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2025年5月13日 (火)

虚々実々の応酬

初手から▲5六歩△3四歩▲5八飛△1四歩▲1六歩△4二銀▲6八銀の出だしでした。202505137 手元のデータベースを調べてみると、前例は6局あり、後手を持っているのはすべて伊藤女流四段です。そのうち福間女流王位は先手で4局持ち、3勝1敗の成績を収めています。
▲6八銀に対し、伊藤女流四段は△4四歩を4局、△3三角と△8四歩を1局ずつ指しています。本局は△8四歩を採用しました。直近の前例である、昨年12月の第36期女流王位戦挑戦者決定リーグ白組▲小高佐季子女流初段-△伊藤戦(伊藤勝ち)で指した手です。△8四歩以下▲5七銀△8五歩▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8二飛の進行でした。

16小高女流初段の▲7八金に代えて、▲7六歩も有力だったでしょう。△8八角成なら▲同飛、△4四歩なら▲7七角で飛車先交換を防げます。

本局に話を戻しましょう。▲6八銀以下、▲5五歩△8五歩▲7六歩△8六歩▲同歩△同飛▲7八金と進んでいます。

2025051315先手は5筋の位を取ってから、角道を開けました。飛車先交換を防がないのは▲小高-△伊藤沙戦と同じですが、▲7六歩を指しているため飛車先交換から△7六飛を誘発する格好です。控室では「△7六飛▲7七角△7四飛でも先手がどう指すかわからない」といわれていましたが、実戦は▲7八金に△3二金▲4八玉の交換を入れてから△7六飛でした。相振り飛車を含みにしながら対抗形に進んだ展開、「横歩を取りますよ」「取りなさい」の応酬に、控室では「見たことがない」「へぇー」と感心するような声が上がりました。

(紋蛇)

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