2011年8月

2011年8月28日 (日)

立会人の塚田泰明九段と副立会人の飯島栄治七段に、これまでの印象や戦型予想を聞きました。

Tsukada_3 「第5局でやっと広瀬王位が伝家の宝刀の四間飛車穴熊を出しました。毎局抜いてはダメで、急所で出すものなんですね。相穴熊は後手でやるのが良いようです。千日手も気にならないですから。
第6局は王位が先手なのでどういう気持ちで指されるのか。あえて穴熊にするか、これまでの偶数局のように▲7六歩△3四歩▲2六歩から居飛車にするか。広瀬さんは王位を取られてからはさまざまな戦型で勝っていて、今回の七番勝負もそれが生きています。
羽生さんの2手目は△3四歩でしょうから、作戦は広瀬さん次第だと思います。3手目に▲2六歩なら横歩取りの可能性が高い。相振り飛車は少ないと思いますが、第1局で出ていますし…。出だしの4・5手が興味深いですね」
(立会人を務める塚田泰明九段)

Iijima_4 「私は第1局から相穴熊になると思っていたので、第1局の相振り飛車、第2局の一手損角換わりは予想が外れました。面白い攻防でしたね。広瀬王位の芸の広さが際立ちました。
第3局は羽生二冠が序盤からリードして初白星を挙げ、第4局と合わせて良いところが出た印象です。第5局でついに相穴熊になり、広瀬システムが炸裂しました。
第6局も広瀬さんが四間飛車穴熊を指されると思うので、羽生さんの対策が注目です。相穴熊で正面から受けて立つか、相振り飛車にすることで穴熊を避けるかだと思います」
(副立会人を務める飯島栄治七段)

(銀杏)

用意された駒は2組。静山(せいざん)作・菱湖(りょうこ)書、影水(えいすい)作・錦旗(きんき)書の2つから、広瀬王位が静山作の駒を選んだ。室内の調光について、羽生二冠が西陽の強さを気にした。これには、対局中に雨戸を閉めて対応することに。検分は滞りなく進み、17時過ぎに終了した。

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(左側の王将の底に、かすかに「静山作」と刻まれているのが判別できる)

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(検分中、西陽が差していた対局室。カメラの位置関係で障子を閉めることはできないが、雨戸が閉められて光が遮断される)

この後、18時から関係者のみを集めた食事会が行われる。

(文)

17時少し前、先に羽生二冠が、続いて広瀬王位が入室。着座して一礼し、予定よりも早めに検分が始まった。

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(影水作の駒をまじまじと見る三者。塚田泰明九段(左)、杉本三段(中央)、飯島七段(右))

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(羽生善治二冠)

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(広瀬章人王位)

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(文)

対局室の隣は、封じ手を記入するための部屋になっている。机の上にはすでに道具が準備されていた。また対局室の奥には、なんと露天風呂も。

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(対局室とつながった部屋にかけられている書。「静観 名人 大山康晴」)

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(副立会人の飯島栄治七段(左)と杉本和陽三段(右)。杉本三段、タイトル戦の記録は初めて。飯島七段は「(二日目朝の)指し手の読み上げを間違えないようにね」と話していた)

この後、17時から検分が行われる。

(文)