お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第2局 Feed

2022年7月15日 (金)

感想戦は40分ほど行われました。

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Dsc_7058(一瞬、柔らかい表情を見せた)

Dsc_7066(棋士3人が感想戦を真剣に見守る)

Dsc_7070(10代最後の王位戦を終えた藤井王位。王者の風格があった)

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第2局の中継は以上で終了します。ご観戦いただき、ありがとうございました。第3局もお楽しみに。

※(7月16日追記) 「北海道新聞 どうしん電子版」では、中村太七段による総括の記事、動画が公開されています。そちらもご覧ください。

【<デジタル発>王位戦第2局 藤井王位勝利の裏側 副立会人・中村太地七段が解説】
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/706329

2022年7月14日 (木)

Dsc_6983(終局直後)

Dsc_6988(藤井王位はタイに戻した)

Dsc_7001(表情は険しい)

Dsc_7006_2(豊島九段は初日から3時間弱の大長考に沈むも、実らなかった)

Dsc_7015(分岐点で代替手段を指摘され、じっと考え込んでいた)

【藤井王位のインタビュー】

――序盤から振り返ってください。

藤井 角換わりは予定でした。どういう形になるかはわかっていないですが、本譜のような形なら仕掛けていこうかと思いました。

――53手目▲1五香は2分での着手でした。ある程度、想定内でしたか。

藤井 この形は本譜の攻め筋をやってみようかと思っていました。

――ここで挑戦者が△1五同香に3時間弱を使いました。56手目△1八香成にも飛車取りを手抜いて攻めていきます。手ごたえは?

藤井 封じ手の前後を考えて▲2三歩成(63手目)から▲7四歩(65手目)をやってみようかなと思ったんですけど、その時点では本譜の▲6二金(73手目)に△4一玉という逃げ方は見えていなかったので、進んでみるとうまくいっているかわからないなと思って指していました。

――封じ手の59手目▲3四桂は2時間弱の長考でした。

藤井 本譜がやっていけるかどうか、あるいは一旦▲2七飛と逃げたほうがいいのか、比較が難しいと思っていました。

――本譜の順は手ごたえがあったから選ばれたのでしょうか。

藤井 終盤なので、わからない変化が多かったです。

――73手目△4一玉のあたり、終盤はどうですか。

藤井 本譜は後手玉を逃してしまうので、わからなかったです。△7六歩(82手目)からの攻めをうまく対応できるかなのかなと思っていました。

――そこから後手の反撃が続きますが、どうでしたか。

藤井 手が広くてどういう対応がいいのか、わからなかったです。▲2五桂(95手目)に△8九銀と打たれたときにしのげるかどうか、かなり際どいと思っていました。▲2三歩(97手目)のあたりで詰めろが続く形になったかなと思います。

――改めて本局を振り返ってください。

藤井 ▲1五香から▲7四歩で踏み込んでいったんですけど、そのあとは終盤がかなり考えないといけない変化が多くて、長考した場面も多かったんですけど、なかなか判断しきれないところが多かったなと思います。

――来週にある第3局の抱負をお願いします。

第3局にかけて対局が続く形になるので、しっかりよいコンディションで臨めるようにしたいと思います。

【豊島九段のインタビュー】

――▲3五歩(45手目)に△同歩と応じて、藤井王位が▲1五歩と新しく工夫して戦いが始まりました。あのあたりはいかがでしたか。

豊島 こちらが注文をつけて先に長考しているのでは、準備不足というのでよくなかったかなと思います。

――いまおっしゃったように、53手目▲1五香に△同香が大長考でした。

豊島 2九飛がいい位置なので香車を成らないとしょうがないかと思ったんですけど。そのあとにいろいろ嫌な攻め筋があるので、まずそうな感じがしたんですけどね。仕方ないかなと。

――飛車取りを手抜いて攻められるのは?

豊島 それでまずい可能性はあると思っていました。

――56手目△1八香成では△7二香など、控室ではほかの選択肢もあるのかなと検討していました。

豊島 それだと後に飛車を2四に逃げられる変化とか出てくるので。確かにこちらは右側の形(7筋)はいいですけど……。考えたんですけど、あんまり自信はなかったです。

――封じ手は▲3四桂でした。1日目を終えたあたり、形勢判断はどうでしたか。

豊島 自信がないといいますか、まずい順があったらしょうがないかなと。

――△5一銀の犠打など、かなり辛抱された印象です。

豊島 ほかの手はだめかなと思ったので、仕方ないかなと。

――82手目△7六歩と攻めたあたりは?

豊島 そのあとは難しそうな気もしたんですけど、本譜で見切られているのかもしれません。▲2五桂(95手目)は詰めろじゃないので、攻めていけそうな感じはしたんですけど、そのあとに(水面下で)▲8五桂と跳ねる変化があって玉が広いので。△6九飛(94手目)と打ったあたりはそこまでわかっていなかったです。最初は▲2五桂が詰めろじゃないならと思っていたんですけどね。もうちょっとうまい攻め方があったかもしれないですけど。

――本局を振り返って、いかがでしょうか。

豊島 基本的にはまずくて、悪かったような気がします。最後にチャンスがあったかどうかです。調べてみないとわからないですけど、基本的には苦しかったかなと。

――第3局の抱負をお願いします

豊島 すぐに次があるので、コンディションを整えて頑張りたいと思います。

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図は▲2五桂と上部に逃げられないようにしたところです。控室では△9五歩が有力視されています。

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△9六桂▲同香△9七銀▲同玉△9九飛成からの詰めろです。控室では△9五歩に▲3一銀△1一玉▲1二歩△同玉▲3二竜△2二歩まで並べられました。

20220714d_2後手玉は詰みません。となると、△2二歩に先手は▲8五桂と脱出路を開いて詰めろを解除するしかないですが、いかにも不安な格好です。例えば△6八銀や△9六桂、△7七歩などが映ります。「こんな危ない思いをする?」と深浦九段と中村太七段は声をそろえます。終盤の入り口は先手がもっと手堅く勝てそうに見えたため、どこかで間違えてギリギリになっている可能性があります。

Dsc_6966(2日目昼の対局再開後の藤井王位。本当に現局面は予定なのか)

深浦九段に師匠・花村元司九段の定山渓対局を振り返ってもらいました。1962年の第3期王位戦七番勝負第4局▲花村八段-△大山王位の対局は、大山3連勝で迎えた一番です(肩書・段位はいずれも当時)。

20220714e_3花村九段の棋風について、深浦九段は「あちこちから手を作ります」と語ります。実戦は▲5五歩△同歩▲6六銀とし、後に▲5五銀から▲5八飛と中央に戦力を集中させました。ただ、図の△3四銀が5筋を薄くして動きを誘ったようにも見えるので、難しい駆け引きです。

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▲4三角に絶妙の手順があります。△1二角▲6一角成△3三玉です。

20220714a_2玉寄りは▲4三歩成を防ぎながら、端角の利きを通す攻防手です。以下▲7七銀△5六銀▲5八金寄△5五桂と進みました。

20220714g_2銀をグイッと出て、角と連携して6七の地点を狙うことに成功しています。△5五桂に▲6八金上と受けるも、△4六歩からのと金攻めが厳しく、以下は花村八段の猛攻を大山王位がいなして王位3連覇を決めています。

「▲4三角に△1二角から△3三玉で思い出しました。10年以上前に大山康晴全集で並べた記憶があります。なかなか考えられない受けでした」と深浦九段。定山渓で生まれた名手順でした。


Dsc_6925(本日昼の定山渓は晴れて、セミが鳴いていた。60年前、師匠が見た空はどうだったか)