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図は16時15分頃の局面。▲2三銀成に△4七歩と打ったところです。後手の2四角は一見すると助からないように思えますが、この歩打ちがなかなかの手で、以下▲4七同金左△同馬▲同金に△5六歩と突けば、2四角が生きてきます。形勢は依然として難解です。
(山根女流二段。うまくバランスを保っている)
(睡蓮)
図は15時35分過ぎの局面。伊藤女流三段が8六の角を▲5三角成と切って銀と刺し違え、▲3二銀と打ち込んでいきました。△5一飛など、飛車を横に逃げる手に▲4三歩成ということでしょうか。どこかで後手から△7八角と反撃される筋があり、2七歩も盤上に残ったままであるだけに、思いきった踏み込みといえます。
(伊藤女流三段。自信を持っての踏み込みか)
(控室には、日本女子プロ将棋協会代表理事の中倉宏美女流二段がいる。中倉女流二段も、角切りには驚いた様子だった)
図は15時頃の局面です。直前には飛車角銀を総交換する大さばきの順も考えられましたが、山根女流二段はそれを見送って辛抱しました。現状、攻め駒は伊藤女流三段のほうが伸び伸びとしています。ただし、先手玉は後手の2七歩が目障りで狭い格好。まだまだ難しい形勢でしょうか。
(山根女流二段は、2七歩の存在に期待)
図は13時50分過ぎの局面。伊藤女流三段が28分の考慮で▲4六歩と合わせたところです。以下は△4六同歩とさせて4五に空間を作ったうえで、▲5六銀と攻めの銀を前に繰り出しました。△5五歩には▲4五歩や▲4三歩で勝負するつもりでしょうか。先の△7三金によって後手玉の脇腹が空いていることに着目して、横から攻める展開に持ち込もうとしているのかもしれません。中盤の競り合いに入りそうです。
(好戦的な姿勢の伊藤女流三段)
(控室には、「将棋世界」の最新号が届けられた。表紙は藤井聡太王位・棋聖だ)
13時1分、熟考していた山根女流二段が盤上に手を伸ばし、△7三金(図)と着手。休憩を挟んで44分の考慮になりました。対して伊藤女流三段は▲4六歩△同歩▲同飛△4五歩▲4九飛と軽く指し回し、後手の7三金や9三銀の圧力から飛車をかわしています。
(力強く金を上がった山根女流二段)
(伊藤女流三段は飛車を大きく転回)
(山根女流二段は、12時20分には盤の前に戻っていた。伊藤女流三段が戻ったのは、12時30分頃)
(手番の山根女流二段だが、対局が再開されてもすぐには指さなかった)
(両対局者は、定刻よりも少し早く席を立った。換気のため、一時的に窓が開けられている)
(手番の山根女流二段の側から見た盤面)
(山根女流二段の席には、膝掛け、扇子、懐中時計。盆の湯呑みの上には紙が置かれている)
この局面で山根女流二段が22分考えたところで正午になり、昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲伊藤39分、△山根1時間3分。昼食の注文は、山根女流二段が「和風煮込みハンバーグ定食」(Le Carre)。伊藤女流三段は注文なしでした。対局は12時40分に再開されます。
(和風煮込みハンバーグ定食)
後手の山根女流二段が△4四銀と上がったのに対し、先手の伊藤女流三段は20分の考慮で▲7四歩(図)と突っかけていきました。この手は11時32分の着手です。以下△7四同歩には▲7六飛として、▲7四飛~▲5四飛の横歩取りを狙うつもりでしょうか。後手は▲7六飛に△7三金とすれば7四歩は守れますが、その場合、7三金の格好が少し不安です。
(山根女流二段はどう対応するか)
図は開始20分ほどの局面です。ともに向かい飛車に構えました。囲いは先手が矢倉で、後手が金無双。▲7五歩は、後手の囲いの縦方向への発展を抑制した手です。すでにデータベース上の前例はありません。
(居飛車と振り飛車を使い分ける伊藤女流三段。本局は振り飛車を選んだ)