記者会見
タイトル挑戦を決めた広瀬九段の記者会見の様子です。
―― あらためて振り返ってどんな将棋でしたか。
「流行形と違う形に誘導したのですが、飛車角交換が序盤で行われたり、金が四段目にきたりして、通常と違って形勢判断が難しかったです。▲7五歩から▲2二歩は良くも悪くも形勢がはっきりする指し方でしたが、うまくとがめられました。夕食休憩の局面は悪いと思っていましたが、思ったよりも難しい変化が多かったのが幸いしました」
―― 本局を迎えるに当たって、どのような心境で臨みましたか。
「藤井さんは非常に安定した成績を残されていて、厳しい将棋になると思いましたが、自分なりに準備して臨みました」
―― 若い世代が活躍する中で、広瀬九段は39歳での挑戦になります。その点をどのように感じていますか。
「時の流れといいますか、年長者がタイトル戦に出るのは難しいと思いますが、もうすぐ40歳になる自分がタイトル戦に出ることが年齢的に若くありませんが、20代30代が出る中で、新しい風を起こせたらと思います」
―― 伊藤王座は実績を積まれていますけど。どのように戦いたいですか。
「伊藤王座は非常に研究が深くて、終盤が強いので、今日もそうですけど、タイトルを取るのはこういう方たちに勝たないという思いはあります」
―― タイトル挑戦は竜王戦以来です。タイトル戦について感覚を取り戻すものはあるのでしょうか。
「タイトル挑戦が決まっていたわけではないのと、王座戦は1日制で夕食休憩があって初めての経験です。番勝負が始まればタイトル戦の雰囲気は思い出すと思いますが、特殊な棋戦だと思うので早くなれないといけないなと思います」
―― 本局も非常に激しい最終盤を制しました。近年は序盤中盤終盤とさらに棋士としての幅を広げた印象がありますが、現代将棋の変化をどのようにとらえていますか。
「個人的な意見ですが、終盤力はだれしも落ちてくると思うので、終盤戦を有利するために新しい戦術を取り入れないといけないということで勉強しているところです」
―― 竜王戦はお子さん2歳のタイミングです。こどもが記憶があるところまで活躍したいと話していました。
「昨日もこどもとけんかしたばかりなので、どう思っているかわかりませんが、世間と家庭内も注目度が上がって、ただでさえ大変なところですが、いい結果を出せるようにしたいです」
―― 伊藤王座とは以前に研究会をしていたと思いますが、強くなったと感じる部分、成長されたと感じる部分をどのように考えますか。
「伊藤王座はタイトルを取る前と後では大きな舞台に慣れて、最終盤の競り勝ちが増えているのが新人時代と違うところと思います。シビアな研究を抜けたあとの終盤で競り勝っていると思います」
―― 伊藤王座と指し分けに近い成績ですが、自分の強みや勝機についてどう考えていますか。
「自分の強みは終盤力ではないと思うが、比較的序盤で工夫することが多いので、それを生かして珍しい展開になったときにバランスを崩さないようにしたいです。せっかくのチャンスなので頑張りたいです」
―― 広瀬九段は前期順位戦で昇級されたときも圧倒的な成績でした。好調の原動力はどういうところにあると思いますか。
「研究の第一線から外れたところを突いているので、それほどストックがあるわけではないので考えないといけないが、AIが台頭しているが、人間が指す将棋なので、評価値が乱高下する中でチャンスをものにできたらと思っています」
―― 広瀬九段だと2日制の印象が強いです。1日制と2日制では違いをどう見ていますか。
「1日制は朝から気が抜けないなと。王座戦は夕休があって、また違うので。夕食休憩後にドラマがあることもよく見られます。気が抜けない時間が続くなと思います」
―― 評価値が乱高下したという話から、評価値が100%になった局面もありましたが、どういう心境だったでしょうか。
「最後詰みがあったと観戦記の近藤七段に聞きましたが、藤井さんも気づかなかったので仕方ないなと。ちょっと盲点になっていたというのはあると思うんですけど。夕食休憩の辺りははっきり負けそうだなと思っていまして。正直、どう決められるのかなと覚悟していたので、急にチャンスがきて。際どい終盤戦になって競り勝てたのかなと」
―― 五番勝負の第3局が北海道のニセコで開かれますけれども。広瀬九段にとっては、ご出身の北海道ということで、その辺りはいかがですか。
「その昔、私が唯一タイトル戦の記録を取ったときが北海道だったので。ひょっとしたら、そのとき以来かもしれないという縁もありまして。いまでの平均して月に1回は北海道に行っていますし。北海道対局では、より力を入れていきたいなと思っています」
――家庭を持って心掛けていることは何でしょうか。
「なんとなく対局の日は集中するので何もしないが、家にいるときは研究しないとかルールを設けて。さまざまな環境があるので何が正解かはないが、こどもが家にいるときは将棋に関係なくすごしているのが工夫ですかね」
(八雲)

