本局はABEMA、日経ライブ、囲碁将棋チャンネルで動画中継が行われます(本稿の時刻は日本時間で表記します)。
【ABEMA:9時30分~】
https://abema.tv/channels/shogi/slots/8qjrpuZEN8rnPy
解説は屋敷伸之九段・村中秀史七段・宮嶋健太四段、聞き手は貞升南女流二段・内山あや女流初段です。
【日経ライブ:10時~】
https://www.nikkei.com/live/event/EVT250707002
15時から現地大盤解説会(解説:森内九段 聞き手:北尾女流二段、和田はな女流1級)を放映。佐藤康九段、野月八段、中村太八段もゲスト出演する予定。
【囲碁将棋チャンネル:9時45分~】
https://www.igoshogi.net/shogi/live/73ouza2025.html
解説は深浦康市九段・金井恒太六段、聞き手は和田あき女流二段・脇田菜々子女流初段。
(北尾女流二段が司会を務めた。まずはシンガポールの魅力から尋ねた)
「料理が美味しくて、景色がきれいです。少し暑いイメージもありましたけど、いまは日本のほうが暑いですね。曇っていたからかもしれませんが、昨日はこちらのほうが過ごしやすく感じました」
「佐藤さんの話を聞いていて思い出したんですけど、32年前に佐藤さんは(竜王戦の)挑戦者でシンガポールにこられていると思うんですけど、確かわたしが挑戦者決定戦に負けてこれなかったんですよね。32年越しで夢が叶いました」
「私は大学生の時に一度、シンガポールに来ています。今日はマクスウェル・フードセンターのチキンライスを食べました。日本でも食べるくらい好きなので、本場の味を食べられてうれしかったです」
「今年の5月末に日本大使館並びにジャパンクリエイティブセンターで、プレイベントを兼ねて皆さんに将棋を広めるという形でこさせていただきました。現地の方は熱心で深く触れ合うことができました」
「わたしは初海外なので不安が多かったですが、初海外がシンガポールでよかったと思いました。こちらは日本よりも快適で、(常夏のため)部屋が寒いことがおもてなしだと聞きました。とても快適に過ごしております」
「今日はひとりでユニバーサル・シンガポールにいってきました。高校生のときにいったのが忘れられなくて、今回足を運びました。とても楽しかったです」
2つ目の問いは「明日の対局について」です。一部をご紹介します。
齊藤優四段「お二人ともシンガポールを心から楽しまれている様子で、精神的な面では抜群なのかなと感じております」
中村太八段「将棋界を作っているおふたり。中終盤の考え方には違いがあるとはいえ(藤井王座が)唯一、タイトル戦で敗れた相手が伊藤叡王。藤井王座としては絶対に負けたくない王座戦という思いが出ると思います」
野月八段「どういう視点で観戦記を書こうか、毎回迷います。まずはどちらが先手を引くのかが大きな見どころです。そして、駒がぶつかったあと、いくつか選択肢があるのですが、どうしてその手を選んだのかということが面白さでもあります。大盤解説会では、私の兄弟子でもある森内九段にわかりやすく解説していただければと思います」
森内九段「将棋界のナンバー1とナンバー2の対戦ということで、普段から頻繁に見たいカードですが、なかなか実現しません。今回ようやく実現したので楽しみにしているファンの方も多いと思います。戦型予想ですが、まだ明日の先後が決まっておらず予想が難しいです。ただ、将棋界のなかでもホットなテーマで、両者の得意戦法でもある角換わり腰掛け銀になるのではないでしょうか」
(続けて行われたのは、お楽しみ抽選会。両対局者だけではなく、現地入りしたプロの色紙がプレゼントされた)
「実は30年前、シンガポールで5年間働き、SG30(シンガポール建国30周年)に出席した記憶があります。剣道に負けないように、文化の輸出に将棋連盟も努めていきたいと思っています」
本日の更新は以上で終了です。明日の対局開始は9時(日本時間は10時)になります。どうぞお楽しみに。
(紋蛇、書き起こし=武蔵)
(決意表明 藤井聡太王座)
「私はシンガポールを初めて訪れました。ただ、周りには訪れたことがあるという人も多く、日本にとって関わりの深い国であることを実感しています。今回、文化交流事業の一環として開催されるこの対局を通して、シンガポールの方々にも日本の将棋文化を知っていただき、その魅力を少しでも伝えられたらうれしく思います。伊藤叡王との対戦は一年ぶりとなります。その間の成長を見せて、皆さまに将棋の魅力を存分に見せられるよう、全力を尽くしたいと思います」
(決意表明 伊藤匠叡王)
「今期の王座戦がシンガポールで開催されるということを伺ったのは、まだ予選の対局が始まる前のことでした。海外対局は非常に貴重な機会ですので、ぜひとも対局者として訪れたいなと思いまして気合を入れて臨みました。実際、その思いが実って藤井王座とのタイトル戦を実現することができまして、私自身大変うれしく思っております。昨日からシンガポールに入りまして、マーライオンやマリーナベイサンズなどを訪れ、現地のエネルギーをたくさん頂きました。緑が多い国で、研究で疲れ切った目を癒してくれる場所だと感じました。また先程検分を行いまして、素晴らしい対局場を整えて頂きまして、環境の違いなども気にならず、気持ちよく対局に臨むことができそうだなと感じております。明日はいよいよ対局ということで、しっかりと切り替えて集中して対局に臨みたいと思います。最善を尽くして、拮抗した戦いが続くことを目指して全力を尽くしたいと思っております」
(紋蛇、書き起こし=武蔵)
(石川浩司・駐シンガポール日本国特命全権大使)
「シンガポールのことをご紹介しますと、人口は600万弱の非常に日本に比べると小さな国でございます。歴史的にも、今年は戦後80周年ということになっておりますが、戦争中は日本軍が占領したという負の歴史を持っております。しかしながら、その後、シンガポールが建国され、そして、日本の力を使ってシンガポールも発展したいという、特にリー・クアンユー初代首相の強いリーダーシップのもと、それに応えて日本企業もこちらにきて事業を展開し、技術も移転し、一緒に働いてきた積み重ねが、いまの日本とシンガポールとの関係につながっております。
シンガポールという国において、日本食レストランは1200軒あるといわれており、日本に対して非常にいい感情を持っていただいています。そういう中で、今回また将棋をこの地にまた持ってきていただいて、シンガポールの方にも広げていただけるというのは、非常にいい機会だなというふうに私自身も思っているところでございます。
明日の対局がまた熱戦となって、それを通じてシンガポールの方にも日本の将棋の魅力が伝わっていけば非常にありがたいというふうに思っています」
(田中裕公・東海東京グローバル・インベストメンツ取締役社長)
「名古屋を基盤とする当社グループでは、名古屋城こども王位戦や朝日杯将棋オープン戦に協賛しており、王座戦においても静かで熱い戦いを間近で拝見しておりました。タイトルを懸けた戦いは、見ている側としても手に汗を握る熾烈な戦いが繰り広げられたことを、いまでも鮮明に記憶しております。まさか、このシンガポールの地で王座戦をまた拝見できるとは思ってもみませんでした。
話は少し変わりますが小生、剣道をたしなんでおりまして、現在シンガポールナショナルチームを育てております。来週末にこのシンガポールにASEAN10か国が集まり、3年に1度開催されるASEAN剣道大会が行われます。シンガポールは昨年開催された世界剣道大会で男子チームが60か国中ベスト8位の成績を収めたり、世界武道大会で3位入賞を果たす女性剣士がいたりと、剣道における日本との交流は、長きにわたり続いております。
剣道のみならず、その他の文化活動におきましても、今後も末永く日本とシンガポールの良好な関係が続いてくれることを願いたいと思います」
(芝田浩二・ANAホールディングス株式会社代表取締役社長)
「明日から藤井聡太王座と伊藤匠叡王により、命を吹き込まれた40枚の駒が、81マスが織りなす無限の宇宙空間で、縦横無尽に高速3次元の戦いを繰り広げることにより作り出される新しい歴史を、ひとりの将棋ファンとして、ワクワクしながら大変楽しみにいたしております。
ANAの東京-シンガポール線は、1991年の就航から34年間、皆様に支えていただいて参りました。足元では、シンガポール航空とジョイントベンチャー契約を締結し、ご利用いただける運賃やマイルの利便性を高め、お客様に一層ご満足いただけるよう努めているところでございます。
将棋王座戦の海外対局は、第50期の中国・上海対局以来23年ぶりとお聞きしております。今後とも、私どもは、微力ではございますが、将棋を世界へ広めるお手伝いをさせていただければと願っております」
(紋蛇、書き起こし=武蔵)
(主催者挨拶 長谷部剛・株式会社日本経済新聞社代表取締役社長)
「先日、日本経済新聞では紙面1ページを使って王座戦の特集を組みまして、お二人のインタビューを掲載しました。そこで藤井王座の前に4連覇を果たした永瀬拓矢九段が、どのような対局になるかということを語ってくれています。面白いので紹介したいと思って持ってきました。
『伊藤叡王は謎の部分が多いけれども、藤井王座や私と比較して語ると、個性が光る。藤井王座と私は読みや局面のとらえ方が似ている。でも藤井王座と伊藤叡王の読みはまったく合わない。読みの系統が全く違う』と書いてあります。
あと『伊藤叡王は、形勢がよくなると絶対間違えない。そして、悪いときは粘り強く戦う。藤井王座には粘りという概念がない。伊藤叡王は難しい局面を実際に難しいと証明する。それは藤井王座や私が磨こうとしてこなかった部分。戦いに例えると、5万人と5万人の兵力で戦おうと、その均衡を維持しようとするのが藤井王座と私ですが、伊藤叡王は4万5千人と5万人になったとしても平然として戦う』。
こういうふうにいいます。どうでしょうか、対局が楽しみになったのではないでしょうか。これから何度も名勝負を繰り広げて、将棋の歴史を形作っていくお二人になると思います」
【日本経済新聞:将棋王座戦五番勝負4日開幕 藤井聡太王座・伊藤匠叡王インタビュー】(有料会員記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD082E70Y5A700C2000000/
(永瀬九段の展望が語られると、二人は何ともいえない表情ではにかんだ)
(主催者挨拶 清水市代・公益社団法人日本将棋連盟会長)
「海を越えて、将棋を愛する皆さまが一堂に会し、将棋文化へのご理解と、将棋界へのご声援を賜りますこと、国や言葉を超えて、将棋が人と人とをつなぐ存在であることを改めて実感し、とてもうれしく思っております。
今回の対局者は、前人未到の八冠全冠制覇を成し遂げ、王座戦2連覇中の藤井聡太王座。そして挑戦者は、八冠の牙城を初めて崩し、自身初のタイトル、叡王を獲得された注目の新鋭、伊藤匠叡王です。大変お若い両対局者でございますが、すでにタイトル戦線の中心を担う存在であり、類まれなる才能と卓越した技術、そのお人柄で、人気、実力ともに最先端を疾走する、将棋界を担う逸材であります。
明日の対局が、どのような展開になるのか、熱戦は必至の開幕局。今から楽しみでなりません」
(紋蛇、書き起こし=武蔵)