見せています。検討では、(1)△1八飛成▲3八歩△同竜▲4二銀成に△4八成桂とすると、▲5二金△同金▲同成銀△同玉▲7二飛成△6二銀▲4三金△4一玉▲4二歩△3一玉▲8一竜(変化図)以下、後手玉に即詰みが生じます。
よって、(2)△5七成桂▲同角△同馬▲同玉に△8四角(変化A図)の準王手飛車取りをかける順が有力視されています。

渡辺王将は1時間近く考え、▲5九金と引きました。△4七成香の当たりを事前に避け、▲4八歩の受けを用意しています。日本将棋連盟の専務理事として、現地を訪れている脇謙二八段は「王将がひねり出した受けを見せましたね。これは永瀬王座が考えるでしょう」と話し、継ぎ盤を進めます。













12時30分、図の局面で昼食休憩に入りました。消費時間は、▲渡辺5時間44分、△永瀬5時間10分。昼食は、渡辺王将が佐賀牛の陶板焼膳、永瀬王座はうなぎ丼とローストビーフ。対局再開は13時30分です。


△2八馬の銀取りに対して▲4七歩と辛抱しました。控室では△3七歩成に触れられています。以下、▲同銀△3四香▲2八銀△3五香が進行例。△3五香まで進むと、後手は次の△3六桂や△2九飛などの楽しみが多い局面です。