意表の組み立て
藤井王座の攻勢が続いています。歩の裏に潜り込む△7六飛(50手目)は次に△9六歩を狙った手。ゆっくりできない伊藤叡王は▲7七桂と守りの桂をぶつけて迎え撃ちました。控室では△同桂成▲同金△同飛成▲同角△3四桂▲2八飛△4六桂▲同歩△7六歩▲6六角△7七銀という激しい順を本線に検討していましたが、実戦の△5七桂成(57手目)が意表の組み立てです。
予想外の一手に控室で驚きの声が上がりました。ここで▲5七同銀は△2六飛と飛車を素抜かれるため▲5七同金と応じ、以下△9六歩の局面で伊藤叡王が考えています。香を入手して△2四香が後手の狙い筋ですが、5筋の歩が切れる関係で▲5四歩と急所への反撃を許すため、なかなか指しにくい手順です。
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