2013年3月

2013年3月 7日 (木)

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10時頃、控え室では大盤解説会を控えた真田圭一七段と中村桃子女流1級が検討しています。
「封じ手の△5六歩は、単に△4六歩だと▲8三銀~▲7四歩嫌だったのではないでしょうか」と真田七段。△5六歩に▲同金は△9六歩▲同歩△9八歩▲同香△9七歩▲同香△同角成▲同桂△9六飛(参考図)と走った手が金桂両取りの十字飛車になります。先手の▲7六歩は十字飛車の筋を遮ってから▲5六金と取る狙いですが、▲7六歩と打たせれば▲8三銀~▲7四歩の筋がありません。

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「しかし先手も▲5六金と歩を払う目標ができたことで、指し方としては分かりやすくなりました。封じ手予想の段階では後手持ちの印象でしたが、現局面は再び互角の印象です」(真田七段)

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(開封された封じ手)

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(8時46分に渡辺竜王、48分に佐藤王将が入室した)

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(佐藤王将が駒を取りだし、1日目の手順が再現される)

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(渡辺竜王はスッキリとした表情に見えた)

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(8時58分、佐藤義則八段が封じ手を開封)

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(8時59分、渡辺竜王が封じ手△5六歩を着手)

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(2日目の対局が開始された)

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立会人の佐藤義則八段が開封し読み上げた封じ手は▲5六歩。
前日の予想になかった一手に対局室の緊張感は一気に高まりました。

――棋譜コメントより抜粋――
封じ手は△5六歩。△5四歩という予想はあったが、△5六歩は耳にした記憶がない。この手は佐藤も読み筋になかったかもしれない。控室では「再開早々、長考になりそうだ」との声が出ている。
「誰も言ってなかったですよね。こんなことがあるんですか。△5六歩は攻撃的な手で、△5二飛と回る手を見せています」(真田圭一七段)
▲5六同金は金が囲いから離れるうえ、△9六歩▲同歩△9八歩▲同香△9七歩▲同香△同角成▲同桂△9六飛が桂と金の両取り。そう進んでは先手まずいだろう。
対局室にいた記者の一人は「△5六歩の瞬間、佐藤王将の顔が『うっ』となったように見えました」と語る。今日の蒲郡も快晴だが、盤上の雲行きはきわめてあやしくなってきた。

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(封じ手が着手された直後の様子)

【現地大盤解説会】

第62期王将戦七番勝負では、対局場施設にて大盤解説会を開催いたします。
現地ならではの、臨場感溢れる解説です。ご来場をお待ちしております。

■日時
  
  3月7日(木)11時~終局まで
■会場
  旬景浪漫銀波荘「コンベンションホール(2階)」
■解説者
  真田圭一七段、聞き手:中村桃子女流1級
■入場料
  2000円(お茶菓子付き)  
■お問い合わせ先
  旬景浪漫銀波荘 TEL:0533-57-3101
■詳細は下記ページをご参照ください
  http://www.shogi.or.jp/topics/2012/12/post-662.html#62-05

【東京・将棋会館大盤解説会】

■日時
  3月7日(木)17時~終局まで(16時半会場)
■会場
  東京・将棋会館2階研修室
■解説者
  高橋道雄九段、聞き手:香川愛生女流初段
■料金
  一般:2000円
  60歳以上・支部会員・学生・女性・身障者:1500円
  ※途中、次の一手の出題あり(正解者には呈賞)
  ※道場入場者は当日の手合カード掲示で500円割引
  ※次の一手終了後の入場は500円割引
  (割引サービスの併用はできません)
■お問い合わせ
  日本将棋連盟道場 TEL:03-3408-6167(道場直通)
  ※当日の「手数」、「対局終了時間」、「指し手の内容に関しての質問」等にはお答えしかねますので何とぞご理解をお願いします。
■詳細は下記ページをご参照ください
  http://dojo.shogi.or.jp/event/index.html

【関西将棋会館大盤解説会】

■日時
  3月7日(木)17時~終局まで
■会場
  関西将棋会館4階多目的ホール
■解説者
  淡路仁茂九段 聞き手:室谷由紀女流初段
■料金
  一般:1500円
  65歳以上・支部会員・学生・女性・身障者:1200円
 ※道場入場者は500円割引(割引サービスの併用はできません)
■お問い合わせ
  関西将棋会館 TEL:06-6451-7272
■詳細は下記ページをご参照ください
  http://www.shogi.or.jp/kansai/club/kaisetsukai.htm

おはようございます。
第62期王将戦七番勝負第5局、封じ手開封は9時頃の見込みです。
渡辺竜王が一気に決着を付けるか、佐藤王将が踏みとどまるか、2日目の戦いにご注目ください。

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(今朝の蒲郡は暖かく、春到来を告げる上天気)

2013年3月 6日 (水)

控え室の封じ手予想は△6四歩で見解が一致しています。
ニコニコ生放送の村山慈明六段も△6四歩を挙げています。

■ニコニコ生放送■
村山慈明六段>ここで封じ手になりました。私は(1)△6四歩を予想します。他には(2)△5四歩や(3)△7四銀が考えられます。(飛び入りゲストの)加藤九段も△6四歩を封じ手として予想されています。私は△6四歩と突いた局面は後手持ちです。

以下真田七段の見解です。
「△6四歩は、銀や桂の活用を狙う自然な手。放っておくと△6五歩~△6四銀とどんどん好形になるので、先手もゆっくりはできません」

また、立会人の佐藤義則八段にあえて△6四歩以外を挙げるなら、とお願いしたところ「うーん、難しいけど△1四歩と様子を見ますか。たぶん指されないでしょうが」と答えてくれました。

本日の中継はこれで終了いたします。
明日の対局再開をどうぞお楽しみに。

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(銀波荘、対局史譜 その1)

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図の局面で18時を回り、指しかけの一手を渡辺竜王が封じました。
消費時間は▲佐藤4時間18分、△渡辺3時間13分。
対局は明日9時に再開いたします。

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(封じ手を待つ間、棋譜を眺める佐藤王将)

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(数分で封じ手を書き終えた渡辺竜王が戻った)

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(佐藤王将が封筒に署名を書き加える)

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(封じ手の内容を知るのは渡辺竜王ただ一人)

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(立会人の佐藤義則八段に手渡される)

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(1日目が終了した)

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図は17時頃の局面。佐藤王将は▲5五角と歩を補充しました。
「先後ともに方針が難しい局面」と控え室の検討陣。「△3五銀を打ったことで、後手玉にすぐに迫る手が難しい。後手からもすぐに動く手は難しい。△4二角と引いておいて、しばらくは間合いの計り合いのような展開になりそうです」と真田七段。

後手からもすぐに動く手が難しいことの例として、現局面から9筋の端攻めを狙う展開を見てみましょう。図から△9六歩▲同歩△9七歩に▲同香△9五歩▲同歩(参考図)と進めば、これは後手が成功しています。

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参考図以下、△9七角成で▲同玉は△9五飛が王手角取り、▲同桂は△9六歩が激痛です。
しかし途中の△9七歩に▲8六銀と受けられて、この筋はうまくいかないとのことです。

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(17時頃の控え室)

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図は16時30分頃の局面。△3五銀までの消費時間は▲佐藤3時間25分、△渡辺2時間16分(持ち時間各8時間)。

真田七段による現局面の解説です。
まず、後手が攻めるためには△7四銀~△7三桂の2手が必要ですが、現局面はそれが間に合っていません。それは先手が2歩損の代償にスピードを付けて攻めているため。先手は後手の右側の銀桂が働く前に攻め続けたい、後手は局面を収めて2歩得を主張したい、そのあたりのせめぎ合いとなっています。

図の△3五銀では、△3三桂も考えられたようですが、将来先手に歩がもう一枚入ると▲2四歩△同歩▲2三歩△同金▲2五歩の攻めが厳しくなります。「桂を跳ねると玉が弱体化するので、渡辺竜王の好む展開ではないかもしれません」と真田七段。
△3五銀に対して先手の候補手は、▲5五角か▲6八角。▲5五角は歩を補充する狙いですが、取った瞬間は角の働きがいまひとつ。さらに△5四歩▲3七角△3三桂から次に△4五桂や△3六銀で角が狙われやすいとのこと。「1歩補充することが非常に大きいと見れば▲5五角とするかもしれません。普通は角が狭く危険なので▲6八角が本線です」と真田七段。

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(大盤解説会場で詳しく解説する真田七段)