8筋逆襲
△3三角まで、後手は歩得を主張する戦いです。実戦は28分考えて、▲2八玉と穏やかに玉を囲いました。控室では☗5六飛☖8四飛☗8六飛も検討されており、おそらく福間女流王位もその変化を読んでいたと思われます。▲8六飛は△同飛から飛車交換になり、☗同角☖1五歩☗同歩☖1八歩☗同香☖1七歩☗同香☖5五角が一例でした。激しい変化のため、相当に成算がなければ踏み込めない順だったでしょう。
▲2八玉から少し進んで、図は△8四飛と回ったところ。手拍子で▲8七歩と受けては歩切れになり、先手が動きにくくなります。実戦は▲5九飛でした。続いて▲6六角~▲7七桂~▲8四歩~▲8九飛と反発しています。
8筋を逆襲したのが先手の狙いで、手慣れた指し回しです。8三に打つ駒さえ手に入れれば、俗な攻めが見込みます。伊藤女流四段は戦いを避けるために、慎重な指し回しが求められます。
(紋蛇)