第67期王座戦五番勝負(日本経済新聞社主催)は、挑戦者の永瀬拓矢叡王が3連勝で斎藤慎太郎前王座を下し、自身初の二冠王となりました。
第5局が予定されていた10月16日(水)、東京・大手町の日経本社「SPACE NIO」では、当初予定していた大盤解説会に代わって、永瀬新王座を迎えたイベントを開催します。
永瀬王座が豊川孝弘七段、飯野愛女流初段とともに今年の王座戦を振り返り、「会心の譜」を紹介します。
来場者の方には抽選で永瀬王座の直筆色紙をプレゼントします。入場は無料です。
日時:2019年10月16日(水)18:30~20:00(18:00開場)
出演:永瀬拓矢王座、豊川孝弘七段、飯野愛女流初段
※新王座が登場する本イベントについては、事前に両対局者の出演の了解を得ていました。
※入場は無料、事前申し込みは不要です。
※立ち見もできますが、会場が満員の場合には入場をお断りすることがありますのでご了承ください。
※イベント開催中の写真撮影はご遠慮ください。
※問い合わせ先:03-6256-7682(SPACE NIO)
(武蔵)
――王座獲得、及び自身初となる二冠保持について。
永瀬 望外の結果です。これからも一生懸命勉強しないと地位にふさわしくないと思いますので、棋力向上に努め、人格においても先輩方を見習って後輩の模範になれるように精進していきたいです。
――目標とされていた豊島将之名人を上回り、渡辺明三冠に次ぐ二冠になった。
永瀬 結果が出たという点でうれしく思います。さらにタイトルを増やせるように頑張りたいと思います。
――開幕前、「危機感のほうが強い」という話をされていたが、薄らいだか。
永瀬 まったく薄らぎません。ただ、ひとつ結果が出たというのは、前への進み方が間違っていなかったという証明になりました。
――永瀬新王座の危機感とは?
永瀬 いまより強くならなければならないということです。
――藤井聡太七段とは練習対局をされる仲と聞く。下の世代への意識はあるか。
永瀬 藤井さんを年下とは思っていません。年齢はあくまでも数字なので。尊敬もしています。競争できるように頑張りたいです。
――八段昇段について
新規定初の昇段は光栄だと思います。
――今シリーズ3局を通しての総括。
不本意な展開になってしまうことが多かったのが反省点です。ただ、反省点は修正できますのでいい糧にしていきたいです。
――逆によかった部分は。
ぱっとは思いつきません。ただ、自分ではベストを尽くせたので、それがいい部分かもしれません。
(永瀬新王座は慎重に言葉を選びながら話す)
――本局全体を振り返って。
永瀬 序盤は作戦でした。しかし、(32手目の)△6四歩を予想しきれず、主張がなくなってしまいました。中終盤は少し苦しいのかなとは思っていましたが、どのくらい悪いかはわかりませんでした。
――よくなったと感じたのは。
永瀬 (141手目)2回目の▲4五桂です。金取りにできる形になったので、勝ちになったのではないかと思いました。
――自身初となる王座を獲得した感想。
永瀬 序盤で悪くなってしまうことが多かったと思うので、そこを修正して、これからもいい将棋を指していきたいです。
――渡辺明三冠に続いて複数冠を保持することになった感想。
永瀬 ひとつ結果が出てよかったとは思いますが、修正するポイントが多いと思うのでしっかり修正したい。さらに上を目指して頑張りたいと思います。
(敗れた斎藤慎太郎前王座)
――本局を振り返って。
斎藤 序盤は難しすぎてわからなかったというのが正直なところです。中終盤は、何かよくなってもおかしくないと、思っていながら指していましたが、予想できない手を多く指されてしまい、最後で差をつけられてしまいました。
――初防衛とはなりませんでした。シリーズ全体を通しての反省点は。
斎藤 本局もですが、中終盤のねじり合いの精度で差をつけられた展開が多かったように思います。似た負け方になってしまったので、何かを変えなければなりません。
(武蔵)
第67期王座戦五番勝負第3局は、永瀬叡王の勝ちとなりました。終局時刻は21時6分。消費時間は▲永瀬5時間0分、△斎藤慎5時間0分(持ち時間各5時間、チェスクロック使用、切れたら1手60秒未満の着手)。本局の結果により永瀬叡王は五番勝負で3勝目を挙げ、ストレートで王座奪取を決めました。
(虹)