お~いお茶杯第66期王位戦七番勝負第2局 
終局直後インタビュー
(連勝を決めた藤井聡太王位)
□藤井王位のインタビュー
――1日目を振り返って。
後手の指し方が有力とイメージを持っていた。手順がしっかりと思い出せないところがあり、▲8三角(39手目)と打つと、角が狭い形でどうなっているかわからない局面が続いた。
――▲5五桂(85手目)と切り返した局面について。
△5一玉(78手目)のときに▲3六歩と突いて銀を助けるのも考えていたが、キズになる可能性もある。▲5五桂ならこちらの玉がすぐに寄らない形になるが、△4四飛(86手目)を軽視していた。そのあと▲5五銀右(91手目)と出るようでは自信が持てない。3八金・3九飛の壁なので不安の多い局面だった。
――▲5六香(95手目)から攻め合いになった。
直前の△4六銀では、△5六歩を本線に考えていて、銀打ちは予想していなかった。香を打つと自玉が安全になる代わりに攻めが細くなるので、微妙なところかと思っていた。
――最終盤の攻め合いについて。
▲2三歩成(111手目)は、何か後手に手段があれば負けという局面で、下駄を預けるような気持ちで指していた。
――改めて一局を振り返って。
形勢判断のできない局面が多く、途中は自信がないところもあったが、はっきりと悪いと思った局面はなく、非常に難しい将棋だった。
――次局に向けて。
後手番で迎えることになる。しっかりと準備をしていきたい。
(敗れた永瀬拓矢九段)
■永瀬九段のインタビュー
――封じ手あたりの局面について
手前まで課題の想定局面だった。▲3八金(75手目)のときに△3三桂は頑張り過ぎかと思い、封じ手の△5四歩を選んだ。
――▲5五桂の切り返しについて。
手前で40分使って▲5五桂が見えた。難しい局面が続いたが、最終盤はどのように指せば難しかったか、発見できなかったのが課題と思う。
――△7五桂(104手目)と攻めあった形勢判断
▲2四歩(103手目)を突かれると受けがない。打ったときは、少し指せているような気がしていた。しかし、具体手が発見できず、判断が誤っていたかもしれない。
――一局を振り返って。
後手のほうがまとめにくい形で、判断が難しい。もう少し均衡を保つことができれば、熱戦になったかもしれない。








局面はクライマックスです。永瀬九段は先手玉に迫り続けます。▲6九同飛△7八銀成▲5九玉△6九銀成▲4九玉に△1六角が強手。
以下▲1六同香△5九飛▲3八玉△2六桂に(1)▲2八玉△2七歩▲同玉△2九飛成の変化は、先手玉に即詰みがあってもおかしくありません。(2)▲4七玉が正着で、△4六歩▲同玉△4五金▲4七玉(変化図)が打ち歩詰めの形で逃れます。

40分の長考で角を打ち、△5八金までの詰めろをかけました。永瀬九段の残り時間は8分。藤井王位はわずか1分で▲4八金と指し、詰めろを解除しました。検討では、▲4八金に後手からの有効な継続手が見つかっていません。後手の攻めが止まれば、▲1二とで飛車を入手してから▲7一飛の王手金取りで後手玉を寄せる道筋が見えてきます。



