終局直後
◆永瀬王座の談話
――一局を通しての感想をお願いします。
永瀬 最初、何かあるのかなという感じだったんですけど、少し形勢を損ねてしまったような気がしました。▲3七角(93手目)では苦しいかなと。▲3二金と打っていけないと主張がないので。そのあとは△6七金(94手目)と打たれて、こちらの玉が薄くなってしまって、自信のない展開になりました。
――▲7九金(109手目)と打って穴熊を再生されたところはいかがでしたか。
永瀬 苦しい気はしたんですけど、明快な手がなければ難しいかなとは思っていました。
――難しい戦いが長く続いたかと思いますが、終盤で手応えを感じたのはどの辺りですか。
永瀬 ▲8一金(153手目)~▲9一金で、分からなかったですけど、こちらの攻めの形も相当なのかなと思いました。
――午前中で千日手になるかと思われたところもありましたが、どのように感じられていましたか。
永瀬 打開が難しい気がしたんですけど、▲3七角(63手目)までいけば、一応は千日手は回避できているのかなと。
――本局の勝因は。
永瀬 勝因かは分かりませんが、▲7七桂(147手目)と跳ねた手がどうだったかが気になるところです。
――よかったか悪かったかは……。
永瀬 全然、分からないです。ただ、浮かんだ手ではあったので。▲7七桂がポイントなのかなと。
◆久保九段の談話
――一局を通しての感想をお願いします。
久保 いいと思った局面がなかったので。ずっと難しいのかなという感じだったんですけど。
――序盤の工夫した指し方から、居飛車穴熊対銀冠のよく見るような形になりました。
久保 もうちょっといい指し方があるような気がしたんですけど、昔ながらの形に落ち着いてしまいました。工夫が無効に終わってしまったというか。
――苦しくなったと感じたのはどこでしょうか。
久保 ▲5八歩(145手目)を打たれて、金が相手玉の逆にいっちゃったんですけど。そのあと金で香を取られて(155手目▲9一金)、ちょっと受けの利かない形になってしまいましたね。
(睡蓮)






177手まで永瀬王座が勝ちました。終局時刻は20時26分。消費時間は▲永瀬4時間53分、△久保5時間0分。五番勝負第1局は永瀬王座が先勝。第2局は9月9日(水)京都府京都市「ウェスティン都ホテル京都」で行われます。
時刻は20時20分を過ぎました。形勢は明確に差が開き、永瀬王座が勝利を目前のものにしています。図の▲9五銀には△同玉しかありませんが、以下▲9七香△8四玉に▲6二竜が詰めろ角取りです。
図は20時10分頃の局面です。永瀬王座が自陣の飛車を取らせている間に相手玉に迫る順を選択し、終盤戦になっています。△4九飛で久保九段は持ち時間を使いきり、秒読みに入りました。形勢は依然として永瀬王座よしです。
図は19時40分過ぎの局面。先手が穴熊の桂を7七に跳ねたところです。この手は▲6九香を狙いつつ、△8五歩と突かれたときに▲8五同桂とするいう対応を用意した攻防兼備の一手といえます。次の△6六歩に4分使い、久保九段の残り時間は10分を切りました。永瀬王座のほうは、20分と少し残しています。
図は19時20分頃の局面。▲4四歩は一見すると後手玉から遠いように思えて指しづらいですが、△3三角と攻防に打たれる筋を未然に防いで、働いた一手のようです。これに後手が△6七歩などから単純な攻め合いを目指すのも、▲4三歩成~▲5二とがいわゆる「と金の遅はや」で先手のスピードがまさります。実戦は、久保九段が我慢して△4二歩と受けました。永瀬王座が少しずつ差を広げているといってよさそうです。
図は18時15分頃の局面。再開からパタパタと10手以上進み、手数は130手を超えました。なかなか終わりが見えない長期戦です。互いに盤上の攻め駒をさばき合い、局面はさっぱりしています。形勢については、玉の堅さの差で永瀬王座のペースといえるかもしれません。







この局面で久保九段が15分使ったところで17時30分になり、夕食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲永瀬3時間55分、△久保3時間43分。夕食の注文は、永瀬王座が「陣屋特製豚漬け重、抹茶、アイスコーヒー、グレープフルーツジュース」、久保九段が「陣屋特製豚漬け重、アイスコーヒー」。対局は18時に再開されます。
