第56期王位戦七番勝負第2局
感想戦
終局直後
インタビューの模様です。
――まず、分かれはいかがでしたか?
羽生 (54手目)△1一玉と引かれたらもうやるしかないと思っていましたが、あとは一直線に負けになるかもしれなかったので、ちょっと怖かったです。他の手が見当たらなかったので、これでどうなるか、という感じで指していました。
――金が出てきて73手目▲4四金と寄った辺りでは?
羽生 端(76手目△9五歩)を突かれて、やはり容易じゃない気がしましたね。△9五歩が想像以上に厳しかったので、はっきりしないと思いながら指していました。
――終盤が長く続きましたが、終盤を振り返っていかがですか?
羽生 ▲4四歩(103手目)の瞬間はあまり成算がなかったのですが、他の代わる手もよく分からなかったので、思い切って行きました。
――自玉が詰む、詰まないで危ない変化もあったと思うのですが?
羽生 そうですね。歩が成って(111手目▲4三歩成)、詰まなければちょっと残っているんじゃないかなと思っていました。
――最後はどの辺りで勝ちを意識されましたか?
羽生 (113手目)▲7七金で、最後は勝ちかなと思いました。
――この勝ち星で、通算1320勝で(現役最多勝の)加藤一二三九段の記録に並びました。その記録について一言いただければと思います。
羽生 そうですね。これを励みに次を目指していくというところですかね。
――ありがとうございます。
――次に広瀬八段にお願いします。後半、受ける展開になったのですが、あの辺りはいかがでしたか?
広瀬 作戦でもありましたし、この展開ではしょうがないところもあったと思います。途中から消去法で手を選んでいったような感じで、終始自信はなかったですね。
――終盤は長かったのですが、際どい変化もあったと思います。いかがだったでしょうか?
広瀬 やはり駒が少しずつ足りないかなという……。
――ありがとうございました。
羽生王位が勝利
第56期王位戦七番勝負の第2局は18時55分、117手で羽生善治王位が勝ちました。消費時間は▲羽生7時間48分、△広瀬7時間58分(持ち時間は各8時間)。シリーズ成績は羽生王位の2勝0敗。通算勝数は1320勝で現役1位の加藤一二三九段と並びました(歴代2位タイ)。