カテゴリ

第68期王座戦五番勝負第5局

2020年10月14日 (水)

Paravi解説・阿久津主税八段の見解

Paraviでは17時から阿久津主税八段と山根ことみ女流二段による大盤解説をライブ配信します。阿久津八段にここまでの進行やポイントを振り返ってもらうとともに、今後の見どころを語っていただきました。ぜひ番組をご覧ください。

【第68期 将棋王座戦 実況ライブ!】
https://bit.ly/2Gr4RJk

Img_0716_2(解説の阿久津主税八段と聞き手の山根ことみ女流二段)

【阿久津八段の見解】
本局は久保さんが初手▲5六歩から中飛車に構えて、序盤から意欲的な指し回しを見せました。▲7五歩(1図=13手目)は長期戦になれば石田流に組む狙いだと思います。対する永瀬さんは、先手の4八玉型にスキありと見て△5四歩(14手目)と動きました。似た仕掛けはありますが、同一局面はなく、用意周到ぶりはさすがだと感じました。久保さんとしてはじっくり囲いたいところで戦いになり、イヤな展開になったといえます。

20201014f
後手としては△7四歩(36手目)と手を戻すタイミングだったり、どこかで△1三香と歩を取る手だったり、本譜以外にもいろいろな手が考えられたところではありますが、馬を作ったあとの△5三歩(2図=22手目)が地味な好手だったと思います。自陣の銀を押し上げていく狙いで、永瀬さんらしい構想でした。

20201014e
▲2六角(3図=41手目)の局面はいかにも先手が危うい気がします。2枚の角を使った割に戦果が挙がっていませんし、▲2八銀(33手目)とカベ銀を余儀なくされたのも気になります。
とはいえ、後手も飛車が端に追いやられて働きが弱いですし、少しでもスキを見せたら一気に挽回されてしまいます。急に2枚の角が働くこともあるかもしれません。そういったことを考慮すると、このあたりが勝負所と見ます。夕食休憩まで何手か進みそうですので、この後の両者の指し手により注目です。

20201014d_2(琵琶)

端の戦い

200542先手の角は6六から4四を経由して2六へ。後手の銀は4二~3三~2四と出てきました。永瀬王座は相手の攻めを受け止めるのではなく、△1五銀▲同角△1三香と逆襲するつもりかもしれません。

Dsc_6527(控室の中村修九段。腕を組んでモニターを見る)

(牛蒡)

16時10分のモニター映像

6六にいた角が△4四歩▲同角△3三銀▲2六角と移動してモニターの局面。2六角は△5三銀を消すなどの効果がありますが、後手玉をにらむラインからは外れました。

Dsc_6523 
(牛蒡)

15時35分の局面

20053815時35分ごろの局面。横山七段は後手を持ってみたいと話しています。

「先手は角を打ったり、端を攻めたりと、攻めの姿勢を見せています。先手が攻めきれるかどうかの激しい流れになりました。個人的には後手を持ってみたいですが、まだはっきりとした形勢ではありません。ここ数手は互いに長考していますから、勝負どころを迎えているのでしょう」

Dsc_6291(控室には地元のお菓子が差し入れられた)

(牛蒡)

おやつ

15時になり、おやつが出されました。

永瀬王座 フルーツ盛り合わせ、抹茶
久保九段 イチゴのショートケーキ、ホットコーヒー

ぶどうの品種は、巨峰、甲斐路、シャインマスカット。ショートケーキは地元店「早川ベーカリー」のものです。常磐ホテルと同じ1929年に創業した老舗です。写真は対局者と同じものを注文して撮影しています。

【早川ベーカリー】
https://www.hayakawa-bakery.jp/

Dsc_6512 

Dsc_6506
(牛蒡)

甲州夢小路

甲州夢小路はJR甲府駅北口にある商業施設。2013年オープンしました。明治、大正、昭和初期の甲府城下町が再現されています。ひときわ目立つ塔は、明治初期まで実際に使用されていた「時の鐘」を再現したもので、当時は鐘の音で住民に時刻を知らせていました。道をはさんで向かいには「歴史公園」があり、甲府城の山手御門が復元されています。

Dsc_6006(甲州夢小路)

Dsc_6035 

Dsc_6042(ワインを販売しているお店があった)

Dsc_6009(「時の鐘」が甲府の街に鐘の音を響かせる)

Dsc_6000(道向かいにある歴史公園)

Dsc_6005 

Dsc_5996(位置関係。奥に舞鶴城公園が見える。以上、13日に撮影)

(牛蒡)

舞鶴城公園

舞鶴城とは甲府城の別名です。甲府城は武田氏滅亡後に築城され、現在は城跡の一部が公園として開放されています。こちらも駅に近く、春には花見客でにぎわうなど、市民の憩いの場となっているそうです。

Dsc_6067 

Dsc_6070(案内図)

Dsc_6087_2 (天守台から北東を望む。左下に見えるのは稲荷櫓)

Dsc_6078(南南東方面。図の左に富士山。この日は雲に隠れていた。以上、13日に撮影)

(牛蒡)

甲府市

甲府市は山梨県の中央に位置する都市。県庁所在地。南北に長い形をしています。市内からは北に八ヶ岳、南に富士山、西に南アルプス連峰を見ることができます。戦国時代には武田氏が拠点を構えました。旧国名の甲斐、その府中(中心都市)であったことから「甲府」になったといわれています。特産品はぶどうやワイン。食の名物は、あわびの煮貝、ほうとう、甲府鳥もつ煮など。

Dsc_6047(地元の名産品、特産品が駅構内に展示されていた)

Dsc_6048(JR甲府駅南口市街)

Dsc_6056(南口には武田信玄の像がある)

Dsc_6058 

Dsc_5980(北口には、信玄の父、武田信虎の像)

Dsc_5983(以上、13日に撮影)

(牛蒡)

ギリギリの攻め筋

200533▲1五歩△同歩▲1三歩△3一金▲2八銀で図の局面。久保九段は1筋から攻めかかりました。成立しているのか否か、ギリギリの線を突いています。1筋から動いた直後の▲2八銀も大胆な手で、1筋攻めの反動を軽減する効果はありますが、△7八飛や△8九飛から攻められると壁銀としてたたる恐れがあります。まだ午後に入ったばかりですが、先手が勝負に出ている印象を受けます。

Dsc_6493(昼食休憩明けの久保九段。眉間にしわを寄せ、厳しい表情だった)

(牛蒡)

Paraviで解説

Paraviでは本日17時から、阿久津主税八段と山根ことみ女流二段による大盤解説をライブ配信します。第1~4局の大盤解説、各局のポイント解説、両対局者のインタビューなど豊富な関連コンテンツもお楽しみください。まずは2週間無料で体験から!

解説が始まるまでは、日経チャンネル王座戦中継サイトで無料の盤面動画配信もご覧いただけます。

▽「第68期 将棋王座戦 実況ライブ!」ページ
  https://bit.ly/2Gr4RJk

▽ 第1~4局のポイント解説ページ
  ・ 「第1局のポイント」 https://bit.ly/3clODxg
  ・ 「第2局のポイント」 https://bit.ly/3hVggOW
  ・ 「第3局のポイント」 https://bit.ly/2SbIr1A
  ・ 「第4局のポイント」 https://bit.ly/2GGxORN

(牛蒡)

このサイトに掲載されている記事・イラスト・写真・商標等の無断転載を禁じます。