2024年7月18日 (木)

両対局者は大盤解説会に移動し、ファンに拍手で迎えられて感想を述べました。

渡辺九段「つかみどころが難しい将棋ではあったんですけど、今日の昼休くらいから▲3五歩(65手目)と攻めていったのが効果的だったのかなという感じですね。まずは1勝をあげることができたので、第3局以降も頑張っていきたいと思います」

藤井王位「1日目の封じ手の手前あたりがいちばん勝負どころだったかなと思うんですけど、そこでうまく指すことができなくて、今日の午後のあたりからはかなり厳しい展開になってしまったのかなと思います。本局は一方的な内容になってしまったので、第3局はまずは熱戦にできるようにまた頑張っていきたいと思います」

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■渡辺明九段
――△3八歩(64手目)に▲3五歩(65手目)から動きました。
渡辺 △3八歩と垂らされたところは▲3五歩からやっていかないとしょうがないと思っていたので。手段が2つくらいある局面が続いたので少し指せているかと思いました。ただ、どれも変化としては際どいのでどうかなというところはありました。
――▲2一角(77手目)から▲6五角成(81手目)で上部を手厚くしたあたりは。
渡辺 ちょっと厚いなと思ったんですけど、▲6五桂をいいタイミングで跳ねないと△7七歩と打たれるので、そのあたりは組み立てが難しくて長考になりました。
――一局を振り返って。
渡辺 つかみどころが難しい将棋ではあったんですけど、2日制なので難しいながらもケアできたのがよかったかなと思います。
――次局に向けて。
渡辺 あまり間がなく次があるので、それまでに作戦を練って臨みたいと思います。

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■藤井聡太王位
――△3八歩(64手目)のあたりはどう思っていたか。
藤井 その前に▲7四歩(61手目)と垂らされたところで苦しい可能性がある気はしたんですけど、△3八歩に▲3五歩(65手目)と切り返されて相当苦しい形になってしまったので、もっとさかのぼって▲5六角(49手目)と打たれたあたりの対応がよくなかったかなという気がしています。
――△2五銀(58手目)~△3四銀(60手目)のあたりは。
藤井 こっちの3筋の形が思っていたよりもキズになってしまう感じがしたので、そのあたりは少し自信がないかなという気がしていました。
――終盤戦はどのように見ていたか。
藤井 かなり厳しい形勢だと思っていました。
――一局を振り返って。
藤井 序盤の組み上がりのあたりから具体的にどのように戦いが始まるかが非常に難しい将棋だったんですけど、そこでバランスを崩してしまったので力不足だったかなと思います。
――次局に向けて。
藤井 本局は早い段階で形勢のバランスを崩してしまったので、もう少し競り合いにできるように頑張りたいと思います。

Oui20240717010197図の局面で藤井王位が投了しました。終局時刻は17時40分。消費時間は▲渡辺7時間15分、△藤井7時間33分。シリーズ成績は1勝1敗になり、勝った渡辺九段は対藤井の連敗を3で止めました。第3局は7月30・31日(火・水)に徳島県徳島市「渭水苑」で行われます。

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好位置に馬ができて先手が手厚い態勢になりました。大盤解説会には森内九段が登場して見解を語っています。「先手は手が広く、いい手が多い局面が続きます。2番手、3番手の手でもリードを保てるので安心して指せると思います」。ポイントになった手として、藤井王位が指した△3八歩(64手目)に触れていました。「狙いが単純なので、藤井さんしか発揮できない切れ味が出る展開にはなりにくいと思います。渡辺さんの攻め方がうまかったですね。自分は飛車がもったいないと思って大事にしてしまうので気がつきませんでした」

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藤井王位の苦戦が続いています。大事な角を受けに使う△4四角(70手目)はいかにも苦しげ。森内九段は「△4四銀だと▲4六銀と出られてしまうので仕方がなかったかもしれません」と話します。先手はどう攻めるか。控室では▲1七角と数を足す変化を検討していましたが、実戦は渡辺九段が▲4六銀と強く前に出ました。銀をすれ違う△3六銀が飛車に当たってくるため決断の攻めです。以下▲4五銀△2五銀▲4四銀△同歩▲2一角と進みました。

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金に狙いをつけ、角のラインが遠くまで利いて感じのよさそうな手です。後手は3筋に歩が利かず、△3一歩とは打てません。先手陣の3筋に残った歩は△2八飛や△3九飛と打ったときに邪魔駒にもなっています。渡辺九段の選択は藤井王位の△3八歩をとがめる組み立てといえます。