2021年3月

2021年3月 2日 (火)

Img_0132(終局直後の対局室)
Img_0127(勝った永瀬拓矢王座)
□永瀬王座インタビュー

--本局を振り返って

 序盤で△9四歩(14手目)という手が入っているのが珍しい将棋だったが、本譜の主張になっていたように思う。形勢はよく分からなかったので互角であればと思っていた。

--封じ手以降の進行については
 少し指せていてもおかしくないと思っていたが、具体的にはわからず、難しいと思いながら指していた。

--勝ちを意識したところは。
 最後は変な寄せをしてしまったが、最後の△8五金を打って形勢がいいのかなと。

--2勝3敗になった。第6局の抱負は。
 次も教えていただけるので、準備して臨みたい。

Img_0138(敗れた渡辺明王将)
■渡辺王将インタビュー

--本局を振り返って
 左辺を押さえられ、▲8八銀(41手目)の辺りでは、5八玉型で頑張ればさほどと思っていたが、そのあと1筋と3筋に手をつけられ、玉の居場所がわからなくなった。その辺りの指し方に問題があったと思う。

--次局に向けて
 連敗になってしまったが、気を取り直してやりたい。

Ousho202103010101_110第70期王将戦七番勝負第5局は、永瀬王座の勝ちとなりました。終局時刻は17時50分。消費時間は▲渡辺7時間56分、△永瀬7時間2分(持ち時間各8時間)。シリーズのスコアは渡辺王将3勝、永瀬王座2勝に。第6局は3月13・14日(土・日)、島根県大田市「さんべ荘」で行われます。

20210301102決め手ともいえる銀打ちが入りました。▲4八同歩は△5九竜▲同玉△5八金まで。▲4八同金は△同竜▲同歩△6九金まで、それぞれ即詰みが生じます。
控室では関係者が終局に向けて、準備を始めました。
Img_9983(連敗からの連勝となるか)

2021030191永瀬王座がリードを広げる指し回しを見せています。検討では、(1)△1八飛成▲3八歩△同竜▲4二銀成に△4八成桂とすると、▲5二金△同金▲同成銀△同玉▲7二飛成△6二銀▲4三金△4一玉▲4二歩△3一玉▲8一竜(変化図)以下、後手玉に即詰みが生じます。
20210301107よって、(2)△5七成桂▲同角△同馬▲同玉に△8四角(変化A図)の準王手飛車取りをかける順が有力視されています。
実戦は△1八飛成と指しました。検討を上回る用意の一手があるのでしょう。第6局の島根対局が実現しそうです。
2021030196

Img_9915(控室には、第67期王将戦第2局で久保利明王将と豊島将之八段が揮毫した大屏風が飾られている。肩書は当時のもの)

当時の中継ブログ
第67期王将戦七番勝負第2局 揮毫

2021030183渡辺王将は1時間近く考え、▲5九金と引きました。△4七成香の当たりを事前に避け、▲4八歩の受けを用意しています。日本将棋連盟の専務理事として、現地を訪れている脇謙二八段は「王将がひねり出した受けを見せましたね。これは永瀬王座が考えるでしょう」と話し、継ぎ盤を進めます。
Img_0125(読み進める脇謙二八段)

15時、おやつの時間になりました。渡辺王将はホットコーヒーとオレンジジュース、永瀬王座は午前と同じくホットコーヒーとカシスオレンジジュースを注文しています。
Img_0122(渡辺王将の注文)
Img_0123(永瀬王座が本局で3回注文したカシスオレンジジュース)

202103017812時30分、図の局面で昼食休憩に入りました。消費時間は、▲渡辺5時間44分、△永瀬5時間10分。昼食は、渡辺王将が佐賀牛の陶板焼膳、永瀬王座はうなぎ丼とローストビーフ。対局再開は13時30分です。

Img_0065(渡辺王将の注文。佐賀牛のヒレとロース肉や、小鉢が並ぶ)
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Img_0074(永瀬王座は昨日とまったく同じ注文だった)

2021030171△2八馬の銀取りに対して▲4七歩と辛抱しました。控室では△3七歩成に触れられています。以下、▲同銀△3四香▲2八銀△3五香が進行例。△3五香まで進むと、後手は次の△3六桂や△2九飛などの楽しみが多い局面です。

Img_0043(検討するのは小林健九段と関口指導棋士五段。ふたりはかつて師弟の関係だった)