第61期王位戦七番勝負第4局 Feed

2020年8月21日 (金)

対局を終えた翌朝、改めて藤井聡太新王位の記者会見が行われました。

一夜明けて

藤井王位

── 一夜明けて改めて王位を取られた実感は?

藤井 王位戦は自分が奨励会員の頃、何度か控室に伺って勉強させていただいたので、そういった棋戦でタイトルを獲得できたのは感慨深いです。

── 今後の目標は?

藤井 実力を高めていくことがいちばんの目標ですが、近いところだと、秋から王将リーグが始まりますし、相手は強い方ばかりなので、しっかり戦えればと思います。

── 福岡の印象は?

藤井 福岡は昨年、一昨年に続いて3回目になりますが、いつも温かく迎えていただいて、本当に今回も素晴らしいところで対局できたと感じています。

── ご家族や師匠(=杉本昌隆八段)には、ご報告しましたか?

藤井 はい、電話で。結果は知っていると思うので、改めて自分から報告という感じではなかったですが、喜んでもらえたかなと思います。

── 昨夜は部屋に戻られたあと、ご自身の対局を振り返ったりしましたか?

藤井 そうですね。部屋に戻って少し対局を振り返ったり、師匠と電話で話したりしました。

── 昨日の和服は、師匠から贈り物だそうですが?

藤井 今回の和服は、師匠から贈られたもので初めて着たのですが、鮮やかな色で身が引き締まる思いでした。対局に関しては快適に、不自由なく指せましたし、結果的に勝利できたのはよかったと思います。

藤井王位

藤井王位

藤井王位

── 王位戦は2日制の持ち時間8時間でしたが、長く感じましたか?

藤井 持ち時間8時間は初めてでしたが、実際に指してみて、まだまだ考えが足りないと思うところもあり、将棋の奥深さを感じました。

── タイトルを増やしていくことについては?

藤井 まだまだ実力を高めなければいけないと思いますし、今回の王位戦で新たに見つかった課題もあるので、そういったところを高めて、上を目指していければと思います。

── 昨晩は何時頃に寝て、今朝は何時頃に起きましたか?

藤井 昨夜は12時頃に寝て、起きたのは朝6時半ぐらいだと思います。

── タイトル戦がひと区切りつきましたが、自宅に帰ってやりたいことは?

藤井 近々AbemaTVトーナメントの決勝がありますし、家に帰ってから昨日の将棋をじっくり振り返られればと思います。(将棋以外では?)落ち着いたらパソコンを1台組みたいとは思っています。

── 数日休みが取れたらやりたいことは?

藤井 いまは新型コロナもあるので少し難しいですが、落ち着いたら旅行とかにも行ければと思います。

── 自分へのご褒美は考えていたりしますか?

藤井 今回、王位と棋聖を獲得できたのが、この上ない結果だと思うので、特にご褒美というのは考えていません。

藤井王位

藤井王位

藤井王位

以上で、第61期王位戦七番勝負の中継を終了いたします。今期もご観戦ありがとうございました。すでに第62期の予選は始まっています。誰が藤井聡太王位への挑戦者になるのか、お楽しみに。

2020年8月20日 (木)

感想戦終了後、藤井聡太新王位は場所を西鉄グランドホテルに移し、記者会見に臨みました。

藤井聡太新王位

記者会見

── 王位獲得おめでとうございます。今回の七番勝負を振り返ってください。

藤井 持ち時間が8時間の2日制は、今回の王位戦が初めてでしたが、その中で一手一手、自分なりにしっかり考えて指せたかなとは思います。一方で、木村先生に、こちらが気づいていない好手を指される場面も多かったので、その辺りに課題を感じた部分もありました。

── 戦型の選択などについては、どのように考えて臨まれましたか?

藤井 戦型については、なるべく番勝負ですので、いろいろな戦型で指せれば、と思っていました。

── 木村王位の印象について聞かせてください。

藤井 こちらは(2日制のタイトル戦が)初めてで分からないとこも多かったのですが、その中で木村先生の立ち振る舞いでも勉強になるところが多かったので、今後に生かしていきたいと思います。

── 第61期王位戦は昨年9月から始まり、全勝で駆け抜けて王位奪取しました。予選を含めて何か深い思い入れがあれば教えてください。

藤井 これまで王位戦は予選で敗退していたので、今期は挑戦者決定リーグに入ることをひとつの目標にしていました。挑戦者決定リーグでは羽生(善治九段)先生との対戦があり、挑戦者決定戦では永瀬(拓矢)二冠とも対戦することができて、いろいろといい経験をすることができたと感じています。

── 今期の夏は棋聖戦と王位戦、ふたつのタイトル戦を並行して戦うことになりました。藤井王位にとって2020年はどういった夏でしたか?

藤井 今年はふたつのタイトル戦の番勝負に出ることができ、自分にとって初めてのことが多かったですが、その中でも盤上、盤外どちらも非常に得難い経験ができたかなと感じています。

記者会見

── プロデビュー以降、高い勝率を保っておられますが、特に今年の活躍は目を見張るものがあったと思います。その要因はご自身でどのように分析していますか?

藤井 今年は新型コロナウイルスの影響で、2ヵ月弱、対局がない期間もありました。その中で普段以上にじっくりと将棋に取り組めた面もありますし、対局が再開して渡辺(明名人)先生、永瀬先生、木村先生といったトップ棋士の方々と多く対戦することができたのは、成長の糧になっているのかなと思います。

── 以前、ご自身で「ピークは25歳前後」とおっしゃられていましたが、二冠を取ったいま、どのような25歳の未来を描いていますか?

藤井 強くなるという目標は、どこまでいっても変わらないと思っていますし、今回の七番勝負でも非常に勉強になる部分があったので、そういったことも成長につなげていきたいと思います。

── 今回、史上最年少二冠と史上最年少八段を獲得され、改めて心境をお願いします。

藤井 これまでタイトル戦の番勝負自体、経験がなかったので「二冠」になかなか実感がわいてこないですが、そういった立場になり、より一層精進して、いい将棋をお見せできるように頑張っていきたいと思います。

── 先ほど終局直後に「4連勝は望外の結果」との言葉がありました。以前、藤井王位が「望外」という言葉を使ったのは、当時中学生、デビュー11連勝目の感想戦でした。この3年間でご自身の成長について感じる部分はありますか?

藤井 棋士になってから、公式戦でトップ棋士の先生に教えていただく機会が増え、その中で少しずつ成長してこれたかなとは思います。

── 王位戦の歴史の中で、予選から無敗で頂点に立ったのは初めてです。

藤井 今期の王位戦は苦しい将棋も多かったので、全勝という結果は、自分の実力以上のものが出せたのかなと思います。

── 昨日の封じ手の局面では、36分という長い考慮で次の一手を封じられました。

藤井 第4局の封じ手の局面は、ひとつの分岐点と言える場面だったので、あの局面になれば封じようとは思っていましたが、(△8七同飛成と△2六飛)どちらがいいのかを改めて考えていました。

── 今回は棋聖戦と王位戦、ふたつのタイトル戦と同時に戦うことになりました。

藤井 今回、棋聖戦は渡辺明先生、王位戦は木村先生ということで、棋風の違うおふたりとの対戦でしたが、そのぶん一局ごとに新しい発見があった気がします。

── 師匠の杉本昌隆八段の段位に追いつきました。その感想を。

藤井 そのことは自分では気づいていなかったですが、師匠とは順位戦、竜王戦で同じクラスにいるので、お互い高めあっていければいいかなと思っています。

記者会見

記者会見

終局後
(終局後の様子)

藤井聡太新王位

■藤井聡太新王位へのインタビュー

── ▲2五飛(23手目)は珍しいが、序盤はどのように手応えを感じていたか?

藤井 ▲2五飛~▲1五歩と積極的に動かれて。そこでこちらがどうバランスを取ればいいのか、難しいのかなと思いました。

── 36分考えての封じ手△8七同飛成(42手目)で、激しい展開になっていった。そのあたりはどうだったか?

藤井 少し苦しいのかなと思って。▲8七銀(41手目)に△2六飛は▲2七歩で飛車が働かなくなってしまうので、△8七同飛成で勝負しようと思いました。

── 44手目△3三角に▲5五角から再度△3三角(48手目)のあたりは?

藤井 △3三角(48手目)のあとに本譜の△8六歩(50手目)~△8八歩という攻め筋があるので、こちらにも楽しみが出てきたような気がしました。

── △8九歩成(54手目)~△7九角のあたりの手応えは?

藤井 △7九角(58手目)~△9九ととして、難しいですが、攻めがつながる形になってきたような気がしました。

── 勝ちを確信したのは?

藤井 最後はこちらの玉にかなり怖い形が続いたので、分からなかったのですが、▲4二飛(75手目)には△7一玉と引いて何とか一手勝ちの形なのかなと思いました。

── 4連勝でタイトル獲得。シリーズを振り返って?

藤井 自分にとって初めての2日制の対局でしたし、その中で自分としてもいろいろ得るものがあったと思います。内容的には押されている将棋が多かったと思うので、4連勝という結果は望外というか、自分の実力以上の結果が出た気がします。

── 王位のタイトル獲得の率直な心境?

藤井 まだあまり実感がないのですが、今回の七番勝負でいろいろいい経験ができたと思うので、それを生かせるように引き続き、頑張っていきたいと思います。

── 最年少二冠、最年少八段については?

藤井 対局に臨むに当たって、まったく意識していなかったことではあるのですが。ヒューリック杯棋聖戦と王位戦、今年は2つのタイトル戦に出ることができて、その中で好結果を残すことができたのは収穫だったと思っています。

木村一基前王位

■敗れた木村一基前王位へのインタビュー

── ▲2五飛(23手目)は研究?

木村 やってみようと思っていたものでした。

── 序盤の手応えは?

木村 先手としてはいいとは思っていませんが、まずまずのものだったかなあ、とは思っていました。今日に入って▲5五角(45手目)が気が変わっちゃって、▲6六角のつもりでずっと組み立てていたのですが、予定変更してから攻められる展開になってしまって、ちょっと悪い流れを引きずりながらやったように思います。最後は差が開いてしまいましたので、よくなかったですね。

── △8八歩(52手目)~△7九角は鋭い構想?

木村 そうですね。損のないようにやられてしまった感じがしています。

── 七番勝負を振り返って?

木村 ストレート負けは恥ずかしい限りで、申し訳ないと思っております。また一から出直します。

── 藤井棋聖が相手で注目度高かった。やりにくさなどは?

木村 いつもどおりに指すように心がけていましたので、特に何か意識したことはありません。

── ストレート負けの要因は?

木村 分かりません。家に帰って反省します。


(書き起こし:飛龍記者/写真:夏芽)

投了図

第61期王位戦七番勝負第4局は、80手で藤井棋聖が勝ちました。終局時刻は16時59分。消費時間は▲木村王位7時間26分、△藤井棋聖7時間0分。

この結果、七番勝負は藤井棋聖が4連勝で王位のタイトルを奪取。史上最年少で二冠を達成し、八段昇段を決めました。

△7一玉

76手目△7一玉まで進み、控室の検討陣は「藤井棋聖優勢」の見解でまとまりました。先手は▲2二飛成と金を取っても詰めろになっていません。史上最年少二冠と八段昇段が近づいているようです。

藤井棋聖