第52期王位戦七番勝負第4局
感想戦のポイント
終局後にインタビューが行われ、両対局者は大盤解説会場へと移動した。その後、対局室に戻り感想戦が行われた。広瀬王位はこの将棋を知っていて選んだが、難しいと思っていた終盤で先手に分のある変化が見つからず、結果的に前例をたどる展開になってしまったようだ。
上図の局面、本譜はここで▲2二竜。感想戦では▲3四桂が検討された。以下△8九歩成▲4二桂成△同金▲3二金△5二玉▲4二金△6一玉▲5二金△同玉▲5三銀△同銀▲同桂成△同玉▲4四銀△5二玉▲2二竜△4二桂▲5三金△6一玉▲6二金△同玉▲5三角△7三玉▲8六角成△6九銀▲同玉△4九角(参考図)。これで先手は受けがない。いっぽう後手玉は詰まないため、この変化は後手が勝っているようだ。
感想戦ではいくつかの局面で先手の手段が検討されたが、どれも「難解」もしくは「先手自信なし」の結論に行き着いた。
(文)
感想戦
終局直後
【羽生善治二冠インタビュー】
―― 一局を振り返っていかがでしたか。
実戦で何度か指したことがある形です。まだちょっとわからないところもあるので、もう一回やってみようと。
―― 終盤の入口まで前例のある将棋だったのですが。
こちらはあまり変化のしようがないので……。仕掛けてしまった後は、なかなか手を変えるのは大変かと。
―― 終盤に入ってからはいかがでしたか。
ずっとよくわからなかったですね。際どい局面が続いているので。
―― 勝ちを意識された手は
(120手目)△2三銀を打ってちょっと残ってるかなと。
【広瀬章人王位インタビュー】
―― 仕掛けられたあたりはいかがでしたか。
先手もやれるのかなと思っていましたが、仕掛けられると一直線になるので。そうですね、ちょっとまずい変化に入ってしまったかなと。
―― 終盤の入り口まで前例がありましたが、その辺の意識はいかがでしたか。
前例があるのは知っていたのですが、難しいのかなと思っていましたので。
―― 終盤はいかがでしたか。
後手玉がどれぐらい危ないかがちょっとわからなくて。少し足りない変化が多かったように思いました。
インタビュー終了後は大盤解説会場に移動して本局を振り返りました。
(八雲)
羽生二冠、貫禄の勝利。2-2のタイに戻す
後手勝勢
図の局面で広瀬王位の考慮中に18時を回りました。控室の見解は後手勝勢。
△2三桂は次に△3五桂▲3六玉△3八竜以下の詰めろになっており、有効な受けが難しいようです。後手玉には詰みがなく、先手の指す手が見つからないといわれています。
残り時間は▲広瀬34分、△羽生39分。
(八雲)